ママの店バックナンバー
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沈鬱な空気が我々四人の間に立ち込めた。
やめろと喚いたところで、
恩他は絶対やめないだろう。
むしろ我々の苦しんでいる姿を
想像させて喜ばせるだけだ。
どうしようかと考えている時、
私の横にすっと涼子さんが立った。
「ちょっと、あんた!声だけで私達を
恐がらせようと思っても無駄よっ。
やるなら私達を中に入れて、
目の前で正々堂々とやんなさいよ。
この意気地無しの卑怯者、サタンが聞いて
あきれるわ」
そうだ、涼子さんの言う通りだ。
私も何か言ってやろうとした時、
犬山さんに先を越された。
「俺の彼女の声をちょっと間違えたな、
リリーはそんな声では無い!
恩他、お前は一人で
何人もの声を演じているのか?
お前の惨めさにこそ泣けて来るよ」
犬山さんが大きな声で叫ぶように言った。
さすが元クレーマーの犬山さんだ。
声に物凄い威圧感がある。
「何、声色を使っているだと?
どうりで良太の声と
ちょっと違うと思ったよ。
恩他、お前はきっと病気なんだ、
私が診察してあげようじゃないか。
もちろん薬も出してやるよ、
バカに効く特効薬をね」
中田先生は恩他を病気にしてしまった。
犬山さんや中田先生の言う通り、
おそらく恩他の手元には、
良太君も恵子ちゃんも、
リリーさんもいないんだ。
言われてみれば、それぞれの声が
何か変だった。
でも、英二は・・・
一瞬私はママの顔を見た。
ママは凛とした顔で城を見ている。
恩他が英二に一寸刻みのリンチを加えたのは
多分事実だろう。ママもきっとその事を
知っているに違いない。
ママが口を開いた。
「今すぐ我々を中に入れなさい、
あんたの話をとことん
聞いてあげようじゃないの。
あんたは神の真理を知ったんでしょ?
すごいじゃない、是非聞かせて頂戴」
ママの言葉には私達と違って、
胸に響く温かさがあった。
これは、かたくなな人間を落とす時に使う、
アメとムチ戦法だ。
先に我々が罵倒し尽して怒らせておき、
その後で優しい言葉を掛けたら、
恩他の態度が変わるはず。と思ったその時、
ドーンと言う地響きと共に、
私達の目の前にいきなり
横幅が二メートルくらいある橋が出現した。
〜つづく
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「怪談奇談」に
(幽霊屋敷)
連載小説「ドタバタ 新米刑事とベテラン刑事」6話目
ブログに書き溜めたものをアレンジしておりますが、
暴力シーンやグロテスクな表現が含まれておりますので
ご注意ください。
出版「ハレルヤ」「ひとでなしの倫理」
電子出版「短編集 闇の中の住人」