中国の今後については、東西経済格差が引き起こす政治的不安定要因を別にしても、「中国元安」・「外資依存体質」・「輸出拡大に必要な製品の高度化」ということから成長維持は困難だと予測しています。
「中国元安」:日本にとって不利な為替政策であることを認めていますが、中国にとっても、輸出を増加させても、生産財などの輸入が過大な負担になるので国民経済的利益は拡大しないという中長期的に不利な為替政策です。
生産財を自国で生産できるようになれば、有利な為替政策に転化しますが...。
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日本企業は優位でも日本経済は劣勢ということもあります 投稿者 あっしら 日時 2002 年 10 月 21 日
「外資依存体質」:輸出や国内需要が拡大している限り外資の利益のうち再投資に回される割合が高水準で維持されますが、内外の需要の伸びが鈍化すれば、外資の利益は国外に流出することになります。
外資導入のために租税優遇策を適用していますから、国内で投資してもらわなければ中国経済に大きな痛手となります。
「輸出拡大に必要な製品の高度化」:低価格普及品の輸出では壁にぶつかります。
中国が持続的な経済成長を達成するためには、知的所有権を侵害しない製品開発力・電子部品や生産財などを自前調達が必要になります。
中国企業経営者が米国的価値観に浸りすぎている観があるので、長期的な経営戦略ではなく短期的利益志向で動き、この難題をクリアできない可能性が高い。
このところの中国の経済成長を支えているのは、台湾企業と並んで日本企業です。
台湾企業もその傾向が如実ですが、自国の「デフレ不況」がもたらす収益減少や価格競争力激化を中国に製造拠点に移すことで対応しようとしています。
いつも書いていることですが、このような個別企業の生き残り策は、国民経済をさらなる「デフレ不況」に追い込む愚策です。
>中国の問題は色々あると思いますが、本当に公正な競争になってなお日本が劣勢になるでしょうか?今、日本が本来受け取るべき知的所有権の代価をほとんど受け取ってないことを考えると中国のWTO加入5年後まで時間稼ぎをしては?
日本企業が安易な技術を移転しなかったり公正な競争関係にあれば、日本企業が劣勢になることはまずないと考えています。
しかし、日本企業が優位であるからといって、日本経済が優位であるということにはなりません。
国民経済と個別企業の利益は同じではないという視点が重要だと考えています。
一つ気にしなければならないことは、世界経済支配層が、成熟した日本を刈り取り対象と考え、中国を新しい「世界の工場」として育成しようとしているのではないかという問題です。
日本の“刈り取り”は、日本の資産価格が下落すればするほど容易です。(刈り取った後に資産価格や財の価格が上昇すれば万々歳です)
不良債権処理の加速化で「デフレ不況」が劇的に深化すれば、生き残りを賭けた企業が、中国に雪崩を打って進出する可能性があります。
そうなれば、中国企業が大きな果実を得るわけではありませんが、中国経済は成長を続け、日本経済は劣勢に立たされることになります。
前置きが長くなりましたが、スティグリッツ教授が提示する「期間限定消費税減税」では、“時間稼ぎ”の効力が限られていると言わざるを得ません。
2年ではなく3年でもいいのですが、需要拡大効果が消え去ることがわかっているなかで企業が設備投資や人員増強を図ることはなく、失業者増加抑制や企業収益増加の効果しか果たさないと考えるからです。
そして、減税効果で得た利益を、“長期的な戦略”と称して対中投資に振り向ける可能性も否定できません。
「期間限定消費税減税」を実施するのであれば、恒久的「低中所得者減税」(財政的に問題であれば高額所得者増税で増減税中立で、政治的に無理であれば単独減税)を行うべきです。
コストに安い中国で生産した財を日本に輸入して利益を上げようという考えの愚かさ(非合理)や低中所得者の可処分所得増加がデフレ・ギャップを縮小するという論理を現実の変化で企業経営者に気づかせるしかないと考えています。
>さてFTも2ヶ月くらい前にスティグリッツ教授にインタビューを行いました。内容はいつものIMF批判ですが、おやっと思ったのは90年代後期の東アジア経済危機を救ったのは日本企業の理念に基づかないビジネスとしての行動であり、政府レベルでは宮沢構想が効果があったと高く評価しているのに驚きました。少し記憶があいまいですが、このスティグリッツ教授の意見はいかがお考えでしょう?
アジア通貨危機とアジア通貨基金構想
スティグリッツ教授のインタビュー詳細がわからないので推測になりますが、銀行を含む日本企業が、アジア通貨危機のなかで危機国の“通貨売り”に走ったり、投資の引き上げをしなかったことで危機の深化を抑制したとは言えます。
(日本企業までが、ヘッジファンドなどのように短期的な利益を貪る行為をしていたら、アジア通貨危機はもっとひどいものになっていたはずです)
宮沢構想=アジア通貨基金構想は、日本がアジア経済に大きな影響力を確保する絶好のチャンスだったと思っていますし、タイやインドネシアはIMF管理下に置かれるよりまともな経済回復過程を歩んだ可能性は高かったと考えています。
しかし、宮沢構想は、韓国への通貨支援もそうですが、米国政権及びIMFによってぶっ潰されてしまいました。
日本にアジア経済圏の主導権をとられることはなんとしても防止するという意図から潰されたと思っています。
(マレーシアのマハティール首相はアジア通貨基金構想を断念した日本に“悲しい”思いを抱いたはずです)
スティグリッツ教授は、実現されなかったけれど、宮沢構想はアジア諸国にとって好ましいものであったという観点で評価しているのではないかと推察します。
“刈り取り”と“投資”の違い
「国際優良企業も外資と変わらんカモ」とは残念ながら少々思っています。
>ソニー、トヨタなど国際優良企業(かなり多国籍企業化してる)にとって、日本は単なる魔ーケットの一つに過ぎないから、合理的な選択だと思うけど。
ソニーはそのように言える国際化を果たしている企業とも言えますが、トヨタは日本市場依存度が高い企業ですから、日本経済を疲弊化させる政策は不合理です。
国内で築いている販売網の強さがトヨタを支えていますから、日本市場がおかしくなれば、トヨタの競争力を大きく削ぐことになります。
トヨタに限らずですが、北米市場向けなどそれぞれの市場向けに現地生産することを不合理だとは考えていません。
日本企業が日本向け商品を外国で生産する不合理を問題にしています。
>>日本の“刈り取り”は、日本の資産価格が下落すればするほど容易です。
>こういうのは”刈り取り”って言わず”投資”と呼ぶのでは?
正規の市場を通じて産業資本を買収したり不動産を購入するのは“投資”と呼んでも差し支えありませんが、銀行や政府の愚かさが第一の批判対象ですが、相対取引で不動産を超破格値で購入したり、日本経済全体を動向を左右する力を得ることになるメガバンクの買収は、“刈り取り”と呼んだほうがふさわしいと思っています。

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