日記を書くんだと決心したものの、今日も昨日とべつだん変化なし。
だから、思い出したことを書くことにする。
あれは大学のときだった。大教室に入って来た教授が何だかとても暗かった。
あれ? どないしたんやろ・・・と思ったのは私だけではないらしく、
あちこちでヒソヒソ話しが聞こえて来る。
中央の机の前に来た教授は、いきなりマイクに向かって妙な言葉を発した。
「あ・・・みなさん、こんなことを言えば変に思われるでしょうが、私は近々
死ぬかもしれません」
私らはビックリして一瞬ザワついたが、
教授の次の言葉を聞きたいがために静かになった。
「昨夜私は書斎で本を読んでいたんですよ。
読み始めてどれくらいの時間がたったのかわかりませんが、
背後のドアが開いたんです。
最初は家内がお茶でも持って来てくれたんだろうと思っていたんですが、
私の真後ろでピタッと止まったまま動かないんですよ。
ふと後ろを見ると、家内じゃなくてそれは何と私自身だったんです。
部屋が薄暗いっていうこともあるのですが、
全身がちょっと茶色くくすんでいる感じで、間違いなくそれは私でした。
背中に氷がひとかけら流れ落ちて行く気がしたとき、
そいつはボーッと消えていきました。
いえ、絶対居眠りなんかしておりません。
断言します。本当に、私の部屋に私が入って来たんですよ。
皆さんはドッペルゲンガーって聞いたことがありますか?
もう一人の自分と出くわす事です。私が見たのはまさにソレ。
それでね、ドッペルゲンガーを見た人は
近いうちに死ぬって言われているんですよ・・・」
私ら学生は各々勝手に喋り出して、授業どころではなくなったのだが、先生が
最期になるかもしれないから授業をさせてくれと言ったので、みんなシーンとなって授業が始まった。
〜つづく