「デフレ対策」と「茹で蛙」の寓話 から続きます。
>市中に出回っているお金の量を調べてみよう。お金というとお札(紙幣)やコイン(硬貨)といった現金を思い浮かべるが、世の中にはお金と類似した役割を持つものもたくさんある。例えば小切手や手形は当座預金を見合いに渡す借金の証文だが、これらは現金の代わりに流通させることもでき、社会一般での決済手段として定着している。そこで経済学では、市中に出回る紙幣や硬貨に加えて、短期間に取り崩して決済にも使えるような預金も含めて通貨供給量とみなすことが多い。例えば、日本で最も代表的な通貨の指標はM2+CD(現金・預金に譲渡性預金を加えたもの)である。
>この推移を見てみよう。
手形や小切手が現金の代わりに流通することは現実だが、あくまでも、現金に裏打ちされたもので、求めたり、期限が来れば現金になるというものである。
貨幣供給量(マネーサプライ)の定義自体が、誤っているとは言わないまでも、いい加減で危ういものである。
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レス1:マネーサプライの定義について 投稿者 あっしら 日時 2002 年 4 月 23 日 1
[マネーサプライの定義]
M1:現金通貨+預金通貨(要求払い預金)
M2:M1+準通貨(定期性預金等)
M1やM2は、経済動向を見る上で役に立つ指標であることを認めるが、現金通貨以外はマネーではないという事実を覆い隠してしまうものである。
預金通貨は、現金を普通預金・当座預金・通知預金として入金することや他者からそれらに送金されることで形成されるものである。
しかし、これで現金が消えたわけではなく、銀行の手に渡っただけである。銀行がそのまま金庫に保管しているのならば、M1をマネーサプライと定義しても問題ない。
しかし、銀行は、預かった現金を最低限必要だと思われる額だけ残して、他は貸し付け・国債・株式などに運用する。
そうしなければ、普通預金ではわずかとはいえ預金利息を払わなければならないので損を被るし、当座預金は無利子とはいえみすみす儲けられるチャンスを見逃すことになるからである。
一つの非銀行(A)と銀行(B)という二つの経済主体がいるとする。
Aのみが100万円を持っている場合は、マネーサプライは100万円である。
AがBに普通預金として50万円を預けた。そうすると、マネーサプライは、Aの50万円+Bの50万円+Aの普通預金残高50万円=150万円となる。
AがBに普通預金としてさら50万円を預けた。そうすると、マネーサプライは、Bの100万円+Aの普通預金残高100万円=200万円となる。
「経済動向を見る上では役に立つ指標である」と言ったのは、Aは100万円の普通預金残高があることで100万円の現金を持っていると“考え”て行動し、Bは100万円で貸し付けができるという考えて行動するからである。
両者がそう考えても問題が起きないのは、Aが翌々月1日に支払う約束で100万円の商品を購入し、Bが翌月末に返済してもらう約束で誰か(C)に貸し付けを行い返済が契約通りに行われたったときなどである。
銀行は契約通りの利子が付いた返済を受け、その翌日に、Aが支払いを実行するために100万円を引き出しに来れば、すべてがまるく収まる。
しかし、現金=マネーが200万円になったわけではなく、“危ない橋”を渡って200万円あるかのように経済活動で使われただけである。
銀行(B)が貸し付けた現金が期限までに返済されなければ、Aは100万円を引き出すことができない。
これに近い現実が、「不良債権」で銀行の財務状況が悪化することであり、その行き着く先としての「ペイオフ」である。
マネーサプライは、究極的には“現金”(日銀券発行残高)で計られなければならないものであり、M1やM2という指標は、“危ない橋”の経済活動がどのくらい行われる可能性があるかを見るものとしなければならないものである。
“危ない橋”の極端な例を示すと、マネーサプライがBの100万円+Aの普通預金残高100万円=200万円のときに、Bが100万円をCに貸し付け、CがそれをDという銀行に預金した場合、Dも100万円の貸し付けを行うことができる。
このときのマネーサプライは、Aの普通預金残高100万円+Cの普通預金残高100万円+Dから借りた人の現金100万円=300万円となる。
元々100万円しかない現金が、Aの商品購入・Bの貸し付け・Cの預金・Dの貸し付けと4つの経済活動でそれぞれ100万円として使われたことになり、マネーサプライも3倍になったのである。
現実の経済社会は、これ以上にひどい“危ない橋”の連鎖のなかで動いている。
M1よりも、M2+CD−預金通貨(要求払い預金)のほうが“危ない橋”の度合いは若干軽減する。定期預金やCDは“払い戻し”の期限があるので、二重三重の経済活動に使われる可能性が経るからである。
実体経済のマネーサプライは、日銀券発行残高−日銀当座預金残高を“正味”と考えるべきである。
マネーサプライの定義であるM1やM2は、銀行の“錬金術”をそのまま表現したものである。
※ CD(譲渡性預金)は無記名の預金証書で、売買も自由であり、法人や資産家の余剰資金運用に使われている。
Re: 日本経済がインフレからハイパーインフレになるとき
オリジナルを書いた方は、数多くいる経済学者や経済アナリストのなかではずっとまともな識見をもっていると思っています。
簡単ですが、疑念の点に絞って書いてみました。
>日本経済が現状、インフレにならずに済んでいるのは、この作者のいう、『パラドックス』によって抑えられているからなのでしょうか。
政府不信がインフレを阻止しているという解釈は、穿ちすぎだと思います。
インフレになっていないのは大きな需要不足の「大不況」であることがベースですが、金融緩和という状況との絡みで言えば、日銀と商業銀行のあいだで国債を介在させながらとてつもない大きな“現金プール”を造っていることに起因しています。
レスで書いたように、金融緩和とはその“現金プール”にお金を貯めることでしかありませんから、M2+CDがいくら増えようと、インフレにはなりません。
この“現金プール”が決壊したときには、日本経済もインフレに転じると思います。
決壊のきっかけはいくつか考えられますが、貿易収支の赤字化→経常収支の赤字化もその一つです。
貿易収支(経常収支)の赤字化+「長期大不況」による失業者増大・年金給付危機・健保財政危機で、日本はインフレからハイパーインフレに進む可能性が高いと思っています。
(これに米国政府のデフォルトが加わるととんでもない事態に陥ります)
貿易収支の赤字化で円安になれば、輸入物価が上昇するので、上昇した商品を仕入れる企業の資金需要も増大し、コストアップした製品や輸入品の販売価格も上昇します。こうして、経済社会全体で資金需要を増大することになります。
このときに問題になるのは、貿易赤字から経常赤字にまで進んで、経常赤字と財政赤字が両方存在する“双子の赤字”をどうやって埋めるかということです。
“双子の赤字”を国内の貯蓄で埋められるあいだはいいのですが、それができなくなれば、経済が縮小するのを我慢して輸入を減少させるか(輸出品向けの輸入を優先する)、外国からの資金流入に頼ることになります。(推移から見て、たぶん、貿易赤字になった後で輸出を増大させて貿易黒字に戻すのは無理でしょう。工場が“よその国”に移転することで生じる産業空洞化が貿易赤字の原因だからです)
国際基軸通貨国である米国は、外国から資金を流入させることで“双子の赤字”をしのぎましたが、日本が米国と同じ手法でしのぐことはできません。
現状でも日本国債の格付けは下がっていますから、日本国債を購入しようという外国投資家と政府が発行したい日本国債の金額バランスはとれないでしょう。
それを乗り越えるために国債の利払いや償還をデフォルトすることも考えられますが、日本国債は国内の貯蓄でほとんどまかなわれているので、デフォルトを行うと日本経済全体が壊滅的な打撃を受けることになります。
そうはできないと政府も考えるでしょうから、日銀の直接引き受け(商業銀行に貸し出してそれで国債を買わせ、国債を日銀に売るという今のような手法も似たものですが)で国債を発行するしかありません。
利払い及び借り換え向けの国債も年を追うごとに膨らむ一方で、「長期大不況」で年金・雇用保険・健康保険の保険料の収入が減るなかで高齢化社会が進みますから、財政の赤字=新規国債の発行高も急増します。
これは、通常のインフレではなく、ハイパーインフレをもたらすことになります。
国民が最低限の生存を維持するための財政支出は行わなければならないのに、産業基盤ががたがたになっていて、経常赤字だから輸入もままならないという状況では、物価が急上昇するのを避けることはできません。
そして、物価が上がったために、国民が最低限の生存を維持するための財政支出をさらに増やさなければならないという悪循環でハイパーインフレになります。
これは、敗戦直後の日本で、産業基盤がめちゃくちゃになったときに復員兵が増えて財政支出を増やすことで進んだハイパーインフレに似たものです。
前から書いていますが、このような状況に陥らないように経済を立て直す猶予期間は、ここ1年、ぎりぎりでも後2年ほどしかないと見ています。
7/9/19

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