他律的な「開発」から脱却し、自立的な「発展」を目指そう。
「発展」とは、「経済的、社会的、文化的変化の総体」つまりある経済社会の内部から自らを変化させていくような自律的能力を意味しています。
ところが、この「発展」の過程で、ある地域が、他地域から生産的資源を収奪、または移転させて、自らの発展をすすめるケースが出てきます。この場合、生産的資源を他地域に提供または移転する地域、すなわち収奪される側の地域にとっては、低発展=低開発情況が現れます。つまり他律的な「開発」が現れるのです。この様に自律的な「発展」と他律的な「開発」とは、対立概念なのです。
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我が国の高度成長期における都市部の「発展」は、その恩恵に浴すことのない周縁地域から、労働力をはじめとする生産的資源を収奪「開発」することによって成し遂げられたものです。これによってもたらされた過疎化を解決するためにとられた諸対策も、自律的な「発展」をめざすものではなく、他律的な「開発」方式であったことから、その根本的な問題を解決しえなかったのも当然と言えます。
こうした上からの他律的な「開発」政策が形となって現れたのが、「過疎対策立法」でした。当該法によって整備された社会資本・インフラストラクチャーは、過疎地域の生活環境や交通条件を飛躍的に向上させたものの、地域全体が力をつけていくような発展は促せず、いたずらに公共事業を増発させたことから、それらを求心力とする土木建設業の台頭、乱立を生み出してしまったのです。
またこうした「開発」は、中央からの財政資金移転によって推進されたため、必然的に官主導の地域振興を定着化させ、本来主役となるべき地域住民の可能性を無視する形で行われてきました。そして、中核となる地域産業を持たない過疎地域自治体は域外からの工場誘致に努めるものの、そのほとんどが失敗あるいは実現に至らず、ついには住民の就労の場=所得確保の場として、既存の土木建設業を選択するに至ったのです。都市部に比べてインフラ整備の遅れた過疎地域は土木建設業にとって格好の場であり、人口に対する事業所数や事業の量も相対的に多くなっています。さらには、その源泉となる資金(事業費)も中央からの財政資金移転の形で供給されることから、自治体財政を圧迫することもなく、まさに地域雇用吸収産業としては申し分ない条件を備えていたといえるでしょう。
しかし、これによって土木建設業依存体質が官、民ともに強化され、しかも比較的安定した雇用環境を提供しえたことから、土木建設業を兼業とする第2種兼業農家(=土建業依存農家)を安易に増大させてしまいました。このことは、地域活性化の機運を奪い去っただけでなく、労働需給のミスマッチをも生みだし、若年労働力のさらなる流出をもたらす要因ともなっているのです。
また、こうした土建業依存農家が就業人口の大半を占めるに至ったことで、大きくバランスを崩した地域産業構造は、従来の地域共同体に見られたような人的繋がりが解体され、上層(雇用側)と下層(被用側)という上下二層構造を地域に内包することとなりました。その結果、上層側が地域運営の全権を掌握することとなり、そこに住む大多数の住民の意見や考え方が無視、あるいは抑圧される形で「地域振興」という名の公共事業政策が進められてきたのです。
しかし本当に重要な問題は、こうした圧倒的多数となった土建業依存農家を取り囲む環境が変化し、従来のような公共事業発注による土木建設業への従事が見込めなくなってきていること、そして地域全体に目を移せば「二重の人口減少」によって、その地域運営システムの存続さえ困難になってきているという現実です。
では、具体的にどんな地域振興プランが考えられるのでしょうか。ポイントとしては、仮にその兼業先である土木建設業に依存出来なくなった場合、その捨象された農外収入をどのような形で補填するかにあります。
しかし、こうした地域は地域内産業形成がほとんど進んでいないのが現状であり、誘致企業をはじめとした他産業への転職は極めて困難な状態にあります。さらには地域外においても、長引く不況によって失業者が急増していることから、かつてのような雇用吸収力は期待出来ず、従来の代表的な農外収入獲得手段であった「出稼ぎ」も衰退の一途を辿っている状況にあります。
このように農外収入に希望が見出せない現状を踏まえると、必然的に選択肢は一つに定まらざるを得ません。すなわち、唯一手元に残った生産手段である農地を最大限に活用した「農業経営」に活路を見出す途です。
ただ、個人レベルでの取り組みに限界のある中山間地域農業では、他地域との熾烈な競争に勝ち抜くことは困難です。ましてや昨今の国際化農業の進展は、農産物価格を著しく不安定化させ、国内農業者を窮地に追い込んでいます。ゆえに、従来のような農地集積による規模拡大だけでなく、輸入農産物や他地域との差別化を図ることで、何らかの付加価値を得られるような農業経営に転換することが必要となるでしょう。内発的発展による地域振興と、市場経済、計画経済とは対立・補間する、共同体の内部循環を最大化するための経済システム構築による地域構造の抜本的転換です。具体的には、地域産業としての農業の復権、そして、それを実現するための諸地域資源の地域化と農業の6次産業化、さらには内発的発展論に基づく地場産業の創出や地域内産業連関の形成が必須といえるでしょう。
参考 地域活性化入門 過疎問題総合研究所

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