※この記事は福岡市南区野間、三浦行政事務所のホームページより、サイト管理者の許可を得てそのまま転載しております。かざぐるまの会オリジナルの記事ではありません。
はじめに
現在、家庭裁判所に持ち込まれる相続問題の多くは、遺言書があれば生じなかっただろうと言われています。ところがこの「遺言書」、聞いたことはあるものの、いざ書こうとすると「はて、何をどう書けばいいのか・・?」と思う方がほとんどではないでしょうか。
実際に遺言書を書くといっても、ただ単にノートにメモをしておけばいいというわけではありません。故人の意思を尊重し、偽造等を防止するために、民法が厳格な様式を定めているからです。
三浦行政事務所では、生前における遺言書の作成から、お亡くなりになった後の諸手続きまで、一貫してご相談を受け付けております。
「失敗のない遺言と相続」
第1部 遺 言
1.遺言のすすめ
@なぜ遺言が必要なのか?
「妻に全財産をあげる」「長男にあの土地をあげて、次男に今住んでいる家をあげたい、現金は全部妻にあげたい。」など、ひと口に遺言と言っても、どのような内容の遺言をしたいか人それぞれ違うのではないでしょうか。
遺言では遺言者の自由意思を書くことができます。たとえ民法の法定相続分の規定に反することが書かれてあっても、遺言は遺言者の意思を尊重すべきものであり、法的にはその遺言は有効です。遺族の誰かが遺留分の減殺請求権を行使しない限り遺言はその通りに実行されます。
もし遺言がなかったら、民法の定める割合に応じた法定相続分の規定が優先されます。法定相続分に関係なく、相続人同士で話し合って財産の分け方を決めることもできますが、遺言書がなければお互いが財産の分け方について違う事を主張し合い、思わぬ相続争いに発展しかねません。
遺産分割協議書には相続人全員の実印が必要です。全員がすんなり実印を押してくれればいいですが、誰か1人でも反対者がいれば、いつまで経っても遺産の分割が出来なくなってしまうのです。遺言が無かったために遺族間で争いが生じ、遺産分割協議がまとまらなかったため、子や孫の代まで相続手続きが放置され、いつのまにか相続人が数十名までに増えてしまい、不動産の名義を変えるために大変な労力と年月がかかってしまったという、気の遠くなるような話も現実にあるのです。
このような事にならないためにも、残された遺族のために遺言を残す事がとても重要なのです。
A 遺言を残す3つの方式とは
普通方式の遺言には、3つの形式があります。それぞれ民法で一定の方式が規定されています。これはニセの遺言を防ぐためです。この形式を守らないと遺言が無効となってしまいますので注意が必要です。
●自筆証書遺言
基本としては@全部を自分の手で書く、A日付を書く、B署名する、C印を押す、の4つです。
訂正や削除などをする場合にもきちんとした方式に従わなければなりません。また、日付がはっきりしないものも無効になりますので注意が必要です。(何年何月「吉日」などと書いてはいけません。)
長所:費用がかからない。手軽に書ける。
短所:・方式に不備がある場合、遺言書が無効になる恐れがある。
・隠されたり、紛失したりする恐れがある。
・相続人の誰かがニセ物だと主張し、争いの種になる恐れがある。
・遺言が発見されたら、家庭裁判所の「検認」手続きが必要。(→相続手続が行われようとしている事実が相続人全員に分かってしまう。)
自己流の自筆証書遺言は、無効になる恐れがありますので、専門職による監修を受けられることを強くお勧めします。
●公正証書遺言
公証人が作成してくれますので、なまじ自筆証書遺言を作るより楽であるといえます。
長所:・公証人の作成した公文書なので、証拠力に優れている。
・ニセの遺言であると判断されることはほとんど無い。
・家庭裁判所での遺言の「検認」手続きが不要であるため、
公正証書遺言書それだけで遺産分割手続きをすることができる。
・遺言者が公証役場に出向くのが難しい場合は、公証人が遺言書作成のために出張してくれる。
・同じものを三部作り、そのうちの一部が公証役場に保管されるので、万が一の紛失に備えられる。
短所:・費用がかかる。
・証人2人の立会いが必要。
・面倒な作成手続
(行政書士等に代行依頼をすることで証人の手配と面倒な作成手続の短所を解消することができます。)
●秘密証書遺言
現実に利用されることがほとんどないので説明は省略します。
しかし、個別的な案件によっては、これで充分な場合があります。
作成内容によっては無効になる恐れがありますので、
利用される場合は、専門職による監修を受けられることを強くお勧めします。
第2部 相 続
相続問題は、人の一生において避けて通れない重要な問題です。面倒だからと相続手続を放置しておくと、子の代、孫の代と、相続人がどんどん増えていきます。
そうなると非常に面倒なことになり、残された子孫に多大な負担をかけてしまいます。相続人の間で相続争いが発展し、他の相続人を相手に訴訟を起こさなければ相続手続ができないという事態になれば、大変な手間がかかってしまいます。裁判のために弁護士を依頼すれば、その費用もたいへんな負担になるでしょう。そのようなことにならないよう、相続手続はできるだけ速やかに済ませることが大切になります。
1、相続人の範囲はどこまでなのか。
遺言がある場合を除いて、民法で相続人の範囲を定め、財産を相続できる遺族の順位と割合を定めています。これを「法定相続人」と称しています。
法定相続人の範囲は次のようになります。
◇ 配偶者(夫、妻) → 常に相続人になります。
◇ 直系卑属(子、孫、曾孫など) → 第一順位
◇ 直系尊属(親、祖父母など) → 第二順位
◇ 兄弟姉妹(兄弟姉妹の子までは代襲相続権あり) → 第三順位
以上のうち、被相続人の「配偶者」は常に相続人になります。被相続人にもし子(直系卑属)がいれば、配偶者と子が法定相続人となります。子はいなくても孫がいれば配偶者と孫が法定相続人となります。(第一順位)。
次に、直系卑属(子や孫)はいなくとも、親や祖父母(直系尊属)がいる場合は、配偶者と直系尊属が法定相続人となります。(第二順位)
直系卑属も直系尊属もいない場合は、配偶者と兄弟姉妹が法定相続人です(第三順位)。
尚、兄弟姉妹もいない場合でも、その子(甥、姪)までは代襲相続権があり、甥と姪までは法定相続人になり得ます。
ここで注意しなければならないのは、被相続人が死亡した時に、その妻が妊娠していた場合には、その胎児にも相続権があり、第一順位の相続人(直系卑属)が存在するということになります。
それでは、法定相続の割合がどうなっているか見てみましょう。被相続人が遺言でその割合を指定していない場合には、相続人は民法で定める法定相続分に従って遺産を相続することになります。民法の定める割合は次の通りになります。
@子(直系卑属)と配偶者が相続人であるときは、子と配偶者の相続分はそれぞれ二分の一
A配偶者と直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は三分の二、直系尊属の相続分は三分の一
B配偶者と兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は四分の三、兄弟姉妹の相続
分は四分の一
※子、直系尊属、又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は相等しいものとなります。
ただ、嫡出ではない子(婚姻外の子)の相続分は、嫡出である子の相続分の二分の一とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一となります。
※代襲相続によって相続人となる者(孫や甥、姪など)の相続分は、本来の相続人が受けるべきであったものと同じです。