デンマークでも食の安全問題がないわけではありません。きょうのmetroXpress紙(フリーペーパー)では、アイスクリームのブランド「Paradis」社は、前日の古いアイスを今日作ったアイスと混ぜて使っている、と書き立てました。食品管理局の監査によれば、広告では「その日に作った」と書いてあり、偽称とも言いえるもの、としています。これに対し、同社は、「古いアイスは約20%程度で、十分『新しいアイス』と称して販売することはできる」と反論しています。さ、みなさんはどう思いますか?
おそらく初物大好きな日本ならば、メディアは続報でも打つような大事件としていくでしょうが、案外デンマークのメディアは冷めています。同紙を受けて他紙は隅っこに転電記事を掲載している程度です。
記者時代に厚生労働省を担当したときに、ある社の古い肉まん使用問題をスクープしたときのことを思い出しました。消費者は喜んで同社の肉まんを食べていたのですが、私の記事以降、悪評が立ち、同社の株価も一気に下がり、経営陣も一新されてしまいました。同社とのやり取りの中で、「今後改善するつもりなので、書く必要があるのか」と訴えられ、そう訴えた役員は退陣を迫られました。たまたま株価低迷で経営建て直しを同社は図っていたのでなおのこと痛手だったようです。我ながら人の一生を左右することにもつながるメディアの恐ろしさを感じました。
正直言って私は落ちたものでも食べてしまう人間で、おいしければいいのでは、という思いはあります。が、やはり「だます」という行為だけは絶対に許せません。しかし、「どこまでが認められる表示か」という認識の違いもあるのは確かで、コストダウンの結果、そのギリギリのところで損益の分岐点に立つ会社が多数あります。これに対しては私は、食す国民が事実を知った上で最終的には裁くべきだといまでも思っています。デンマーク人と比べて、日本人はちょっとこの問題に敏感過ぎるきらいはありますが。

Paradis社の店頭で並ぶアイス。