2009/9/26

カルガリー・ドタバタ・珍道中(1)  カナダ・バンフでの日々

さてさて、長い暗闇の果てに、ようやくアルバータ州移民合格の結果が届いたのが今年の4月のことだったのは、皆さんもよく覚えていらっしゃるかと思います(笑)。それから国の政府移民局に、改めて申請書を送ったのが5月の半ばころでした。後はひたすら待つのみね、とのんびりかまえていた夏のある日、バンフ郵便局の私書箱に、ついに封筒が届きました。はるか遠くのアメリカ、ニューヨーク州から届いた指令は、「健康診断に行くべし」。きたきたきたーーー、カナダ移民、かなり最終段階に近づいてきました!

なぜなのかはよく分かりませんが、移民申請というのは、国外にあるカナダ大使館で行われるのが常で、私の件はニューヨーク州のバッファローという町にある移民局で審査されることになりました。カナダ在住の日本人の件は、たいていこのバッファローか、フィリピンのマニラで行われるようです。カナダに住んでいるのに、カナダに移民する手続きのために、カナダ国外のカナダ大使館と、高い郵送料を払って長々とやりとりしなければならないのは、なんとなく理にかなっていない気がするのですが、まぁ政府やお役所のすることに文句をつけても始まりません。

さて、そんなわけで健康診断に行くことになったわけですが、これが面倒くさいのなんの。どの病院に行ってもいいわけではなく、移民局に認定された医者のところに行かなければならないのです。もちろんそんな医者がバンフやケンモアにいるはずもなく、休日にカルガリーまで出かける必要があります。やれやれ。
とはいえ、車で1時間強の移動ですむのですから、僻地に住んでいる方のことを考えれば文句は言えませんよね。考えてみれば、巨大なアジア食品のスーパーや、日本領事館、IKEAにMEC(カナダのアウトドア生協)があるカルガリーに近いバンフ・ケンモアの立地は、非常に恵まれています。

カルガリーに4件ほどあるお医者さんのリストから、とにかく一番簡単に一番早くネットで予約が取れたところで即決しました。他のお医者はみな電話予約、でもこれがつながらないわ、留守電だわ、夏の休暇でいないわ・・。やっぱり今は病院の予約もネットでポンの時代なのですね。
ところがお医者の診察だけでは済まないのが、移民の健康診断。このほかに血液・尿検査と胸のレントゲンも取る必要があり、全て別々の場所でやらなければならないのです。面倒くさすぎ!なんで一箇所の大病院とかで一度に全部出来ないのでしょう。日本の学校の健康診断のほうがよっぽど進んでいる気がするのですが・・。と、やっぱりこれも文句を言っても仕方ありません。車の運転に全く適さない、一方通行と工事だらけのカルガリーの町を、3箇所無事にハシゴするべく、それぞれの場所への行き方や連絡先を丹念に下調べをし、準備万端・・・、と、そんな私にバッファローから新たな指令が!
「カナダの無犯罪証明をとるべし」

・・移民というのは、沈黙に耐えてじっと待つ時間が長い反面、動き出すと一気にどっと動く傾向があります。何、今度は無犯罪証明だって?

一番最初の申請書を出す段階で、18歳を過ぎてからある程度の長さ暮らした国での、無犯罪証明書を提出しなければならなかったので、このときに日本とアメリカの無犯罪証明書は送ってありました。この段階ではカナダの証明書は取る必要はない、とあったので全く手をつけていなかったのですが、ううむ、ここへ来てやっぱり出せときたもんだ。
まてよ、そういえば誰かに「既に何年かカナダに住んでいる人は、後の段階でカナダのも出せって言われるよ。」と聞いたような・・。しまった、すっかりそんなこと忘れていた。日本のもアメリカのも申請してから取得するのに2ヶ月くらいかかったぞ、カナダのも今から申請してそれくらかかるんじゃ・・。指紋に基づいた証明書、と書いてあるし、とほほ〜、移民申請がまたこれで遅れるわい・・。

「バカがつくほどの健康体です!」「犯罪なんてとんでもない、生まれてこのかた清廉潔白、聖者のごとくです!」といくら一人で威張ってみても(なんのこっちゃ)、もちろんお役所の方は耳を貸してはくれません(笑)。全ては正式な書類と手続きの後ろ盾あってこそ。

さあ大変、慌ててバンフのRCMP(カナダの国の警察機関です)の派出所に、以前アメリカの無犯罪証明書を取得するときに取ってもらった指紋を持って、出かけてみました。
分厚い警察署の扉をくぐる瞬間は、いつも体を小さく萎縮してしまうようなひととき。ごつい体にごつい防弾チョッキをつけた警察官のいでたちには、それだけで威圧感があります。ま、威圧感や強さが感じられないようじゃ警察の仕事になりませんよね(笑)。しかし無実の一般人にとっても、やっぱり居心地の悪いのが、警察署という場所。そわそわと待合場所で結果を待つ私に伝えられた事実とは・・・。
「あなた、指紋をオタワに送らなければならないわ。ここでは何もできないのよ。」「は、オタワでございますか・・。」
オタワは、はるかカナダ東部の、オンタリオ州にあるカナダの首都です。
「ええと、それってどれくらいかかるんでしょうか。」
「オタワはとにかく山ほどこういう仕事をかかえているからね、だいたい120日くらいかかるわね。」
「ひゃ、120日、ですか!!??」
バッファローから届いた指令には、60日以内に取得して送れ、と書いてあります。「すいませ〜ん、でもオタワが120日かかるって言っているんです〜。」という手紙で許してもらえるでしょうか。ああ、もっとはやくに手をつけるんだった!
日本の無犯罪証明書を申請したときなど、神奈川県警に出向き、デジタル画面で指紋採取、あとはコンピューターのデータと照合して、数日で証明書を出してくれたと思うのですが、ここカナダでは古典的な朱肉指紋採取、そしてオタワに郵送、手作業で指紋照合、120日ときたもんだ。1世紀くらい遅れているんじゃ・・。いやいや、そんなこと考えている場合じゃないぞ。
眉間にしわをよせて悶絶している私に、ふとオフィスの女性がこんな情報をくれました。
「そういえばカルガリーにコミッショナリーっていう警備会社があってね、そこはRCMP認定のデジタル指紋採取をしていたはずよ。そこなら確か数日で結果を出してくれたと思うわ。」
これが警察署のデータバンクやファイルからのアドバイスではなく、「私のアジア人のルームメイトが、新しい雇い主のホテルからカナダの無犯罪証明書を出せって言われて、この前カルガリーに行ってやっていたのを思い出してね。」という点が、なんともバンフの警察署らしい、のほほんさ。でもまさに渡りに船です!

さっそく新たに「コミッショナリー」の予約も午後に入れ、既にきつきつだったカルガリー健康診断の日は、もはや殺人的スケジュールの装いを帯びてきました。大丈夫か、これ・・。
ただでさえ山女、もしくは野人と化して数年の私にとって、大都会かつコンクリートジャングルのカルガリーは、テンパリまくり、途方にくれてしまう地獄のような場所なのです。何十回と書類を確認し、住所と地図を見直し、その日を待ちました。ミスしたり予約に間に合わなかったりして、もう一度カルガリーに繰り出すなんて、まっぴらごめんですからね。

そして迎えたそのカルガリーディは、本当に、笑ってしまうくらいの珍道中になったのでした。今思い返しても、なんだかあの一日は「初めてのお使い・大人版」はたまた「野人・大都会を訪れるの巻」とでも呼ぶに相応しい珍道中だったような気がします。

そんなドタバタ模様の報告は、(2)につづく!
明日更新、の予定です。どうぞご期待ください・・。







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