「「純投資マイナス」が“利潤”を消滅させる:最終回 下」
産業主義近代の終焉
現段階の世界は、近代経済社会の亜種である「社会主義」に進むか、近代経済社会とは別の生存様式を創り出すかの岐路に立っている。
世界支配層は当然のように「社会主義」を選択する。それ以外に“彼ら”が経済権益を維持する術はないからである。
定常状態に陥った産業資本やそこへの貸し出し債権を政府に高値で“売却”し、その経営のために政府が必要とする資金を貸し出すことでしか権益を維持することはできない。
(産業再生機構の拡張版で民間の引き受け手がいない状況をイメージすればいい)
もちろん、それはソ連型の「社会主義」ではない。
たぶん、電力や水道といった基礎的必需財、製薬を含む医療、教育といったものは私的企業で営まれ、固定資本装備率が高い産業が国有化されるといったものになるだろう。
生存を維持すために必要で優先的に需要されるものは私的企業が利潤を獲得するかたちで供給され、そのためにさらに赤字経営になる一般産業は、政府が借り入れを行って維持するという“素晴らしい”「社会主義」である。
(ひと時のなぐさめになるエロも芸能もスポーツもあるだろう。言論活動もけっこう自由にできるはずだ)
国民のほとんどは空虚な言葉で称揚されるはずのこのような「社会主義」の実現に歓呼するだろうが、それは、国家債務を履行するための奴隷になることを意味する。
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所得の多くが政府の債務履行のために徴税され、日々の生活に必要なものは高値で買わされることになる。
新自由主義や市場原理主義が声高に叫ばれている現状からこのような話を妄想やデタラメだと思う人は、昭和16年に心から「鬼畜米英」を唱えていた支配層が敗戦後にどのような対米論を唱えるようになったかを思いかえして欲しい。
それほど遡らなくとも、バブル形成期に財テクを称揚し煽った支配層が、バブル崩壊後にどのような言動をしたかを思い浮かべればいいだろう。
支配層は、利得や自己保身のためであれば、機を見て敏で言動を変える生き物である。
せめて、左翼やフェミニストがこのような「社会主義」の実現に手を貸さないことを祈りたい。
バブル崩壊後の日本は、消費も緩やかに減少してきたが投資の減少でデフレに陥った。
その最大の要因は、投資がほとんど借り入れで行われていることでわかるように、銀行の「信用創造」が機能不全に陥ったことにある。
銀行の「信用創造」が機能に不全に陥り投資が減少した経済状況を、政府部門が必死に赤字財政支出で肩代わりしてきたあげくが900兆円を超える公的債務残高である。
無能な政治家と官僚は、おそらく50兆円程度で済んだはずの公的負担(それも回収可能)で「信用創造」機能の回復を行わなかったことで、税金で返済しなければならない300兆円もの余分の債務を積み上げる愚を行い、今後もそのような国家運営を続けようとしている。
世界最強の産業国家である日本は、「信用創造」機能を回復させれば自律的に復活する。
そこから自国破壊政策でしかない「構造改革」ではない構造改革や「社会主義」ではない新しい社会の模索も可能になる。
「構造改革」とやらでなんとかなる歴史段階ではなく、「構造改革」の中身も、産業資本主義の寿命を縮める破壊政策でしかない。
今からだって遅くはない。今だったら30兆円で済むはずだから、それを実行すれば公的債務の積み上げを大きく減少させることができる。
それをやらない限り、公的負担を増大させたとしても、債務の積み上げは現状を上回るペースで継続することになる。
日本の支配層は、やる必要のない戦争を始め原爆投下やソ連参戦までやめることもできなかった「大東亜戦争」と同じ愚を繰り返しているのである。
日本経済をともかく正常に戻し、その好条件のなかで「賽の河原の石積み」システムである近代経済に代わる生存様式を模索しなければならないと考えている。
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★ 参照書き込み
『「産業主義近代」の終焉:戦後日本が豊かになったのはただ単に「より多く働くようになった」から!?』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/238.html )
『「産業主義近代」の終焉:“自然の恵み”ではなく“人々の恵み”が産業を発展させ生活も向上させてきた。』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/244.html )
『「産業資本主義」の終焉:戦後日本の「農業(漁業)→産業→商業・サービス業→金融業」発展形態:「労働の交換」を理解するため』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/540.html
http://sun.ap.teacup.com/souun/541.html )
『「産業資本主義」の終焉:戦前米国の経済発展:広告宣伝や営業マンは“需要”を喚起しているのか?:「供給→需要原理」』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/549.html )
『「産業資本主義」の終焉:インフレーションと経済成長(デフレーションと不況):インフレは産業への“賛助”である。』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/612.html
http://sun.ap.teacup.com/souun/613.html )
『「産業資本主義」の終焉:商業の利潤(粗利益)とは何か?:「供給→需要原理」を理解するために』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/1400.html )
『「産業資本主義」の終焉:日本の銀行業が置かれている修羅場:銀行の利潤(粗利益)とは何か?』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/1401.html
http://sun.ap.teacup.com/souun/1402.html )
『「産業資本主義」の終焉:GDPの名目成長率と実質成長率:インフレ(デフレ)と生産性上昇を理解するために』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/1404.html )
『「産業資本主義」の終焉:日本が「世界同時デフレ不況」をかろうじて押しとどめている:対米金融35兆円の意味』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/1405.html )
『「産業資本主義」の終焉:「金融資産」という大いなる“幻想”:フロー(所得)とストック(資産)について』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/1415.html )
『「産業資本主義」の終焉:固定資本形成と経済成長の論理:GDPに占める固定資本形成の比率回復は可能か』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/1417.html )
『「産業資本主義」の終焉:固定資本形成と経済成長の論理:GDPに占める個人消費比率の高さは経済衰退の証』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/1416.html )
『「産業資本主義」の終焉:外国為替レートの変動論理:固定相場制と変動相場制の違い』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/1424.html
http://sun.ap.teacup.com/souun/1425.html
http://sun.ap.teacup.com/souun/1426.html )
『「産業資本主義」の終焉:購買力平価を大きく超える「円高」になっている理由:“円高恐怖症”自体がその一因』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/1428.html
http://sun.ap.teacup.com/souun/1429.html )
『「産業資本主義」の終焉:消費税(付加価値税)は国民経済を破壊する“悪魔の税制”:消費税なら物品税の拡張適用が本道』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/1437.html )
『「産業資本主義」の終焉:「年金問題」の本質:“高齢化社会”が問題なのではなく“供給活動投資額”が問題』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/140.html )
『「産業資本主義」の終焉:“少子高齢化”は移民の受け入れで解決するのか』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/141.html )
『「産業資本主義」の終焉:国家財政と国民経済:租税とは「活動成果」や「活動力」の移譲である。』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/1438.html
http://sun.ap.teacup.com/souun/1439.html )
『「産業資本主義」の終焉:「貨幣経済」と「供給→需要原理」:経済問題を考えるための基本論理』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/1441.html
http://sun.ap.teacup.com/souun/1442.html
http://sun.ap.teacup.com/souun/1443.html
http://sun.ap.teacup.com/souun/1444.html )
『日本と中国の勤労者所得が同じになったとき、日中の勤労者のどちらが豊かになるか?』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/1418.html )
『「産業主義近代」の終焉:産業資本家と労働者は本当に対立(敵対)関係にあるのか?』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/573.html )
『「産業資本主義」の終焉:「共産主義国家」の人々はなぜ豊かになれなかったのか?』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/665.html )
『米国支配層(世界支配層)は「産業主義近代」の終焉が近いことを知っていて、その後の世界に向けて動いている。』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/568.html
http://sun.ap.teacup.com/souun/569.html )
『「産業主義近代」の終焉で最大の打撃を受けるのは、世界で最も成功した産業主義国家日本である。』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/570.html )
『「産業主義近代」の終焉は、マルクスではなく、ケネーの正しさを実証する:重農主義者は「産業主義近代」の終焉を予感していた。』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/161.html )
『「生産性上昇」の評価で変節したリカード:機械の使用は労働者に有害という意見は経済学の正しい原理と一致する。』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/1148.html
http://sun.ap.teacup.com/souun/1149.html )
『「産業資本主義の終焉」=「停止状態」を悲観せず「始まり」として待望した“平等私有財産制共産主義者”J・S・ミル』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/236.html
http://sun.ap.teacup.com/souun/237.html )
『アダム・スミスの言説に見る“彼ら”の本性:道徳哲学者でありながら、「統合失調症」か口先詐欺師』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/1085.html )
『Y=C+Iの虚妄と有効性:Y=C+Iは有意義な切り口ではあってもGDP数値としては“嵩上げ”』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/730.html )
『「規制緩和」や「民営化」の末路は米英の歴史的経験から見えてくる。』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/254.html )
『“電位差”の源泉は国際金融:「通貨創造」について [オニオンさんへ]』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/1447.html)
『【訂正】FRBの金資産は“簿価”(1オンス=42.22ドル)で8000トンを保有している。』
(
http://www.asyura2.com/0406/dispute19/msg/196.html )
『米国が優っている“経済力”が金の公的保有量しかない:話が金につながっていくわけ』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/808.html )
★ 財政問題
『【財政問題】責任のツケをダブルで国民に回し、自分たちだけは有能なフリができる条件をつくろうとしている政府(財務省)』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/150.html )
『【財政問題】所得税の“二重納付”問題:税金を所得源とする公務員が納付する税金の意味:「三位一体改革」の虚妄』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/734.html )
『【財政問題】消費税の“二重負担”問題:国産自動車購入で負担する消費税は国庫ではなくメーカーの懐へと消えていく!』
(
http://sun.ap.teacup.com/souun/736.html )
2008/2/17

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