「スティグリッツ教授の提言政策批判:事象的な説明は正しいが政策提言は有効なものではない」
マクロ経済
『Re: ティグリッツ教授の提言「日本経済の処方箋」NHK−BS「米国型資本主義を越えて」』に対するレスです。
関連投稿『
「円安政策」や「金融緩和政策」ではデフレを解消できない』を事前もしくは事後にお読みいただければ幸いです。
>[痛みに耐えても状況はよくならない]
実に正しく明快な主張である。
前から説いているが、痛みが少ない「デフレ不況」脱却政策が、もっとも効率的に「デフレ不況」を解消する政策である。
人気blogランキング <-- クリックしていただくと、より多くの方に読んでいただけます。ご協力お願いします。
スティグリッツ教授の提言政策批判:事象的な説明は正しいが政策提言は有効なものではない 投稿者 あっしら 日時 2002 年 10 月 21 日
>「潜在成長率を大きく下回る状態がこれほど長期化している点が最大の問題だ。」
人口も現在のところ超緩やかだが増加し、生産性も上昇し、貿易収支も黒字である。
名目・実質ともにマイナスという経済成長は、政策に誤りがあることを示している。
>「デフレの問題は非常に重要だ。日本をはじめ各国の懸念の対象は長らくインフレであり、経済学の思考パターンもインフレを抑制する方途に感心が集中していた。しかし、デフレの方がはるかに破壊的効果を伴う。デフレにより年々、負債が実質的に膨らんでいくため、黙っているだけでも政府、企業両部門ともバランスシートの内容が劣化していく。」
まったく同意。
>【スティグリッツはさらに19世紀末のアメリカにおけるデフレを巡る論争と日本の徳川時代における八代将軍吉宗のデフレ対策を紹介している。】
政府貨幣であった徳川期と中央銀行→商業銀行→一般経済主体という貸し出しを通じた貨幣供給システムを同列に論じることはできない、
江戸幕府が商品生産の生産性向上が及ぼすデフレ圧力を貨幣鋳造の変更で抑え込んだのは賢明な政策であったが、それは、江戸幕府が貨幣鋳造者であるとともにその貨幣を使う需要者だったから有効だったものである。
>「昨年、私と一緒にノーベル経済学賞を受賞したアカロフ教授も最近の研究成果の中で最適なインフレ率が存在すると主張している。それはゼロ以上の数値であって、ゼロではない。」
最適なインフレ率が存在するかどうかわからないが、デフレにしないために必要な“生きた”通貨流通量の増加率は存在する。
基本的には、「生産性上昇増加率−輸出増加率−赤字財政支出増加率+退蔵通貨増加率」に相当する通貨流通量の増加がなければデフレに陥る。
>[3%程度の物価上昇を]
>「インフレ目標は興味深い考え方だ。日本で議論されている目標は最低限のインフレ率の実現をめざすもので、インフレが行進しないように上限を目標に据えた他国のケースとは異なる。例えば三%程度のインフレ率を目標にするのが良いのではないか。」【スティグリッツはデフレ対策のためのインフレ目標政策に明確に賛成の立場である!】
3%のインフレ率をめざすことに異論はないが、それを実現する手段を“見つけられていない”ことが問題である。
>「金融当局がいまだにインフレに対する警戒を解いてないことが驚きでもあり、いささか不満でもある。問題の焦点はデフレなのだから。」【日銀批判。もちろん驚いているのはスティグリッツだけではない。】
日銀が、デフレを問題視し、なんとかデフレから脱したいと考えていることが見えていないないのかもしれない。
>「ゆるやかな金融緩和、つまり少量の紙幣増発はデフレを打ち消す。ゆるやかな緩和など不可能だという主張があるが、そんなことはない。少量の紙幣を増発すれば、わずかだけデフレを食い止められる、それだけだ。目標のインフレ率を実現できるところまで紙幣を増発しよう。こう発想すれば良い。」
日銀は、商業銀行の日銀当座預金残高が10兆円を超えてもなお金融緩和(紙幣増発)政策を採っている。
それがデフレ解消に貢献しない論理(わけ)を探ることが重要な研究テーマであろう。
>「増発された紙幣は消費を刺激せず、インフレにつながるだけだとする、矛盾に満ちた主張も一部で見受けられる。消費に回らなければ、どうやってインフレを促進することになるのか。」
>【日本におけるデフレ対策としてのインフレ目標政策への反対論が混乱していることをスティグリッツも指摘している。】
スティグリッツ教授に指摘されているようなアホなインフレ目標政策反対論があるとは知らなかった。
>[金融リストラ 時期が不適当]
>「問題があるのは金融部門のリストラ (事業再構築) だ。短期的には経済が必然的といっていいほど悪化せざるを得ない。」
>「企業が苦境に陥れば不良債権が増大する。ある金融機関が十件の貸し出しを見直せば、不良債権が五件増えるという具合に、際限のない抗争のような状態になる。その果てにリストラがまだまだ徹底していないとの批判を受けることになるが、そもそも不況下では十分には実行し得ないのだ。」
>「需要全体を押し上げて企業が利益を上げられるようにする。債務者が借り入れの返済をして利益を確保でき、銀行も返済を受けて経営内容が改善するような方策、つまりどうしたら成長を刺激できるかを問うべきであって、どうしたら銀行界をリストラできるかを問うては駄目だ。それは永遠に勝ち目のない戦いを挑むようなものだ。」【スティグリッツによれば“永遠に勝ち目のない戦い”を好んでいる人たちが日本にたくさんいるということになる。】
ほぼ同意。
問題は、インフレ目標と同じで、どういう手法で「需要全体を押し上げて企業が利益を上げられるようにする」かということになる。
続きます。