運命とはかくも粋なはからいをするものだと…【荒瀬駅】

私は10月の秋田行きが決まった今年(2007年)の春に、この駅に寄る事に決めた。私が比立内で生まれた証しを息子に残したいと思った。比立内はマタギの里である。マタギの人々が生き残るために携帯する究極の武器…それは“ナガサ”と呼ばれるものだ。

マタギの文化が発祥して以来、熊との命を掛けた攻防の歴史の中で研かれ続けて来た武器。中でも九寸五分というナガサがある。西根打刃物製作所の初代鍛冶師が完成に漕ぎ付けた究極の刃物である。

春に予約を入れ直接受け取りに行きたくて郵送はよしたのだが、納品の前日の集中豪雨の被害を受けて、そのナガサは水害に遭ってしまったのだ。内陸鉄道の沿線も豪雨の爪跡が生々しく残っていた。

ナガサが当日手に入るわけではないが、私は余計、直接お伺いしたくなった。いろいろ被害のお話など伺った。鍛冶の工場もじっくり見せて頂き感銘を受けた。工場が復旧次第、ナガサと再会できる。楽しみを残し、この駅を後にした。

【阿仁合駅】


阿仁合駅はこの単線の中継地点で本社のある駅だ。風景と隔絶した特徴的な駅舎が逞しく見える。過去に何度かやって来た廃線の危機を脱した鎧に思える。今また押し迫ったその危機に立ち向かわなければならなくなっているが…


急行との乗り継ぎの合間に、予約しておいた内陸線特製の「阿仁まるごと弁当」を売店まで受け取りに。地物山菜、馬肉の煮付けなどで阿仁をミニ満喫。阿仁合駅名物プリンは車掌さんが車内販売もしているが、数に限りがあるのでこの売店で買うのが賢明。4種類のうち、お米プリンがお薦め(^^)


小渕駅〜前田南駅あたりから時々徐行運転が始まる。車窓からはところどころに青いビニールシートで覆われた斜面が見える。
【阿仁前田】


“クウィンス森吉”という温泉施設のあるこの阿仁前田駅。今夏(2007年)の集中豪雨での死傷者を出す甚大な被害はこの町に最も傷跡を残した。車窓から見える県道の片側の滑落した現場が生々しい。秋田わか杉国体を前に賢明の復旧作業が行われた。
桜の名所・桂瀬駅〜有人駅・米内沢駅〜3時間無料でインターネットが利用できる駅・上杉駅

“三十四体”の観音像が置かれているのに三十三観音像という名前の観音堂(樹温寺)のある駅・合川駅〜ディーゼル機関車が保存されている森林展示館まで30分・大野台駅〜ホーム脇に“こごみ”が自生する小ヶ田駅

【西鷹巣駅】

車窓を眺めながら撮影やら思い出にふけっている間に、車内アナウンス「次は終点・鷹巣〜」が入る。あっという間の秋田内陸線・初乗車の旅だった。手荷物を確認。
【鷹巣駅】


秋田内陸線の終点・鷹巣駅に到着。隣接するJRは「鷹ノ巣駅」。内陸線の駅は、それと区別するために町名と同じ「鷹巣」となっている。この駅を降りれば、今回の旅の最大目的・母校のイベントの講演の時がカウントダウンとなる。あれから40年近い歳月が流れたなんて信じられない。


JRの駅前の駐車場には、今回の旅の目的を指す看板が掲げられていた。じんわりとプレッシャーがよぎる。市町村合併による母校の統廃合が数年後に迫っている。創立40周年の区切りとなる今回、私はこの記念イベントで講演を依頼された。

卒業以来の鷹巣訪問だった。街はそれ程変わってはいなかったが、道路が整備されて綺麗になっており、いくつかの公共施設が建っていた。


近郊には道の駅“たかのす”がある。隣接して“太鼓の館”があり、ギネスに乗る世界最大の太鼓も展示されている。


道の駅“たかのす”に行ったら、“ししとうソフト”と“ししとうラーメン”は要・体験。


今回の講演の会場となる北秋田市文化会館も初めて見る。母校の生徒諸君の礼節は、こんな時代にあって期待を裏切るものではなかった。誇りに思う。

講演の後は合流したステージ・E−1一同による“みちのく子供風土記館”で子ども会育成会主催のボランティア公演。大勢の地元の方々が駈け付けてくれた。出し物は拙著“赤ずきん・防犯編”。夢中で乗り出して物語に入り込み声援を送ってくれる子供達が可愛過ぎ。
50半ばを過ぎた我が同窓生の強力なバックアップや、駈け付けてくれた友人達のお陰で、鷹巣での全ての工程も無事完了。夜の歓迎会では、旅に出て初めての酒に舌鼓を打ち、感激でこぼれそうになる涙を堪えるのに一苦労した(^^;
さて、明日はいよいよ最終日。伝説の“安の滝”への踏破が待っているので幸せ腹六分で同窓の友と解散する。みんな、ありがとう!
〔 秋田内陸縦貫鉄道Cに続く 〕