この人は、なぜこんなに若くして、これだけの文章が書ける=これだけの情報が発信できるのでしょう?という問題の続きです。
この人のプロフィール
http://srysrysry.blogzine.jp/about.html
を見ると、もちろん大学は出てはるんやね。今はフリーターって書いてあるから、大学院生=研究者の卵ではない。
たしかに、それなりに偏差値の高い大学を出てはるんじゃないかという気はする。「なぁーんだ、結局、お勉強ができるってこと?」。いや、そうではない。仮に東大生でも、ボーっと過ごしてる人がこれだけの文章を書くのは無理。
■じゃあなぜ?
結論:膨大な情報を日々取り込んでいるから。
この人のサイトの
「LINKS」(右メニューの下のほう)を見てほしい。この人がよく行くサイトがズラーーーッと並んでいる。日常的に、これだけのサイトに目を通しているってことだ。試しにいくつかクリックしてみればわかるが、どれも難しいギロンをしている。
量・質ともにすごい情報量だ。もちろん、インターネットの他に本もたくさん読んでいるだろう。
断言しよう。
何か価値のある情報を発信(アウトプット)できる人は、その何十倍、何百倍もの情報を取り込んで(インプットして)いる。取り込んだ大量の情報が頭の中で突き合わされ組み合わされ、新しい情報が生み出されるのだ。だから、書ける。
前回、インターネット時代になって無数のアマチュア情報発信者が現れたと言った。中にはフツーの人が日記や雑感をテキトーに書いているだけのも多いが、僕らプロから見ても参考になるサイトも少なくない。そういうサイトの主は、必ずや大量の情報を日々取り込み続けているのだ。
■この「LINKS」の中に、
「新・後藤和智事務所〜若者報道から見た日本」というサイトがある。
http://kgotoworks.cocolog-nifty.com/youthjournalism/
実は、この後藤くんという人も現役の大学生だ(東北大学とのこと)。
このサイトは、マスコミや出版界に最近よく見られる「若者叩き」を批判するのが目的だ。その手の本を次々と取り上げては厳しく批判するのだが、
当然のことながら、批判するってことはまず読んでいるわけである。
また過去の記事をよく見ていくと、若者叩き本にかぎらず、自分の読んだ本のリストを挙げて紹介している記事もある。
■
みんな! ほぼ同世代で、これだけの情報・知識を日々取り込み続けている人がいるってどう思う??
もちろん、この人たちは「特上」クラスだ。誰もがこのレベルまで簡単に到達するわけはないし、またそうならなきゃいけないなんて絶対に言わない。
でも、仮にこの人たちの半分・・・いや1/10や1/20でいい、日々情報を取り込み続けている人と、「本なんて何ヶ月も読んだことねーよ!」(実は、本学の学生諸君のざっと半分はそうだということを僕は知っている)という人たちとでは、1年、2年・・・と時がたつにつれ、どれだけの差がついてくるか想像してみよう。空恐ろしい落差だ。
■ここでちょっと、「今どきの就職はどんなことになっちゃってるのか」という話に戻る。
http://srysrysry.blogzine.jp/meniutsuru/2005/02/post_2.html
この記事に、
「あたらしい時代の雇用3タイプ」ということが書いてある。
詳しくは記事を読んでもらいたいが、要するに、1:「長期蓄積能力活用型グループ」と2:「高度専門能力活用型グループ」が重用され、そうでない人たちは3:「雇用柔軟型グループ」として、相当に格差のある扱い方を経済界(企業)は考えているということだ。
最近、マスコミでよく言われる
「格差社会」という言葉は耳にしたことがあるだろう。それは要するにこういうことなのだ。
■そし再び断言しよう。
1:「長期蓄積能力活用型グループ」や2:「高度専門能力活用型グループ」になる人というのは、日々、情報を取り込み続けている人たちなのだ。
だから逆に言えば、
大学を卒業するまで「本なんて何ヶ月も読んだことねーよ!」という人は、高い確率で3:「雇用柔軟型グループ」に組み入れられていく。おそらく本学卒業生のかなりの割合は、このコース3か、コース3と1や2との境目あたりを歩いていくことになる。先日、大学の論文集に載った自分の論文でも、僕はハッキリとそう書いた。
もちろん、これはあくまで「統計的な確率」や「傾向」の話だから、個人差はある。本なんてほとんど読んでいなかったが、一部上場の証券会社に採用された先輩もいるのは事実。だが彼は、早い時期から「自分は営業マンになる!」と決めていて、営業のアルバイトまでして実力を磨き、その上で就職活動に臨んだ。やはり、何か「特別なこと」はしていたのだ。
■誤解しないで!
僕は、「一流企業に入ることや、1:「長期蓄積能力活用型グループ」や2:「高度専門能力活用型グループ」になることがエライ」という価値観を押しつけようとしているわけではない。
そうではなく、僕がみんなに言いたいのは、
「自分は何を(どれくらいのレベルを)めざすのか」を決め、そして「そのためには何が必要か」を客観的に見極めてほしいということなのだ。
例えばプロのDJになりたいという人が、ここで言っているような「情報」を取り込む必要はないだろう。そういう人は社会や企業や政治経済の情報ではなく、音楽の情報に徹底してアンテナを張り、またDJテクニックを磨くために日々練習するべきだ。目的と、それを実現するための手段とはそういうことだ。
だが、
本学は「経済学部」。世の常識では「ビジネスマン養成学部」だ。実際、学生諸君に聞いてみても、「企業に就職したい」という人が大半だ。そうした進路希望は僕ら教員や大学が押しつけたわけではない。みんなが自分で決めたことだ。
■
「これが普通」に埋没することの危険
人は、自分が所属する集団の常識に照らして「普通」というものを判断する。だから属する集団が変われば、「何が普通か」の基準も違う。
そして僕ら教員という第三者から見ると、
どれだけの情報を取り込み続けるべきかについての「神戸国際大生の普通」は、多くの学生諸君が抱いている将来の夢との間で決定的なズレを生んでいる。おそらく、「本学の普通」に埋没しているかぎり、なかなか願い通りにはならないだろう。
少なからぬ学生諸君が、就職活動でそれに気づく。そして後悔する。そういう先輩を僕はいくらでも見てきた。
もちろん、人生なにごとも遅すぎるということはない。だが、就職活動の段階で気づいても、僕ら教員としてはもはやほとんどしてあげられることはないのだ。僕はそれがいつも残念でならない。
■
「○○をしよう」という提案に「えーーーつ?!」と言う前に
うん、まあ気持ちはわかるんだけど(^_^;)
みんな、これまでの12年間の学校生活で、いやと言うほど何かを「やらされて」きたからね。僕だって楽できるんなら楽するほうが好きだし。
でもなー、ここまで説明してきたように、「これが普通」はホントまるっきり当てにならないんだよー。紹介した二つの「特上」サイトと「本学の普通」との、ものすごい距離。そして、その中間に無数の「これが普通」と思っている様々な集団がある。
どれが「正しい」かなんて言わない。問題は、「自分の目的」に照らして、何を(どの程度を)「普通」とみなすかなのだ。
僕ら教員が「○○しよう」と提案することには、多少なりともなんらかの理由がある。もちろん、大学のセンセイなんて世間知らずだから、間違ったこと・無駄なことを提案することもあるだろう。だから、「先生! そんなことより、こんなことをしましょう!」という再提案は大歓迎だ。
でも、「えーーーつ?!」と言う前には、ちょっと考え直してほしい。僕がここまで、なんとか少しでもわかりやすく説明しようとしてきたことを・・・。
■
そして少なくとも、僕らが「これをぜひ読んでほしい」と言って示す資料(ネット上のページであったり本のコピーであったり)には、きちんと目を通してほしいのだ。
大学の勉強はどうしても、
・ある程度のまとまった分量のテキスト(文字情報)を読みこなし、
・それを自分なりに要約・整理して記憶し、
・必要とあれば人に説明したりできる程度に使いこなせるようにする。
といった形になる。高校までのように、「はいこれ覚えて〜」というわけにはいかないのだ。
僕の担当講義科目のレポートを書いた人はわかると思うが、僕は常に、まとまった分量の資料を読んでもらい、それについてレポートを書くという形で課題を出している。
たしかに講義でもいろいろ説明はするが、実のところ、
講義で伝えられる情報量はすごく限られている。もしかすると意外に思うかもしれないが、
講義とは別にテキスト情報を自ら読みこなすという作業をしない人に教えられることは(あえて言おう)たいへん少ない。
※事実、今、この話を僕はテキストで伝えようとしているわけだが、もしこれを講義(ゼミ)の時間だけで伝えようとしたらどうだろうか? 細かいニュアンスまで含めたこれだけ詳しい情報伝達が、講義という空間だけで可能だろうか? 僕は絶対に無理だと思う。
「情報を取り込む」ということに関するみんなの「普通」や「常識」をぜひ変えてほしいのだ。
【補足】
この話題は、ひとまずここで打ち切りです。
みなさん、今回の話を読んで、どんなことを思いましたか?
■ちなみに
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