「20世紀の「大恐慌」と21世紀の差異性:20世紀「大恐慌」と21世紀「世界同時デフレ不況」」
世界経済のゆくえ
以前から、世界経済は、これから「世界同時デフレ不況」へと向かって進んでいくと予測していたが、このところの「米国株安」と「ドル安」に象徴される米国経済の“変調”に反応した主要メディアも、「米国経済の回復→日本経済の回復」という論調から手のひらを返すように、「世界恐慌」(「週刊朝日」タイトル)という言葉まで使うようになった。
1929年のNY株式市場の大暴落に端を発した「大恐慌」は、第二次世界大戦とその後に確立された世界経済システムによってようやく解決されたと言っていいほど、深刻で長期的な「世界同時不況」であった。
過激な言葉が受けるご時世ではあるが、言葉が内包しているイメージに刺激を感じたり怯えているだけでは、先も見えなければ問題も解決できない。
そういう立場から、今後予測される「世界同時デフレ不況」と1930年代の「大恐慌」がどう違いどれくらい類似的なのかを考えることには意味があるだろう。
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【世界経済のゆくえ】20世紀「大恐慌」と21世紀「世界同時デフレ不況」 投稿者 あっしら 日時 2002 年 7 月 01 日
■ 20世紀の「大恐慌」と21世紀の差異性
まず、今後起きると予測されている「世界同時不況」は、我々日本人にとって、別に目新しいことではない。
そう、ここ10年続いている「長期不況」、ここ5年近く続いている「長期デフレ不況」が、世界的規模で起きるということである。
不動産バブルに見られた激越なバブル崩壊は、連鎖的な金融破綻を招き、「恐慌」を引き起こすべきものだった。しかし、「恐慌」ではなく、「長期デフレ不況」というかたちで収まった。(参考書き込み:『
日本経済は「管理されたダラダラ恐慌」状況』
「大恐慌」時代の世界は、第一次世界大戦戦勝国の欧州主要国は世界中に政治的経済支配地域(植民地・資源支配・販売市場権益)を抱え、世界一の経済力を誇る米国、賠償金支払いで苦悩するドイツ、政治的経済支配地域の拡大をめざす日本、革命後一国体制を志向したソ連という構図であった。
各国民経済の金本位制は崩壊していたが(未復帰や未確立そして最悪復帰などあったが)、国際交易は、金為替本位制で取り引きされていた。
国民経済は、金本位制を志向しつつというか、金本位制を引きずった「プレ管理通貨制度」で、国際経済は金為替本位制という構造である。
戦後は、金為替本位制を引きずった「金ドル為替制度」という国際通貨体制に規定された国民経済の「管理通貨制度」が71年まで続き、その後は、国際基軸通貨ドルを国際支払い手段とする「国際的管理通貨制度」に移行した。
そして、世界の構図も、米国を盟主とする先進諸国連合と先進諸国から独立し経済発展をめざす発展途上国そして一国体制で社会主義を志向する共産主義国という段階を経て、米国を盟主とする先進諸国連合と先進諸国から独立し経済発展をめざす発展途上国というかたちに収斂していった。
通貨システムと世界構図のこのような違いは、経済的クラッシュや不況の出現形態をも変える。
「大恐慌」が恐慌という経済現象を伴ったのは、国民経済が、金本位制を志向しつつというか金本位制を引きずった「プレ管理通貨制度」だったからである。
国際交易が縮小を続けるなかで、平価切り下げ競争が展開され、ブロック経済化が強まったのは、国際取引が金為替本位制に基づいていたとともに、欧州主要国が世界中に政治的経済支配地域(植民地・資源支配・販売市場権益)を抱えていたからである。
(前回も書いたように、米国は、世界最高度の“近代的自給自足”条件を備え、南北アメリカの存在を考え合わせれば、英仏と同じようなブロック経済化も可能だった)
金本位制を採ることさえ夢想であり植民地も失ったドイツが、真っ先に恐慌の打撃から回復したのは象徴的である。
金本位的束縛を受けず他に逃げ場もないドイツは、ケインズ主義的政策を先取りすることで、経済を回復したのである。
日本も、政治的経済支配地域を満州まで広げ、中国市場での権益を拡大しようとしたが、この戦争体制がケインズ主義的政策となり、不況から脱出させることになった。
結局、米国さえも、戦時体制に移行することで「長期不況」を克服した。
しかし、日本もドイツも、近代経済に必要な資源に恵まれているわけではなく(石炭くらい)、ブロック経済化した世界で回復した経済をさらに発展させるためには、資源と販売市場の確保を目指すしかなかった。
これが、「人道主義」や「陰謀論的」な視点を排した第二次世界大戦発生の論理である。
現在の世界は、国内経済取引・国際経済取引とも金本位制に縛られることはなく、植民地に塀を築くブロック経済という逃げ場もなくなっている。
(EUやNAFTAというブロック経済を基礎としたブロック経済間対立はあり得るが、国際産業連関(国際分業)構造から、閉鎖ブロック経済は自殺行為になる)
これは、経済論理的に、不況への転化が恐慌という経済現象を引き起こす必然性もなく、米国の圧倒的な軍事力という政治的背景もあるが、先進諸国が戦争という解決策を模索する理由もないことを意味する。
しかし、「世界同時デフレ不況」が世界中の人々に深刻でかつ長期にわたる経済的災厄をもたらすことは、「世界恐慌」とまったく同じである。
逆に、構造的な相違から、これから始まろうとしている「世界同時不況」は、「世界恐慌」以上にだらだらと長期的なものになる可能性が高い。
アジアから世界への「デフレ不況」の“輸出 へ続きます。
2007/9/2

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