■1.日中でまったく異なる「医食同源」■
台湾で中国医学を学んだ後、東大で医学博士号をとり、現在は栃木県で地域医療に携わっている林建良医師は、「医食同源」の理解が、日本と中国ではまったく異なる、と指摘している。
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日本人が考える「医食同源」とは、健康を保つためには、まず食事から正していかねばならない、というものだ。最近流行語となった「メタボリック症候群」に関しても、甘いものや濃い味付けの料理を食べ過ぎると内臓に脂肪がたまって、動脈硬化による心筋梗塞などの病気にかかりやすくなるので、野菜をしっかり食べよう、などと説かれる。
しかし、林氏が台湾の医学部で学んだ漢方医学では、たとえば「肝臓を食べると肝臓に効く」「脳を食べると脳にいい」「心臓を食べると心臓によい」と考える。
中国市場で精力剤として売られているのは「狗鞭(ごうべん)」、犬の鞭、すなわち犬の生殖器である。もっと効くとされているのが「虎鞭(フーベン)」虎のペニスである。犬よりも虎の方が強いからだ。
林氏も高校時代によく頭痛に悩まされたので、台北の中国人の医師にかかり、漢方薬とともに豚の脳を煎じて飲まされた。
病んだ臓器に近い臓器ほど、そして人間に近い動物ほど、体に良いとする。これが中国人の考える「医食同源」である。その究極は何か、と言えば、人体そのものということになる。
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樹を植える日本人、樹を伐る中国人 日本人と中国人の決定的な違いは死生観にある。
Japan on the Globe 国際派日本人養成講座より転載
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http://www2s.biglobe.ne.jp/~nippon/ 伊勢雅臣
林建良
『日本よ、こんな中国とつきあえるか? 台湾人医師の直言』並木書房、H18
■2.人体も薬■
中国医学で最も権威ある書物とされているのは、明時代の1578年に執筆された『本草綱目』である。「本草」とは基本的に薬用になる植物をさすが、薬とされる範囲は、鉱物や動物にも及ぶ。そして、最後に出てくるのはなんと「人部」、すなわち人体を薬剤として扱う章である。そこでは、髪の毛、尿、唾、汗、骨、生殖器、肝臓などの効用が細かく書かれ、たとえば「瘧(おこり、マラリア)は、生の人の肝臓1個を陰干しにして、その青い部分が効く」などと説かれている。
この「医食同源」の概念は、専門の医学書だけではなく、広く一般庶民の生活にも浸透している。昔から子供向けの教科書として使われていた『二十四孝』は、24種類の親孝行の例を示したもので、その一つに「割股療親」がある。子供が自分の太ももをえぐって、病気の親に食べさせて、療養することを、親孝行として勧めているのである。
「医食同源」の考えは近代になっても根強く残っていた。日露戦争中に日本に留学し、その後作家として活躍した魯迅の作品『薬』の中には、女性革命家が公開処刑される際に、民衆が手に手に饅頭を持って集まる、というシーンが出てくる。処刑された瞬間に吹き出る血を、饅頭に染みこませて食べる。新鮮な血は体によいという「医食同源」の発想である。
中国人は「四つ足で食べないのは机だけ」と揶揄されるほど、何でも食べ物にしてしまう。そして「医食同源」だから、何でも薬と考える。自らの体のためには、人間を含む他の生命はすべて食べ物や薬として見なすのが、中国人の哲学なのである。
■3.『共産党の慈善事業』(Communist Charity)■
人体を薬にするのが、内科的「医食同源」なら、外科的「医食同源」が臓器移植だろう。金儲けの天才である中国人は、死刑囚から臓器をとりだして売買するビジネスを発明した。
アメリカに移住した中国人・呉宏達(ハリー・ウー)氏は、自分の家族に臓器移植を希望しているとの触れ込みで、数度、中国に潜入し、臓器売買の実態を調査して、レポートを出版した。その題名がふるっていて『共産党の慈善事業』(Communist Charity)という。
ウー氏は、1995年にアメリカのパスポートで中国に入国した際に、スパイ容疑で逮捕されたが、アメリカ政府の圧力で釈放された。この事件をきっかけに、中国における臓器売買はアメリカの国会でも注目され、数度にわたる公聴会が開かれた。国会の提案により、江沢民主席が1997年に訪米した際に、クリントン大統領が問題提起している。同時期に、アメリカのABCテレビが『血なまぐさい金』(Bloody Money)という題名で、ゴールデン・アワーに全米に放送した。
ウー氏の調査によると、臓器売買は次のようなシステムで行われている。まず死刑は祝日の前日に予定される。中国では80年代以前までは公開処刑が一般的で、国民がお祭り気分で見る娯楽の一種であったからだ。
次に刑務所では、肝炎やエイズなどの事前チェックを行い、病院側が注文した臓器に合った死刑囚を選ぶ。さらに臓器は新しいほどよいので、刑場には医者が待機していて、死刑執行されるや臓器を取り出し、病院に運んで、移植手術を行う。
死刑執行前に臓器を取り出してしまうケースもよくあるという。ウー氏のレポートでは、ハンブルグに脱出した中国人医師が実名と写真入りで、死刑執行の前日に何度も肝臓を取り出したと証言している。その犠牲者のひとりは、思想問題で死刑とされた19歳の女性で、死刑執行する前に、待機する車の中に彼女を強引に押し込み、麻酔無しで腎臓を取り出したという。
■4.政府と軍のビッグ・ビジネス■
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルの調査によれば、2004年の世界における死刑執行件数は約5500件で、そのうちの3400件、62パーセントが中国である。そのうちのかなりの件数で、臓器が取り出され、役人の収入源になっていると思われる。
病院が処刑された死体に支払う値段は、300元(4500円)から600元(9000円)。そこから取り出された臓器は、12万元(180万円)から15万元(225万円)に跳ね上がる。外国人相手に売られるときは、その倍になるという。仮に200万円で3千件の臓器売買が行われたとすれば、総額60億円のビッグビジネスということになる。
林医師は、糖尿病の治療を専門としているが、患者の中には腎不全から人工透析を余儀なくされている人も少なくない。そのうちの一人が「臓器移植を中国で受けたい。紹介してくれないか」と頼んできたことがあるという。なぜ中国なのかと訊くと、「すぐに移植できるし、若くて健康な腎臓だと聞いている」と答えた。このように、中国に渡って臓器移植手術を受ける日本人患者も少なくない、という。
臓器移植をする病院は、ほとんどが人民解放軍や政府機関の病院である。中国司法部(法務省に相当)は、1981年6月13日付で「死刑囚の臓器摘出に関する注意事項」という秘密文書を出し、その中で「医者が車を使う場合は、医療機関のマークを隠すこと」「摘出した死体は速やかに処理するため火葬に付すこと」などと指示している。臓器売買は、政府と軍が深く絡んだビジネスになっているのである。
■5.「あんなものは、いくらでも手に入る」■
林医師自身も、こんな体験をしている。20年ほど前、東大で研究していた時、中国の蘭州大学で血液学を教えていた教授が留学に来ていた。当時は、骨髄移植が始まって数年しか経っていない時期で、最先端の医療技術だったが、彼は「こんなことは、中国ではとっくにやっている」と言った。
林医師がすぐには信じられずにいると、彼は「胎児の肝臓を使うのだ。胎児の肝臓を取り出してすりつぶし、メッシュで濾過したものを点滴すれば、骨髄移植と同じような効果がある」と説明した。
「では、どこから胎児の肝臓を手に入れるのか?」と訊くと、彼は笑いながら「あんなものは、いくらでも手に入る」と言い放った。
そのときに私は、さすが中国は世界一人口の多い国だから、胎児を手に入れることはたやすいのかもしれないと思ったが、「あんなもの」として命を軽んじ、恐ろしいことを平気でやるのが中国人だということを改めて認識した。
その教授が「いくらでも手に入る」と言ったときの乾いた笑い声は、いまだに耳から離れない。[1,p23]

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