2008/9/26

大阪物語(’99)ー追悼・市川準監督ー  日本

先日「SONGS」に出ていた沢田研二出演、実生活で妻の田中裕子と漫才夫婦役、その14才の娘役池脇千鶴の目線で追った大阪舞台の市川作品。コミカルで平和な暮らしぶりの作品かと思っていたら、最初の方はそういう雰囲気でもあったけれど、じわじわと家族に波乱が起こっていく展開。

ジュリー演じる降介の芸人風気質での家庭人としての破綻。別れてもコンビは続け、浮気相手とその赤子をも包み込んでいく、田中裕子演じる晴美の大らかな難波女ぶりとプロ根性。前半、しがらみを越えて近所に住む二組の親子が団欒していく様は、御伽噺のようではあったけれど、それを支えていたのは晴美の酸いも甘いも噛み締めたようなキャラクターで、作品のテンポも保たれていた感が。

実際離婚後も続行の漫才コンビがいたけれど(検索したら正司敏江・玲司)、そういう両親の漫才姿を、奥底の心の機微は理解出来ずとも、感じ取ろうとする少女、池脇千鶴の多感な眼差し。この2年前「ASAYAN」で市川監督に見初められ三井リハウスガールに抜擢されていて、これがデビュー作なのだった。大阪出身だし関西弁も自然。

母の影響で父の浮気相手にも心配りしたり、腹違いの赤子を世話する健気さと気丈さ、が似合う少女の物腰。この作品脚本は犬童一心監督だったようだけれど、前に主演で見た犬童作品「ジョゼと虎と魚たち」('03)以来の透明感+硬質な魅力が出ていた作品。

ジュリーが漫才師とはミスマッチ、の先入感はあったけれど、「夢二」のニヒルさとは違う風来坊な味。「夢二」以来と思っていたけれど「eiko」にも出ていたのだった。さすがに田中裕子との息はバトル的な絡みも全編通して自然だった感、田中裕子は主演クラスでは「火火」以来、やはり何か見る度独特な”素”のたくましさ。

後半は消えた父を探しての池脇千鶴、学校をドロップアウトしていた友人南野公助のロードムービー風、最初に転がり込む、女と彼女が世話する老人、子供達がいる不思議な家、出会う父の知人達は皆好意的に父のエピソードを語り、やはり御伽噺的ではあったけれど、

普段気丈な彼女が、ミヤコ蝶々の前で「お父ちゃん、大阪におるんかな・・」と呟くシーンの表情は、そこだけが、生身の14才の娘らしい心細さ繊細さが出ていて、やはり少女の心情の余り多くは語らない、という作風だけに、印象的。年輪の貫禄のミヤコ蝶々も、今回検索中、偶然か離婚後も漫才を続けた人なのだったと。

また、父から知人に届いていたくだけた絵葉書を見て一瞬和むシーンからかぶさって真心ブラザーズの「ENDLESS SUMMER NUDE」という曲が流れ、2人が自転車で街を走り抜けるシーンは、真心ブラザーズは名前は知る程度で曲もじっくり聞いたことがなかったけれど、2人のこの旅で初めてやや弾ける笑顔、ゴチャゴチャした街を駆け抜ける疾走感、に朴訥な歌声が似合って、そこだけがストーリーとは別に、独立のプロモーションビデオのようでもあり、テーマ曲は尾崎豊の「風にうたえば」だったけれど、今回この「ENDLESS・・」の方が断然インパクト強く、

ずっと市川作品を追って見てきた訳でなく、今回思った事ではあるけれど、「BU・SU」の富田+原由子といい、CM畑的な切り口でか、改めて、そういうものを入れ込み短時間単位で見せ場を作る妙、を感じ入ったりした。このシーンや父の知人と会う以外の2人の旅、10代前半で街をさ迷うあてどなさ、切なさは近年では「カナリア」が重なったり。

後味的には、漫才夫婦という笑いのファクターの中の、情けなく図太くもある人々の、やや甘酸っぱい人間模様を見た、という感触。(http://www.amazon.co.jp/%E5%A4%A7%E9%98%AA%E7%89%A9%E8%AA%BU・SU(’87)ー追悼・市川準監督ーSONGS 沢田研二Part1

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2008/10/24  23:40

投稿者:Autumn

岡本さん、コメント有難うございます。若菜役は池脇千鶴のままで、その後の母子達は見てみたい気もしますね。

2008/10/24  17:55

投稿者:岡本一心

富田靖子から池脇千鶴へ。二人とも!大阪物語は続編無理かな?


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