日本核武装によるアジア核戦争の恐怖−1
:北朝鮮の核実験、原子炉級Puでは原爆が作れない理由
日本核武装によるアジア核戦争の恐怖−2
:兵器級プルトニウムを製造する方法、日本の核兵器工場
の続編です。−1から順にお読み下さい。
【11.原水爆禁止運動の失敗】
この原爆投下により戦争が終わったとする天皇の降伏詔書は後の原水爆禁止運動に影響する。ソ連共産党の影響下にあった日本の左翼は、まず原爆を投下したアメリカ軍を解放軍として、原爆投下を黙認した。しかし、朝鮮戦争となって、反米闘争の一環として反原爆運動がなされ、弾圧を受けることになる。
朝鮮戦争も終わって原水爆禁止運動か復活するが、アメリカによる原爆の使用は議論にならず、単に「原爆は怖い」という運動しかしなかった。そして、ソ連の核実験が頻繁になされることになると、社会主義国の核兵器は人民を守るという前提で、原水爆禁止運動が原水爆擁護運動になっていく。
このように、残酷兵器の原爆を投下された国民が、アメリカの原爆使用に抗議せず、またソ連の原爆開発を容認する以上、平和を回復するための原爆使用および原爆による社会主義国の防衛は正義ということになってしまった。
そして、この「原爆は怖い」としか言わない日本原水爆禁止運動の結果、世界中の国々で、そのような「怖い兵器」ならば、国と国民を守るために「その怖い兵器を持とうではないか」という自衛のための兵器になり、世界的な核開発競争にしてしまったのである。日本の原水爆禁止運動は逆効果であった。
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核開発に反対する 物理研究者の会通信 第42号 2006年12月
日本核武装によるアジア核戦争の恐怖 槌田 敦 からの転載です。
【12.核兵器使用の条件】
このようにして、アメリカは広島・長崎に原爆を使用したことの非難から免れたが、原爆が残酷兵器であることには変わらない。したがって、日本のように投下されても文句を言わない状況にできる可能性がない限り、原爆を持たない国に原爆を使用することはできない。
しかし、相手が原爆を持っていれば話は変わる。それは、双方にとって、相手に先制攻撃される心配があるからである。この先制攻撃でこちらの原爆が全滅してしまえば、決定的敗北になる。
これを避ける方法はふたつある。ひとつは、敵の先制攻撃の前に、こちらが先制攻撃することである。もうひとつは、仮に相手に先制攻撃されても、原爆を多数用意しておけば、どれかは残っているだろう。その残りの原爆で相手に同規模以上の被害を与えることができれば、相手はその反撃を恐れて、原爆を使用しないであろう。
アメリカとソ連は、後者の道を選んだ。双方2万発程度の原爆を所有することになり、地球を何回も破壊できることになった。このいわゆる冷戦によりソ連は経済的に破綻し、アメリカも経済的地位は低下して、日本とドイツに追われることになった。
そこで、アメリカとソ連は、双方の経済的利益を守るために、原爆を削減しても互いに原爆による先制攻撃ができないように、合意を取り付けたのである。
【13.アジア核戦争の恐怖】
今回の北朝鮮の核実験とミサイル開発は、日本の核開発とミサイル開発を誘発する。日本の巡航ミサイルは、20キロトン相当の核弾頭の運搬が可能で、射程距離が2,500キロという。このMIRV型(個別誘導多弾頭再突入体)の大陸間弾頭ミサイルは、10個の弾頭を搭載できるという。
そして、日本が核開発を宣言すれば、中国も核を再開発することになり、韓国も開発するであろう。インドやパキスタンを含め、全アジアの核情勢は混沌化する。
この状況は、米ソ冷戦のアジア版であって、この使えない核兵器の開発のために、日中両国は経済的に疲弊することになる。
アメリカは、現在、戦略を見直し、アジアから撤退しようとしている。たとえば、韓国がアメリカに対して、首都ソウルにあるアメリカ司令部の移転を申しいれたところ、アメリカは指定された期日以前に移転すると回答して韓国政府をあわてさせている。
すでに述べたように、アメリカは日本の核武装を認め、アジアの核を属国日本にまかせて、引き上げようとしている。仮に将来、中国とのいざこざが生じて、アメリカが核を使用すれば、中国の核がアメリカを襲うことになるからである。アメリカによる核の傘は廃止して、アジアの核はアジアで収めろという訳である。
しかし、日本がもんじゅと常陽の兵器級Puで核弾頭を多数個作ったとしても、日本は中国に対抗できない。それは、日本が核融合装置ITERの誘致に失敗し、トリチウム(半減期13年)の常時保有態勢がなく、また日本にはトリチウムを作るためのリチウム金属資源もないからである。
そこで、日本は兵器級Puによる核弾頭製造の実績を背景にして、アメリカから水爆と中性子爆弾を購入することになる。このようにして、アメリカは、アジアの核による安定を日本にまかせて、完全に引き上げることができる。このようにすれば、アメリカは中国からの核攻撃を心配しなくてもよい。
【14.日本の裏切りを許さない】
ところが、この計画には落とし穴がある。もしも、日本が中国と同盟して、アメリカと対抗することになったら、アメリカにとってとんでもないことになる。戦国時代の日本人には数多くの裏切りの歴史がある。
そのような昔の話ではなくても、第1次大戦後、日本はアメリカ、イギリスと仲が良く、ドイツとは犬猿の仲だった。その理由は、第1次大戦の最後になって戦争に参加し、ドイツの中国山東省での権益を奪いとったからである。「火事場泥棒」の国、日本である。
ところが、ドイツがヨーロッパ戦争で勝ちそうになった。そこで日本は、日独伊3国同盟に参加し、アジアでの権益拡大のため、真珠湾を攻撃してしまったのである。
このような裏切りをふたたび日本にさせないために、アメリカは、ワシントン州にある第一軍団司令部を日本の首都圏の座間に移転して、統合作戦司令部とする。しかも自衛隊司令部もこの座間に呼び寄せることにした。
この理由について、日本では、アメリカが極東戦略を変えたなどと単純に考えている人が多い。しかし、そのような単純なものではなくて、目的は属国日本の裏切りを監視し、これを防止するためである。
韓国では外国軍隊の司令部を首都圏から追い出したのに、日本では逆に首都圏に招きいれようとしている。不思議の国の日本は世界の笑い者になるだろう。
このようにして、日本と中国の間には恐怖の均衡が実現することになる。これにより、両国は経済を犠牲にすることになるが、いったんこの状態になれば、相手が怖くて、核開発は止めたくても止められなくなる。
そして、突発事件でアジア核戦争が始まるかも知れない。戦争になってしまえば、簡単には止められないから、白人諸国は高みの見物をすることになる。世界への放射能の影響は過去の核実験なみだろうが、これが我慢の限界に達して、ようやく停戦ということになる。
日本が核を持ったばかりに、不幸な時代を迎えることになるだろう。
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【資料】核開発に反対する物理研究者の会からの質問に対する回答(要旨)
(通信第5号、1994年12月号参照)
1.常陽において
使用済み燃料集合体数と集合体あたりの平均Pu量(平5年12月末現在)
MK−1期において炉心燃料 116体 Pu量は2.0kg/体
径ブランケット 220体 Pu量は0.1kg/体(注)
(注、菊地部長のメモ(平5.3.31)では0.2kg/体)
MK−1期での径ブランケットのプルトニウム240と241の密度分布(%)
Pu−240 0.63% Pu−241 0.01%以下
2.もんじゅにおいて
炉心燃料集合体 99体 集合体あたりの平均Pu量7.1kg/体
径ブランケット集合体 69体 集合体あたりの平均Pu量0.9kg/体
径ブランケットのプルトニウム240と241の密度分布
Pu−240 2.4% Pu−241 0.1%以下
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この回答から、常陽ブランケットのプルトニウムは、 Pu−239同位体純度99.36%
もんじゅブランケットでは、 97.5%
であり、これらは兵器級プルトニウム(同位体純度96%以上)と比べて、最高級の兵器級プルトニウムであることが分かる。
その量は、常陽では220×0.1=22kg、もんじゅでは69×0.9=62kg、合計は84kgである。原爆を作るのに、兵器級プルトニウムが1発あたり約2.5kg必要とすると、日本はすでに30発分以上の兵器級プルトニウムを所有していることになる。
出典:
環境問題を考える
近藤氏のHPより

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