成道会では空手クラスの5級から、スーパーセーフ面、すなわちマスク着用の組み手に入る。
その場合、その当人の目的が健康法であったり、ストレス解消であったりする場合、組み手を勧めることはあっても強要することは絶対に無い。
私自身、大道塾の出身であり、寮生、内弟子として3年間以上を過ごしてきたが、その間、週2回のマスク着用のフルスパーリングが行われており、その組み手で揉まれ、鍛えられた経験が現在の実践組み手の基礎になっている。
マスクを着用しての組み手の長所は、
激しく打ち合っても外傷が残りにくく、ボクシング等、グローブ式によく見られる網膜剥離等の目の傷害が起きにくい点である。
だから、週2回といったガチンコの組み手が可能となる。
元々、大道塾の創始者である東先生が自身の実戦経験を踏まえて、極真カラテを基盤にして考案された組み手方式であるから、その現場での
攻防能力の養成度の早さ、高さは目を見張るものがある。
大道塾のコンセプトとして、興行としての格闘技の確立ではなく、社会体育の一環としての格闘技の普及という目的があり、それは現在、空道として世界各地に拡がりを見せている現状から、この方式の現代社会における適合性が卓越していることに疑問を差し挟む余地は無い。
成道会発足以前の段階で、門下生に組み手を行わせ、教えていく段階でこのマスク着用方式を採用するべきかどうか、思案した時期があった。
太気拳の組み手は本来、素面素手であり、マスク着用によってその攻防形態が大きく変貌することは容易に想像でき、太気拳の目的とするそれとはイメージの上でなかなか繋がらなかったからである。
しかし、素面素手の組み手は外傷が残る可能性が高く、未経験者を組み手に参入させるにはいささかリスクが大きく、離脱者が増加する懸念が払拭できなかった点と、
まずはしっかりした打撃を身に付けて、自由に打ち合うことの出来る組み手方式で攻防感覚を養成した後に、太気拳本来の組み手に移行する方法を選択した。
マスク着用組み手の長所は、顔面という人体の中でも鍛えようのない急所がいくつも存在するパーツをプロテクトすることで、お互いのパンチ、蹴りを思い切りぶつけ合うことが出来、それでいて
顔面の怪我が少ないという点である。
であるから、格闘技を目指す社会人にとっては組み手の後で顔が腫れたりすることが少なく、次の日の仕事に支障が起きにくく、実際の攻防感覚を養成していく上では実に取り組みやすい方式である。
だからと言って、決して組み手が楽になるわけではなく、ハードであることは変わらない。
ただ、組み手の性質は少なからず変わる。
マスクを着用することにより、本来、破損しやすい顔面頭蓋の大部分はポリカーボネイトで保護され、相手にダメージを与える打撃は脳震盪や三半規管を狙ったものが中心となる。
空手の正拳突き等は、顔面頭蓋の破壊そのものを目的とする所があり、その点では、長所と裏腹に顔面への被撃、接触に対して本当はかなりナーバスになるべきところが、反対にイージーなものとなって、組み手自体は肉弾戦の様相を呈し、やや大味となり、武術本来の繊細な術理は反映されにくくなり、より武術的な水準の技術は養成しがたくなる側面もある。
岩間先生は「武術としての組み手の目的のひとつは、
まず相手の顔面への攻撃をいかに回避するかにある」と言われている。
この点、「マスクの組み手もいいが、顔には何も付けない組み手も必ずやるように」とのご指摘を受けている。
組み手方式を考案したり、導入するときの大きな課題は顔面への拳による攻撃をいかに制限、あるいは減殺するかに尽きる。
硬い頭蓋を素手の正拳で打つ、傷つきやすい顔面が拳撃を被る。これが古式の正当な方法であるが、危険であるから様々な方式が考案される。
ボクシング等のグローブ式もそうであるが、マスク着用によるノックダウンルールの組み手もそのひとつである。
成道会では、空手クラスの初段に昇段するにあたって、マスク着用の5人組み手を完遂することが課題になっている。
初段になるまでは、組み手の際にマスクは外さない。
これをクリアし、パンチ蹴りの打撃攻防感覚が、ある一定の水準へ到達したと見なされる初段の門下生のみが次の組み手に移行する。
それまでは、このマスク式組み手が、太気拳組み手に至る前段階の攻防感覚を養成していくための、重要な手段として位置付けられている。
話は変わるが、私の格闘技歴は大道塾から始まっている。
大道塾で学び、得たものは非常に大きく、それは生涯の財産として、今現在も私の中で生きている。
東先生、諸先輩方は今でも私の憧れであり、尊敬の念はいささかも変わらない。
太気拳に出会い、約5年の在籍で大道塾を退会しているが、この5年間がなければ、今の私は無く、太気拳の組み手にも付いて行けてなかったであろう。
東先生、大道塾には感謝こそすれ、偉そうにその活動内容や取り組みを評価、意見できる様な立場にはない。
大道塾を否定することは、自分の過去を否定し、自分自身を否定することだと思うし、従って、今回のブログの内容は私の大道塾時代の経験に基づいた成道会で採用している組み手方式の現状における、あくまでも個人的な一検証談に過ぎないことを申し上げておく。
大道塾、空道がより一層の発展をして行かれることを心から願う。
成道会で行われているマスク式組み手のワンシーン
空手拳法成道会
http://members2.jcom.home.ne.jp/joudou/

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