2009/10/2

キャンプファイア  カナダ・バンフでの日々

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それは、遮るものがなにもない、広大なウィルダネスでの夜のこと。
4輪駆動の車でなければ入れない、秘境のような谷間の中でのキャンプ。
半径10キロ以内に、その夜私たち以外に人間が存在しないことは確かだった。
車の音もなければ、町の灯りも見えない。
はるか昔、原始の世界に迷い込んでしまったかのよう。
文明社会は、遠く、手の届かない別世界の話。

そして、私は炎の力を知った。

広大で底知れぬ森の暗闇の中、キャンプファイアを始めるだけで、炎の放つ光が、とたんに居心地のいい境界を造るんだ。
この境界の中は、私たちの空間。安全で、暖かくて、安らかだ。
炎の暖かさ、そして光。森の暗闇の中で、それこそが私たちが必要としているもの。心細さや恐れは、炎のゆらめきに溶けていき、未知の自然が心地よい一夜の寝床となっていく。それは、まるで魔法のように。

知らずのうちに、話す声が、低いささやきになっていた。
ささやかな、小さな存在の私たちだけど、炎のおかげで、この晩だけ、この空間に存在することを許されたかのように思った。

マグカップを持ってきて。あたたかいお茶をいれようね。
木切れをもう少し加えて、熾ができたらゆっくりことこと、スープを作ろう。

満天の星。町の光の届かぬこの谷で、夜空は真の輝きを放っていた。
山から山へ、天の川の架け橋。

国立公園の中ではキャンプファイヤは禁止されている。
キャンプ場の人工の囲いの中でしか、炎は生きることを許されない。キャンプをすることも、お金を払って定められた場所でしか、許されない。キャンプファイアの木切れは、たいていどこかで買ってくるものだ。
それは、キャンプファイア、もどき。
もちろんキャンプ場でのキャンプも、自然の中での非日常な楽しい生活をもたらしてくれるだろう。でも、すべては政府と法律に決められた範囲、整えられた範囲での話なのだ。多くの人間が、自らの手で野外で生き延びる術を失って久しい。
守られている自然の中で、私たち人間も守られている。動物園の檻の中で、偽の環境の中ぼんやり暮らしている動物たちのように、、。

ここ、国立公園のすぐ外にある秘境「ゴースト」は、人の手がほとんど届かない、本当のウィルダネスだった。私たちは、岩とたわむれ、自分たちの好きなところで眠り、そしてキャンプファイヤの炎で踊った。
こんな場所が、あとどれくらいこの大地に残っているだろう。

失われた自然、失われつつある自然、守られ過ぎた自然、、、。
いつか、私たち人間が、調和とバランスを見出す日がくるのだろうか。

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炎はゆらめき、踊り、私たちの頬を煌々と照らした。
原始の温もり、原始の光。時間と記憶は曖昧に、時代の境界は意味をなくし、その瞬間私たちは、太古の人間と同じだった。

死んでしまった枯れ木が放つ、まばゆいほどの煌めきに、新しい命の力を見る。大気に溶けていく、木々に蓄積された、何十年何百年の記憶。

闇の中にたちのぼる、煙は高く、天へと還り、満天の輝きの夜空の下で、小さく燃えるキャンプファイアは、灯台のごとく。

あたたかなマグカップを手に、この夜が少しでも長く続けばいいのにと、私はひっそり心で願った。
キャンプファイアの魔法、ウィルダネスの夜。

それは、夏の夜の、ゴーストとよばれる谷間での話。





2009/10/9  6:40

投稿者:kamy

 カナダの自然に対する考え方や法律等楽しく読みました。
 大自然を守る為には人間の方にも規制がちゃんと入っているのを知りました。温暖化で自然に火が起こっり、ちょっと不注意で人間が火をつけてしまったりの火事がニュースになっていますね。
 人間の交流が世界的になって、小さな生物までも国際化で、そのぞれの島や大陸独自にあった弱い生物がいなくなっています。これも長い目でみれば生物の更なる進化になっているのでしょうけど。もう少し今のままの自然が続いて欲しいですね。世界交流でみんな同じ世界や同じ考え方になったら怖いですね。
 バンフの景色は冬ですね。

2009/10/9  6:40

投稿者:kamy

 カナダの自然に対する考え方や法律等楽しく読みました。
 大自然を守る為には人間の方にも規制がちゃんと入っているのを知りました。温暖化で自然に火が起こっり、ちょっと不注意で人間が火をつけてしまったりの火事がニュースになっていますね。
 人間の交流が世界的になって、小さな生物までも国際化で、そのぞれの島や大陸独自にあった弱い生物がいなくなっています。これも長い目でみれば生物の更なる進化になっているのでしょうけど。もう少し今のままの自然が続いて欲しいですね。世界交流でみんな同じ世界や同じ考え方になったら怖いですね。
 バンフの景色は冬ですね。

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