●資本主義にしかけられた罠
資本主義は、第一に資本、そして労働力、資源、技術力、輸送力、最後に、市場が必要である。このどれが欠けても、資本主義の発展は不可能である。帝国主義は、これらの中で欠けたものを武力で強奪する、実に都合のいい理論だった。帝国主義者たちは、植民地からすべてを手に入れることで豊かになろうと主張したのである。
日本にも例外なく、帝国主義者であるマシュー=カルブライス=ペリーがやってきた。いわゆる黒船来航と呼ばれるものだが、はるか彼方の日本まで、一体何をしにやってきたのだろうか。
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ペリーの目的は、アメリカの産業界のために、日本を資本主義経済に組み込むことにあった。鎖国は自己完結したブロック経済であり、産業格差で搾取する資本主義とは、相いれない関係にある。アメリカの産業界は、日本に豊かな富があることを知り、ひと儲けすべく開国させたのだった。
日本はペリーにより、強引に資本主義経済に組み込まれたが、資本主義には大きな落とし穴があることまでは知らなかった。一般に資本主義の先頭を走る国を先進国と呼んでいる。これは実に的を得たいい表現である。
資本主義は、自国の産業を発展させ、他国の産業より常に一歩リードすることで、富の独占をはかるシステムである。そのため、もし産業が停滞してしまうとじきに追いつかれ、限られた富の配分から排除されてしまうのだ。
第二次大戦後、日本は「追いつき、追い越せ」をかけ声に、産業の発展だけを目指して心血を注いできた。だが、追いつき、追い越したら、今度は逃げなければならない資本主義の罠に、はまってしまうまで気がつかなかった。豊かになったのでそろそろ止まりたいと思っても、止まれない理由はそこにあった。
資本主義は、もう十分だと現状維持を望むと没落してしまう運命にある。
資本主義は、絶えず進歩しないと搾取されてしまう弱肉強食の制度だった。それにしても、どうして進歩し続けなければならないのだろうか。
それは、西洋文明の欲望には限度がなく、現状維持を考えない文明だったからだ。少しでも儲けたい、少しでも豊かな暮らしをしたいと考え、それを具現化したのが資本主義だった。だから、これでいいという終わりが存在しなかった。
では、どうして西洋文明は、資本主義を作り出したのだろうか。どうして資本主義がいいというのだろうか。それには明確な理由がある。そのわけは、これから順を追って見て欲しい。
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第一章 資本主義の常識
どうしてこれほど豊かなのか
資本主義の弱者は悲惨である
資本主義で搾取する手口
日本も搾取されていた
西洋文明とつき合うための第一歩
モラルとビジネスの関係
西洋文明に潜む排他性の意味
資本主義と社会主義のウソ
国益はだれのためにある
資本主義にしかけられた罠
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西洋文明の常識 森川 明氏著
本論文は以前ホームページ上で公開されていました。
大幅に加筆されたものが工学社によって出版されています。
西洋文明の常識
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