● 資金運用部
これは、郵便貯金や簡易保険が自主運用されるようになる前に引き受けた国債だと思われるので、郵便貯金と簡易保険の項をそのまま参照して欲しいが、残高と国債保有額をまとめておく。
資金運用部+郵便貯金+簡易保険の国債保有額:134.4兆円
郵便貯金+簡易保険の残高合計:361.7兆円
国債/残高: 37.1%
郵便貯金と簡易保険が、財政投融資の原資になっていることとそれらが赤字化している現状(財政投融資が返済されない可能性)を大きな問題点として指摘できる。
郵便貯金や簡易保険の解約が求められ払い戻ししなければならなくなったときは、政府が何らかの手段を構じて損失分を補填しなければならないからである。
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● 銀行
預金残高
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96年 477兆5810億円
97年 481兆6540億円
98年 483兆3760億円
99年 490兆0340億円
00年 486兆1910億円
01年 476兆9290億円
「第一次ペイオフ解禁」で地方銀行や信金・信組からメガバンクへの預金流出が取り沙汰されたが、「国債サイクル」という観点に絞れば、預金が集中しているほうが“管理”しやすいのでそれ自体は問題ない。
問題は、預金総量が減少していることである。
預貯金は、大局的な流れとして、インフレによる名目収入の増加と実質収入の増加で膨らんできた。
老後や失業という先行き不安で貯蓄が増えたとも言われているが、それは一時的なもので、「デフレ不況」であれば、失業者の増加・名目収入の減少などの要因から、預金総額は長期的に減少せざるを得ない。
いくら将来に不安を感じていても、収入が減少していけば、現在を生きるためにお金を使わなければならないからである。
また、企業も、2002年3月期上場企業総体として考えたときに“赤字”に陥ったことから、借入金を増やすとしても、預金を増大する可能性は低い。(借入金を強制的に積ませることを考慮しても)
銀行自体が資金運用難に陥っていることから、銀行が預金拡大を積極的に計る行動に出ることも考えられない。
銀行も、増大する国債発行額に見合う預金増加を果たせないと判断していいだろう。
※ 2003年4月に本格的な「ペイオフ解禁」が実施されると、預金がさらに減少する可能性が高い。(「ペイオフ」そのものが実施されたら、否応なしにその分の預金残高が減る)
昨年から動きが顕著になっているが、銀行・郵便局・生保に対する信認が揺らげば、金など価値保全性が高いものに資金が向くことになる。
ちなみに、金への投資が続いていけば、「国債原資」が減少する。国内金販売会社が得る利益を全額預金したとしても、金の輸入というかたちで国外に流出する金額のほうがずっと大きいからである。
● 生命保険
これは、新聞記事などでも話題になっているので、残高が減少していることは衆知であろう。
契約金額 純増加額
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95年 2139兆5315億円 54兆8463億円
98年 1909兆2754億円 −59兆5563億円
99年 1859兆8821億円 −49兆3933億円
02年 1145兆6610億円−714兆2211億円(対99年)
時系列データは抜けているが、「生命保険大手・中堅10社の2002年3月期決算が、4日出そろった。
消費者の「生保離れ」を背景に、個人保険と個人年金保険の保有契約高は10社合計で、前期比3.9%減の1145兆6610億円と5期連続で減少した。
超低金利で高水準の逆ザヤが続いた上、株価下落の直撃を受けて、健全性を示すソルベンシーマージン比率(保険金支払い余力)は、7社で悪化。経営体力をすり減らす生保各社の姿が浮き彫りになった」(時事通信:6/4)という状況である。
生命保険会社は、存続自体が危機的な会社が多く、増大する国債引き受けに貢献するとはとても考えられない。
外資が生命保険事業でのウエイトを高めていきそうだが、外資生保が、格付け評価が低い日本国債を積極的に引き受けることはないだろう。
● 保険・年金基金
ここは、データを示すまでもなく、高齢化と失業者増加のために、保険料収入は減少する一方で支出(給付)は増えるという金融セクターである。
また、この基金も、株式買い支えに出動していることで多額の評価損を抱えている。
ここは税金をさらに投入しなければ国民生活が守れないと言ったほうが的確な金融セクターだから、増大する国債の引き受け手として考えることはできない。
これらを見てもわかるように、国債の主要引き受け手である金融機関は、増大していく国債をこれまでにように引き受け続けられる状況にはないのである。
それどころか、事業会社や家計が保有する国債比率が飛躍的に高まっているように、銀行や生保は、高金利の国債を換金して財務改善に努めている。
(事業会社や家計が、預貯金を降ろして国債を買ったとすれば、個人や会社が国債を保有してくれても、「国債サイクル」の条件が悪くなるだけで、救いにはならない)
ムーディーズも含め、高い貯蓄率を国債が安全である根拠としている人が多くいるが、それは、せいぜい、「ここまでは高い貯蓄率と貯蓄額のおかげであれだけの国債を発行しながらもなんとかしのいでこられた」と言えるだけである。
ここでは、見てきたような条件のなかで、「国債サイクル」を維持することのみを考えて余剰資金をやりくりしていけば、国債自体は何とかなるとしても、企業や家計などが必要とする資金が調達できない状況に陥ることになるとだけ指摘しておく。
うまくいって、「国守れて、民なし」という結果を迎えることになる。
7/9/22

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