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たちまち買い物客の視線が私に集中する。
うぉっ ! 頼むからやめてくれ。
ガードマン君に助けを求めようとしたが、
彼はもうそこにはいない。
くそっ・・・消えやがった・・・
「ご、ごめん、お兄ちゃんが悪かったよ。
お母さん一緒に探してあげるから泣かないで」
私が慌ててそう言うと、けいこちゃんはすぐに泣きやみ、
ニコッと笑って頷いた。
しかし、これからどうしよう・・・
そうだ、とりあえずママの店に連れて行こう。
私は買い物をやめてけいこちゃんの手を引き店を出た。
入り口のところにガードマン君が立っていたが、
仕事が無くなったからか、いつもの無表情に戻っている。
「おじちゃん、バイバイ ! 」
けいこちゃんがガードマン君に手を振ると、
彼の顔に血の色が蘇り、
「パパが見つかってよかったね」と白い歯をみせた。
「パパじゃないって言ってんだろが・・・」
私が言おうとしたときにはもう、
彼の顔から血の気が引いている。
どうやら都合が悪くなったらゾンビにお戻りになるようだ。
ケッ ! もういいや、ママに解決してもらうからね。
私はけいこちゃんの手を引っ張るようにして
早足で歩きだした。
アウッ ! いきなりけいこちゃんの足が止まり、
私の体がは後にのけぞった。
まだこんなに小さいのにえらい力だ。
どうしたのと顔を覗き込むと、
けいこちゃんは不安な顔をして、
「お兄ちゃん、さっきは嘘ついてごめんね」
としおらしくあやまった。
「そんなこと、もうどうだってかまわないよ。
今からお兄ちゃんの知り合いの
女の人のところに行くからね、
きっとその人だったら
けいこちゃんのママを見つけてくれるよ」
私がしゃがんで、けいこちゃんの目を見ながらそう言うと、
けいこちゃんは真っ黒い瞳をウルウルさせて
ニコッと笑い頷いた。
可愛い子じゃないか、あんな嘘をついたのは、
よっぽど切羽詰っていたからにちがいない。
可哀相に・・・私の胸が熱くなる。
「さっ、早く行こう」
「うんっ」
けいこちゃんが嬉しそうに大きく頷くと、
今度は二人で足取りも軽く、また歩き始める。
ママの店に到着。
「いらっしゃ・・・あれっ、
今日はまた可愛らしい彼女を連れてきたわね」
ドアを開けるなりママがけいこちゃんを見て微笑んだ。
「迷子なんだよ。
さっきまでいつものスーパーにいたんだけど・・・
この子けいこちゃんて言うんだ。
どうやらお母さんとはぐれたらしい」
私の説明もほとんど上の空で、、
ママはいそいそとけいこちゃんの世話をやきだした。
「何か食べる ? 何でもあるから言ってごらん」
ママがけいこちゃんの両手を持って、
首を傾げてやさしく聞いた。
けいこちゃんは恥ずかしそうにもじもじしながら、
「けいこ、お腹がとってもすいているの・・・
オムライス食べたい」と言った。
それを聞いたママの張り切りようと言ったらなかった、
ママはけいこちゃんを私と一緒に
奥のいつもの場所に座らせ、
オムライスを作りにカウンターの中に入って行った。
すぐにトントントンと玉葱を刻む音が聞こえてきて、
ジャーッというフライパンで炒める音とともに
香ばしい匂いが店中に漂い始めた。
「美味しそうな匂い・・・」
けいこちゃんは目を閉じて匂いを楽しんでいる。
「ママは料理がとっても上手だからね」
私がそういうと、けいこちゃんは嬉しそうに頷き、
「私のママもよくオムライス作ってくれたの」
と目を輝かせた。
〜つづく
ホームページ上に今までの分を
「ママの店13」としてアップしましたので、ご覧ください。
(ママの店12前編)
(ママの店12後編)
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