お二人は、消費税“精算”後に事業者の手元に残る利益金額を比較して現行制度の正統性を説明されています。
しかし、これまでも書いたように、消費税制度は、法人税と違って付加価値に対して課税されるものですから、利益金額とは直接関係ありません。
(赤字法人でも消費税を納付する義務を負っています)
利益の公平さを重視したいのなら、付加価値税である現行の消費税ではなく、利益に課税する法人税や他の手段で調整すべきです。
まず明確にしておきたいのは、今回の一連の書き込みは、消費税制度を維持しつつ「輸出戻し税」(還付税制度)を廃止しろと主張しているわけではありません。
消費税の制度趣旨に照らして、輸出非課税(0%課税)はともかく、非課税売上にかかわる消費税の還付が誤った適用だと主張しています。
この問題を契機に、消費税率アップがスケジュール化されようとしている今、消費税という制度全体をどうすればいいかを論議できればと思っています。
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【消費税は利益課税ではなく付加価値課税】 現行消費税制度のまま消費税率をアップしていけば国民経済は崩れていく投稿者 あっしら 日時 2003 年 6 月 23 日
名無しさんが、営業実状が異なる二つのパン屋を示され、消費税精算後の“利益”の「公平」を根拠に現行制度の正しさを説明されているので、それをベースにいくつか考えてみます。
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まず、消費税率のアップが動き始めているので、消費税の変動絡みで考えてみます。
※ 100%のときは、ボクも美代ちゃんも、手元に11,000円残ります。
現行の制度であれば、消費税が上がっても、ネット価格で同じ個数のパンが売れたときに手元に残る金額についてボクと美代ちゃんのあいだに差は出ません。
しかし、消費税率のアップに比例して国内の可処分所得総額が増えれば別ですが、97年の消費税アップのときのようにそれがほとんど変わらない経済状況では、同じ個数のパンが売れるわけではありません。(個々の財で考えるよりも、増加した消費税に食われ実質購買力が下がると考えたほうがいいでしょう)
デフレ不況のなかで可処分所得は減少する傾向にありますから、このような設定のほうがリアルティがあるはずです。
【パン屋のボク】は、ブッシュくんという消費税非課税(輸出)のお得意が1個200円でほとんど買ってくれます。しかし、ジュンくんはお金に余裕がありボクのパンが好きなのでこれまでパン1個の価格が400円でも買ってくれましたが、440円になったらこれまでの10個ではなく9個しか買ってくれなくなりました。(消費税が100%のときのジュンちゃんのパンへの支出4,000円だから、4.000円/440円=9.09個
輸出販売に対する消費税額:0円:(18,000円×0%)
国内課税売上高に対する消費税領:2,160円(1,800円×120%)
仕入税額控除額:10,692円(仕入れは9,000円×99/100=8,910円)
納付消費税額:▲8,532円
ボクの利益:売上19,800円+消費税預かり2,160円−仕入8,910円−負担消費税10,692円+還付消費税8,532円=10,890円
※ ボクの手元に残ったお金は、消費税が100%のときの11,000円に較べ、110円減少しました。
【パン屋の美代ちゃん】は、近所の人たちにパンを売ってきました。消費税は購入する人が負担するものだからと、消費税込みで1個440円で売ることにしました。
しかし、パンの売れ行きは目に見えるかたちで減り、92個になりました。
美代ちゃんは、「それはそうだ。ご近所のみなさんは給料も減っているんだから、40円という10%の値上げと同じことをすれば買うパンの数が減るのは当たり前だわ」と思った。
国内課税売上高に対する消費税領:22,080円(18,400円×120%)
仕入税額控除額: 9,936円(仕入れは9,000円×92/100=8,280円
納付消費税額: 12,144円
美代ちゃんの利益:売上18,400円+消費税預かり22,080円−仕入8,280円−負担消費税9,936円−納付消費税12,144円=10,120円
ボクと美代ちゃんの手元に残ったお金は、消費税が100%のときの11,000円に較べ、880円減少しました。
【両者の手元に残ったお金】
ボク:10,890円
美代ちゃん:10,120円
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差額: 770円
※ このように、国内向け供給活動だけを行なっている事業法人は消費税がアップされるにつれ、輸出供給活動も行なっている事業法人と較べて不利な事業環境に置かれることになる。
【国家の消費税収入】
100%のとき:22,000円
120%のとき:24,240円(増加率110.2%)
【国民の消費税負担】
100%のとき:22,000円
120%のとき:24,240円(増加率110.2%)
【国民の総支出】
100%のとき:44,000円
120%のとき:45,840円(増加率101.0%)
【国民が獲得した財】
100%のとき:パン110個
120%のとき:パン101個(増加率▲8.2%)
※ 総支出は440円増えているのに、手に入れたパンの数は9個減っている。
【製パン材料製造業界の付加価値(仮GDPの一部)】
100%のとき:18,000円
120%のとき:17,190円(増加率▲4.5%)
【パン業界の付加価値(仮GDPの一部)】
100%のとき:22,000円
120%のとき:21,010円(増加率▲4.5%)
【仮GDP】
100%のとき:40,000円
120%のとき:38,200円(増加率▲4.5%)
※ 総支出に対する仮GDPの割合
100%のとき:100.0%
120%のとき: 86.0%
120%のときは、失業給付・生活扶助・預金の取り崩しなどで所得の穴埋めがなされたことになる。
※ 総支出に対する消費税の割合
100%のとき: 50.0%
120%のとき: 54.5%
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◎ ざっぱくな計算だが、各業界・各事業法人の付加価値(売上−仕入)が減少したということは、名目GDPが減少し、過剰人員の解雇や関連する業界の付加価値も下がることを意味する。
重要なのは、この例でも、国民の総支出は増加していることである。
全産業の付加価値が減少すれば、従業員の給与が減少し、消費税を含む可処分所得が減少するのが自然な流れなので、国民の総支出も徐々に減少していくことになる。
このような経済状況で同じ量の財を供給すれば、物価水準が下落することになる。
そして、国民の総支出が減少していけば、消費税の減収も減収することになる。
例えば、消費税が100%から120%になることでしばらくすると国民の総支出が10%減少し、パンに向けられる消費比率が同じだとすると、
国民の総支出:40,040円(39,996円にパンの数を整数にするため少し上乗せ)
国内で売れるパンの数: 91個
全体で売れるパンの数:181個
消費税税収:21,840円
消費税が100%のときの消費税税収は22,000円だから、消費税率を10%上げても、税収が逆に減ってしまうことを示唆する。
政府が税収全体を増やしたいという目的で消費税率を引き上げても、現状の経済が続く限り、消費税税収の増加につながらないのである。
それどころか、それは付加価値の減少によって生じたものだから、所得税や法人税までを考えると、全体の税収は大きく落ち込むことになる。
原理的に消費に“罰”を加えることになる消費税の税率がアップすれば、可処分所得総額が同じ場合、GDPは減少するものである。
消費税率の段階的アップは、名目GDPが縮小するなかでデフレ・スパイラルに陥っている日本がとるべき政策ではない。
7/11/24
下 につづきます。

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