2006/8/8
薩摩黒潮きばらん海枕崎みなとまつりが終わりました。いやー、すごい人でした。シーモ効果だったのでしょうか? 花火も今年はちょっと違っていました。初めてみる形の花火がいくつかあって、すごくきれいでした。さすが、われらの六葉煙火。枕崎には六葉煙火という、誇り高き花火職人達がいるのです!
私は「漁師鍋」という、ふるまい鍋にかかわっていたんですが、1000食の予定を1400食に増やしても、まだ足りないという状況でした。せっかく行列に並んでくれたのに、食べられなかった皆さん、ごめんなさい。
前夜祭の日は、同時に「すんくじらブルース祭り」も行われました。私は「すんくじら狂句」をチャンと一緒に唄いました。伴奏は三味線・カーノちゃん。「すんくじら」とは、隅っこという意味です。鹿児島には薩摩狂句という、鹿児島弁の俳句があります。枕崎は、鹿児島の中でも隅っこですので「すんくじら狂句」。今回は、その狂句を都々逸(どどいつ)風に、あるいは歌舞伎調に、あるいは雄たけびを上げながら、三味線の伴奏で実際に唄ったわけです。おもしろかったなぁー。
今回の「いっぽんどっこ・すんくじらブルース祭り」には、東京からKOTEZさんも来てくれました。コテッチャンは、すごかった。ブルースハープが違う楽器のような感じがしました。あの、たった10個の穴が開いているだけのハーモニカで、あんなふうな音を出すなんて、いやー、すばらしい! 何だか得した気分でした。
さて、一番の盛り上がりは、やはりチャン。「夜の診察室」というブログを書いているチャンは、ほんとにおもしろい。今回は、夜の診察室の先生ということで、白衣に額帯反射鏡をして、ブラックジャックか丹下左膳みたいに右目の上から頬にかけて傷メイクをし、浣腸用の注射器をもって登場、「一本いっとく?」だって・・・
チャンのオリジナル曲の中でも、みんなが必ず合唱するのは「チャンのよがちよ節」です。最初は「チャンのよがちよブギ」だったはずなんですが、いつのまにかブギが節になりました。で、たぶん、みんな今度一緒に歌いたいだろうなと思うので、今日はここにその歌詞を、オリジナルと、日本国標準語訳付で書きます。チャンから広告の裏紙みたいなのに歌詞を書いた紙を借りてきたので、解説も入れながら書いておきます。
チャンのよがちよ節
1.そぬん 好っどっとなら 俺が言っくるち お前が言わんち よがちよ
したち そっこ好んなら 言わんこでんち お前が言わんち よがちよ
だいてろさんと 付っきょっどっごっだっどん 早よ言わんちでん よがんなあ
だいてろさんが 抱いてるかもと 気が気じゃながどん よがちよ
眺めていたいの 日がないっちにっ そいが我家だいの 恋し方
オー イエー ゆすごわんそ つば紅ぬ ツルっち 塗った口
よがちよ よがどが よがいな よがよが げんでんかいでん よがちよー
2.げんしもんそがい 言がないもはん 言おごっだっどん よがっけ
何ゆ 言どっとが ワやオイに言だえ お前が言わんち よがちよ
だいてろさんに 言っもろはならんけ 面ん皮ごわんどん げんけな
あっら そしたこず 考んげもないもんか お前が言わんか よがっじょぉ
眺めているだけ 日がないっちにっ そいが我家だいの 恋し方
オー イエー ゆすごわんそ つば紅ぬ ツルっち 塗った口
よがちよ よがどが よがいな よがよが げんでんかいでん よがちよー
日本国標準語訳
1.そんなに好きなら俺が言ってあげるって お前が言わなくったって いいってば
だって それだけ好きなんだったら言わないとって お前が言わなくたって いいってば
誰かさんと付き合ってるみたいだけど 早く言わなくても いいの
誰かさんが抱いてるかもと 気が気じゃないけど いいってば
眺めていたいの 日がな一日 それがここいら辺の恋し方
オー イエー いいもんですなあ 口紅ツルって塗った口
いいってば いいだろ いいよね いい いい どうでもこうでも いいってばー
2.どうしよう 言えないよ 言いたいんだけど いいのかな
何言ってんの お前は俺に言ったじゃねえか お前が言わなくたって いいってばって
誰かに言ってもらえないかなあ 厚かましいようだけど どうかな
えっ そんなこと よく考えつくよな お前が言えよ いいからさあ
眺めているだけ 日がな一日 それがここいら辺の恋し方
オー イエー いいもんですなあ 口紅ツルって塗った口
いいってば いいだろ いいよね いい いい どうでもこうでも いいってばー
解説
・1番の出だしはチャンの原詩では「そぬん」と書かれてあるのですが、この発音は「そにん」でもOKです。
・「よがちよ」という方言は、微妙な含み意味まで正確に訳そうとすれば「いいってば」になります。
・「我家だい」は、自分の家の近所、つまり地域を指していて「わげーだい」と発音します。
・「つば紅」は、口紅のことです。今ではほとんど使われません。スラムで育った私でも、知りませんでした。「つばべん」と発音します。ちなみに、鹿児島で「べん」というと、一般には白紅を指します。白紅は西千石町の丸一製薬の商品で、筋肉痛や打ち身、しもやけなどに効く万能薬です。なんと、マッカーサーの指示で、医薬品として認定されたそうです。昔のじいちゃん、ばあちゃんは、何かというと白紅を付けてました。
・「塗った口」は「ぬったくっ」と発音します。「塗りたくる」も「ぬったくっ」と発音しますので、間違えそうですが、正式には「塗った口」です。
・2番の中の「面ん皮ごわんどん」という表現ですが、この「面ん皮」は、面の皮が厚いということを表しています。「ごわんどん」ですから、面の皮が厚いようですけれど(すみません)となり、厚かましいようですけれど、という意味になります。ごわんどんは、ごわん・どんで、ごわす=です、どん=だけど、つまり「ですけれど」の意味です。「ごわす」は「です」の謙譲語になるのでしょうか、丁寧語になるのでしょうか、わかりませんが、標準語で言うと「だよね」が「ですよね」に変化するのと同じです。
・こうして見てくると「チャンのよがちよ節」はラブソングであることが分かります。しかも、微妙な男心を歌った、松田聖子の「赤いスイートピー」の対極にあるものなのであーる!!
2006/8/2

いやー、久々の投稿です。忙しくて、ブログなんか書いている暇、なかったんです。でも、祭りがもうすぐなので、書いておきます。
「さつま黒潮きばらん海 枕崎港まつり」が近づいてきました。川辺・知覧・加世田・坊津からの主要な道路にはあちこちに看板が立っています。あと2日もすれば、町は祭り一色となることでしょう。
道路の看板にも、みんなが着ているTシャツにも「枕流」の文字が書かれています。この「枕流」という文字の発案者は、何を隠そう、わが劇団ぶえんの団員で、看板屋のIさんです。Iさんは枕崎の流儀、あるいは枕崎らしさ、という意味でこの文字を考え出しました。いいコピーでしょ!! だが、この「枕流」、そんな単純なものではなくて、もっと深い意味があるのです。そしてそれは作った本人も、中心となって動いている青年会議所のメンバーも、誰一人知らないことです。俺は、この町の知性だから、気付いているのだ。グゥワッハッハッハッハ!! しかし、劇団ぶえんがこの町の歴史を題材に芝居をしていて、そのメンバーにI君がいる、というのに何か縁を感じます。
さて、昔、中国の六朝時代に孫楚(そんそ)という人がいました。六朝の西晋の時代です。ここから先は、@じゃりさんの「言葉のレシピ 語楽」の中の「故事成語」から引用します。@じゃりさんのページが一番分かりやすくまとまっています。
[ 西晋の国の孫楚は学識にすぐれ、とても頭の切れる人物でした。孫楚は若い頃に、仕事をやめて気ままに過ごそうとしたことがありました。当時の宰相であり友人であった王済に「私はこれから、石を枕にして眠り、川のせせらぎで口を漱(すす)ぐような自然のままの暮らしをしたいと思っているのです」と言おうとして、間違って「私はこれから、石で口を漱ぎ、川の流れを枕にするような自然のままの暮らしをしたいと思っているのです」と言ってしまいました。
それを聞いて言い間違いをしていることに気付いた王済が言いました。「おいおい・・・。いくらなんでも川の流れを枕にすることはできないよ。それに、石で口を漱ぐことなんてできないだろう?」と冷やかしました。すると負けず嫌いだった孫楚は「いやいや。川のせせらぎを枕にすると言ったのは、世間のつまらない話を聞いて汚れてしまった耳を洗うためです。石で口を漱ぐと言ったのは、自然の中で歯を磨くのだ、ということが言いたかったのですよ」と負け惜しみを述べて、とうとう間違いを認めませんでした。 http://www3.kcn.ne.jp/~jarry/koji/kj029.html ]
枕石漱流(ちんせきそうりゅう)と言うべきところを、漱石枕流(そうせきちんりゅう)と言ってしまって、頑固者は意地を張ったのですね。この故事をいたく気に入ってしまった夏目金之助は、自分の作家としての名前に枕石漱流から漱石の2文字を取って、夏目漱石としました。また、孫楚の言い逃れが早くてうまかったので、枕石漱流から流石の2文字を取って、いやーさすがですねーの「さすが」と読むようになりました。
そしてわが枕流。枕石漱流から2文字を取って、どういう意味を持たせるのでしょう? 合併しない頑固者?(合併できない・・・か?) しかし、この時期にこの文字を選ぶとは・・・ Iさんの鋭い時代感覚に脱帽です。
町中に、わかる人にだけわかる「頑固者」という立看板が立っています。とてもおもしろい。枕崎のイメージは、前から言っているのですが「ガラが悪い」だと思っていたんです。どうやら、枕流で、頑固者というイメージもそれに加わったようです。
1 | 《前のページ | 次のページ》