CO2による地球温暖化が既定の事実であるかのように喧伝され、CO2削減のためと称して排出権取引、原発推進などの対策が打ち出されていることに釈然としない向きも多いと思う。
このCO2による温暖化に関しては納得の行く説明に接したことがない。
100年後の危機を煽った地球シミュレータと称するものの映像など、多少なりともコンピュータ・シミュレーションをかじったり、物理になじみのある方なら眉につばせずに見られるものではない。
そこで、今回から数回に分けて、この問題を原点から見直してみることとする。
まず惑星の「大気温度はどのように決まるか」について見てみよう。
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以下 近藤邦明氏のHP
『環境問題』を考えるから転載する。氏のHPは環境問題に関して良く纏まっており説得力がある。ご興味のある方は是非ご一読を。
大気温度はどのように決まるか
§0.はじめに
二酸化炭素地球温暖化仮説は、幼稚な数値シミュレーションモデルによってのみ支持されたものであり、現実の気象観測結果とは大きな乖離を示している。気象シミュレーションモデルは、気象現象の基本的な条件すら満足できない欠陥モデルである。本稿では気象現象の基本的な問題である、下層大気の温度構造がどのようなものかを示し、二酸化炭素地球温暖化仮説、特に『暴走温室効果』というものがまったくの虚構に過ぎないことを示すことにする。
§1.惑星大気
1−1 地球型惑星
地球を含めて、太陽に近い方から水星、金星、地球、火星とその外側の小惑星帯までをまとめて『地球型惑星』と呼ぶ。その特徴は、中心から内側1/2の半径が金属、外側1/2が岩石によって構成されている。その成り立ちは、宇宙空間に漂っていた塵が太陽の周りに円盤状に回転を始め、次第に引力で引き合い塊となり、更に微惑星にまで成長し、これが互いに衝突して惑星にまで成長したと考えられている。こうして誕生した原始地球型惑星は、比較的類似の原子比率によって構成されていると考えられる。
原始地球型惑星は、当初は微惑星衝突の莫大な運動エネルギーの解放によって極めて高温であった。そのため内部の揮発成分が蒸発し、これが原始大気となった。金星や地球程度の惑星の場合、水蒸気とCO2を主成分とする数100気圧の大気で覆われていた。その結果、莫大な熱エネルギーと分厚い大気の保温効果によって、原始地球型惑星は全球が溶融した『マグマ・オーシャン』になっていたと考えられている。その結果、重たい金属が惑星中心に析出し、その周囲を比較的軽い溶融した岩石が覆う2層構造が形成された。
その後、次第に分厚い大気を通して惑星の内部熱を放出しながら冷却を続けている。
1−2 地球大気と金星大気
原始地球は約46億年前に誕生し、数億年間冷却した時点で水蒸気が凝結して地表面に到達できる程度の温度にまで冷却された。こうして約40億年前に原始海洋が誕生した。原始海洋が出来上がる過程で、大気中から水蒸気とともに、水に溶け込んだCO2が取り除かれ、急速に地球大気は薄くなった。それにともない、急速に気温が低下した。
原始地球誕生当初の地球大気は水蒸気(300気圧程度)とCO2(100気圧程度)を主成分とする400気圧程度であったのが、原始海洋が出来上がる 40億年ほど前にはN2とCO2を主成分とする2気圧程度にまで激減した。この間、地球の表面温度は数1000℃から100℃程度にまで急激に冷却されたと考えられている。
N2の濃度はその後現在まで大きな変化は無い。CO2については、その後の地球に登場した光合成生物の誕生と、大陸形成にともなう堆積岩の生成によって次第に大気中から取り除かれ、替わりに大気中のO2濃度が増え、現在の大気組成になったと考えられている。

丸山・磯崎「生命と地球の歴史」p.163
金星は地球型の惑星であり、大きさもほとんど変わりない。太陽からの距離は地球の70%程度、太陽放射強度は2倍程度と考えられる。原始金星はほとんど原始地球と同じような生い立ちであったと考えられる。
唯一つだけ大きな違いがあったのは、初期の冷却過程の中で、原始海洋が形成されるまで地表が冷却される以前に何らかの理由で大気中から水蒸気を失ってしまったことである。原因は明らかではないが、強い紫外線によって水蒸気がHとOに分解され、軽いHを宇宙空間に放出してしまったのではないかと考えられている(Oについては未だわかっていない。)。その結果、現在の金星大気は原始大気に含まれていたCO2をそのまま残した90気圧という分厚い大気に覆われている。
この唯一の違いが生態系を持つ水の惑星地球と不毛の灼熱の惑星金星を分けたのである。
§2 惑星下層大気の鉛直温度構造
2−1 熱収支
定常状態にある惑星下層大気の温度構造を決めるための基本的な条件の一つは、下層大気上層における熱エネルギーの平衡条件である。
入力:太陽放射の入射量
出力:下層大気上層から宇宙空間に放出される赤外線放射、(大気を透過した地表面からの赤外線放射)
太陽放射の入射量は、大気や地表面の反射率(アルベド)に大きく依存している。地球表面の反射率は植生や表面性状で大きく変わる。また雲量によっても大きな影響を受ける。現在の地球全体の平均的な反射率は30%程度である。
赤外線放射量が決まると、ステファンボルツマンの式から近似的に赤外線放射をする下層大気上層の平均的な温度を求めることが出来る。
裸 地 10〜25
砂、砂漠 25〜40
草 地 15〜25
森 林 地 10〜20
新 雪 79〜95
旧 雪 25〜75
海面(高度角25度以上) 10以下
海面(高度角25度以下) 10〜70
地球の表面性状による反射率(%)
もう一つの条件は、下層大気の下端=地表面における熱エネルギーの平衡条件である。
入力:太陽放射の直達放射、大気からの赤外線放射
出力:地表面からの赤外線放射、熱伝導、(蒸散潜熱)
地表面からの赤外線放射量がわかれば、ステファンボルツマンの式から地表面温度を求めることが出来る。地球大気では地表面からの蒸散量が表面温度を大きく左右する重要な因子となる。
2−2 大気の断熱圧縮
前節で下層大気上層と地表面の温度を求めた。ではその間の大気の温度の鉛直構造はどのようにして決まるのであろうか。ただし、下層大気の大気組成は一定とする。
気体は、断熱的に圧縮することによって温度が上昇する。ある高度における大気の温度をTとし、これを断熱的に1気圧にした時の温度T1を『温位』と言う。温位が等しい大気とは、単位質量あたりの熱エネルギー量が等しいく、同じ「重さ」を持つ。
前節で求めた下層大気上層の放射温度からその高度を求めて起点とし、この大気を各高度の大気圧にまで断熱的に圧縮した時の温度を、高度にたいして示した直線を描くことが出来る。こうして描いた直線の高度に対する温度勾配は g/Cp (g:重力加速度、Cp:定圧比熱)になる。この直線上では同じ温位が保たれている。一般的に、任意の温位の大気を断熱圧縮した場合の温度を、対応する高度に対して描いた直線(=以下、等温位直線と呼ぶことにする。)の勾配は g/Cp になる。温位T1の等温位直線は次式で表される。
T=T1−g/Cp×H (Hは1気圧の高度を原点とした高度)
下層大気上層の放射温度を固定し温度勾配を g/Cp よりも少し小さい直線を描くと、この直線上では高度が低いほど温位が低く(=重く)なり、大気は上下運動することが無く安定する。
下層大気上層の放熱温度を起点にして描いた、等温位直線は、大気が安定するための大気温度の上限値を与えている。もしある高度の大気の温度がこの直線よりも高温であるか、あるいは温度勾配が g/Cp を超える部分がある場合、大気は相対的に軽く不安定になるため上方に移動することになる。この大気の移動にともなって大気が保有する熱エネルギーも上方へ移動し、上方ほど温位の高い安定成層の大気構造を回復する。
つまり熱的に安定した大気温度の鉛直構造とは、太陽放射の入射量に対する平衡条件によって決まる下層大気上層の赤外線放射温度とその平均的な高度が決まると、それ以下の大気温度の鉛直分布は、下層大気の重力に対する安定性によって決まるのである。
具体的な温度分布は、下層大気上層における熱平衡条件によって決まる赤外線放射温度とその平均的な高度を起点とした等温位直線よりも少し温度勾配の小さな直線によって近似できる。
* 温位

@重力場における気圧
重力場における大気の微小立体に作用する鉛直方向の力の釣り合いから、
P+dP=P−ρg dz
dP=−ρg dz
ここで、比容v=1/ρ(単位質量の空気の体積)を用いて書き直すと、
∴dP=−(1/v)gdz (1)
A熱力学第1法則
単位質量の気体に加えられた熱量(dq)は、その過程で気体がした仕事量(dw)と内部エネルギーの変化量(du)の和と等しい。
dq=dw+du
ここでは断熱過程を取り扱うので、 dq=0 である。圧力Pに抗して外部に対してした仕事量は、体積変化を dv とすると、dw=Pdv である。定積比熱をCvとすると、温度変化 dT による内部エネルギーの変化量は、du=CvdT である。以上より、
0=Pdv+CvdT ∴Pdv=−CvdT (2)
B気体の状態方程式の微分
単位質量に対する気体の状態方程式は、vを比容、Rを気体定数として次式で表される。
Pv=RT
状態方程式の微分を求めると、
dPv+Pdv=RdT=(Cp−Cv)dT (∵定積比熱Cvと定圧比熱Cpには、Cp=Cv+Rの関係がある。)
断熱過程なので、式(2)より Pdv=−CvdT なので、
dPv=CpdT ∴dP=(1/v)CpdT (3)
C等温位直線
式(1)と式(3)より、
CpdT=−gdz (4)
式(4)の左辺を1気圧における大気温度T1から、1気圧を基準とした高度Hにおける大気の温度Tまで積分し、右辺を0からHまで積分する。
Cp(T−T1)=−gH
∴T=T1−(g/Cp)H
※厳密には、重力加速度gはz(高度)の関数になるが、大気厚は惑星半径に比べて十分小さいとして一定値で近似している。
2−3 地球対流圏大気の平均的温度分布
まず最初に地球大気について考えることにする。
地球大気の特徴は、水が液相と気相との間で容易に相変化する点である。これが地球の対流圏の気象現象を複雑にしている。まず最初に、水蒸気を含まない「乾燥大気」について考えることにする。
最初に、平均的太陽放射強度(0.49cal/cm2・min)を100とした場合の地球大気の平均的な熱収支を下図に示す。

2-1で示した大気上層の熱平衡条件から、太陽放射からの入力は70(=100-30[反射])、地球からの出力は、70=64(大気上層からの赤外線放射)+6(大気を透過した地表面からの赤外線放射)となる。大気上層の赤外線放射温度はステファンボルツマンの式
S=c・T4 ( c=8.1×10-11cal/cm2・min・K4)
からもとめることが出来る。
S=0.49cal/cm2・min×64/100=0.3136cal/cm2・min より、
T={(0.3136cal/cm2・min) / (8.1×10-11cal/cm2・min・K4)}-4≒250K=-23℃
となる。乾燥大気の等温位直線の勾配(=温度減率と呼ぶ)は、
乾燥大気の定圧比熱 Cp=0.2399 cal/g・℃≒1004m2/s2・℃
温度勾配(温度減率) g/Cp=(9.8m/s2)/(1004m2/s2・℃)=0.0098℃/m
となる。地球大気では、地表温度がそのまま温位を表すことになるので、任意の高度の大気温度は次式で表される。
T=T1−0.0098H (Hは高度、単位:m)
つまり、標高が100m上がるごとに約1℃温度が下がることになる。

槌田敦「CO2温暖化説は間違っている」p.149
地球大気において、温度が-23℃になる高度は5900mになる。これを起点として、温度勾配0.0098℃/mで描いた等温位直線を「乾燥直線」と呼ぶ。乾燥直線の地表面における温度は、高度5900mで-23℃を示す大気の「温位」を示す。実際に計算すると、-23+0.0098×5900≒35℃ になる。つまり、乾燥した地球大気が安定した定常状態にあるとすれば、平均的な地表温度は35℃を超えることは無い。

気象庁ホームページ「気温の鉛直分布から見た大気の構造」
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/whitep/1-1-1.html
実際の地球大気の対流圏における平均的な温度の鉛直構造は、対流圏上端、高度11kmで-56.4℃、地表温度は15.2℃程度といわれる。温度勾配は(15.2+56.4)/11≒6.5℃/km=0.0065℃/mになる。
実際の温度勾配は乾燥大気の温度勾配よりも小さい値を示している。これは地球大気が水蒸気を含んでいるためである。水蒸気を含んだ大気は軽いために上昇傾向を持つが、上昇にともなって減圧され断熱膨張することで温度が低下し、水蒸気から水滴あるいは氷粒に相変化する。この相変化にともない大気に放熱するために大気は暖められる。そのため水蒸気を含んだ湿潤大気の平均的な温度勾配は乾燥直線の温度勾配よりも小さくなる。
乾燥大気であれば、乾燥直線よりも温度勾配が小さければ、大気下層ほど温位が低く大気は安定した成層構造を持つ。しかし、地球大気は気体としての分子量が大気の平均分子量29よりも小さく、しかも相変化する水を含むために、水蒸気(分子量18)を含んだ大気は温位が低くても軽いために大気上層へ移動するため大気中に対流運動が起こる。相変化をともなう水の存在が、地球の対流圏の気象現象を本質的に決定しており、極めて複雑な気象現象の原因である。
2−4 金星下層大気の平均的温度分布
金星の下層大気の温度構造を見ておくことにする。太陽からの金星の距離は、地球までの距離の0.723倍(=108200/149600)である。平均的な太陽放射強度は0.49/(0.723)2=0.94cal/cm2・min程度である。太陽放射の反射率は78%程度なので、有効な太陽放射強度は 0.94×(1.00-0.78)=0.2068cal/cm2・minとなる。金星の下層大気上層における平均赤外線放射温度は、
T={(0.2068cal/cm2・min) / (8.1×10-11cal/cm2・min・K4)}-4≒225K=-48℃
である。
また、金星大気の乾燥大気の温度勾配=10.6℃/km程度である。乾燥大気の温度勾配は地球大気とほとんど変わらない。
金星大気の温度の実測値の例を下図に示す。
http://www.dlr.de/os/forschung/projekte/venuspfs/index/pfs.html
http://www.ep.sci.hokudai.ac.jp/~totera/official/study/graduate/thesis/013.htm
下層金星大気の温度勾配は、8.98℃/kmで安定しており、乾燥直線の勾配10.6℃/kmよりもやや小さい値なので、金星大気は安定した成層構造を持っていると考えられる。ただし、50km〜65kmまではH2SO4の雲の相変化による熱の放出があると考えられている。
金星大気の鉛直温度構造も、基本的に大気の重力的な安定によって決まっていると考えられる。金星大気がCO2で構成されているために温室効果によって表面温度が470℃程度と高温であると説明されることがあるが、これは正しくない。
金星大気から宇宙空間への赤外線放射の放射温度は225K、その高度は60km程度、乾燥大気の温度勾配は10.6℃/kmである。地球大気では250K、5.9km、9.8℃/kmである。もし金星大気が地球程度に薄かった場合、金星の地表温度は、
225+10.6×5.9=287.5K=(287.5−273)℃=14.5℃
程度であり、地球とほとんど変わらないのである。金星表面が高温である本質的な理由は、金星大気が厚く、金星表面での大気圧が92気圧程度と極めて高圧であることによる。
国立環境研究所のホームページに記載されている「暴走温室効果」についての考察は次の
CO2濃度上昇による暴走温室効果 に続きます。