体力気力が萎えて、
やたら古い出来事を思い出しては後悔する。
先日も母の死化粧をしてあげなかったことで、だいぶ悲しんだからか、
とうとう夢に母が現れた。
二つ並んだ和室の片方の部屋には
見たことのあるようなないような人が大勢、黒い背広や紋付を着て
何も喋らず座っている。
でも何故か自分ではそれらの人が親戚だとわかっているのだ。
その隣の部屋で私は母と二人だけで、向かい合って座っていた。
母はニコニコ笑って私を見ていた。
これは「お迎え」だと思った。
こういうシーンを何度か映画で見たことがある。
人は死ぬとき、ご先祖様が迎えに来てくれるのだ(らしい)。
私は母に会えて嬉しかった。
とてもとても、口では言い表せられないほどの喜びを感じていた。
母は黙ってニコニコ笑っているだけで、私ばかりが話ししていた。
看病もろくに出来なかったことを詫び、
あれも出来なかったこれも出来なかったと
何度も何度も詫び続けた。そしてもちろん死化粧のことも詫びた。
でも母はやっぱりニコニコ笑って黙って私を見ているだけなのだ。
しばらく沈黙があったあと、私は母に11匹の猫達のことを話していた。
私がいなくなったら、あの子達の面倒をみるものがいなくなる。
私はあの猫達が可愛くてしょうがないのだと、
いつの間にか一生懸命話していた。
母の笑顔は変わらなかったが、少しずつ姿が薄くなってきた。
そして知らないうちに隣の部屋にいた親戚達も
いつのまにかいなくなっていた。
私は母が「お迎え」に来てくれたのではないと思っている。
体調が悪く、物事を悲観的に捉えすぎている娘を
励ます為に来てくれたのだ。
そんな気がする。