「国民経済における余剰資本と余剰通貨 《年金問題の本質は“高齢化”にあらず》 1」
世界経済を認識する基礎
■ 国民経済における余剰資本と余剰通貨
“余剰資本”と“余剰通貨”という概念は、一般的にイメージされている過剰とか余分のといった意味ではなく、次のようなものとして使用する。
“余剰資本”:労働成果財生産の資本活動に従事しない国民のために活動している資本
“余剰通貨”;資本化されない、すなわち、勤労者を含む財の購入に向けられないまま滞留している通貨(例えば、株式市場にずっと居続ける通貨)
“余剰資本”がどういうものを説明するために、「高齢化社会」の到来で危機が叫ばれている公的年金制度を取り上げる。
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【世界経済を認識する基礎】 “あっしら”的経済概念の説明:国民経済における余剰資本と余剰通貨 《年金問題の本質は“高齢化”にあらず》 〈その11〉 投稿者 あっしら 日時 2002 年 7 月 27 日
● 公的年金制度の経済的意味
公的年金制度の保険料については、将来の反対給付を約束した“特定目的税”と考えることもできるが、経済論理として公的年金制度を説明すると、資本活動に従事している人が活動成果の一部を権利者に移譲することで、将来において、資本活動に従事する人の活動成果の一部を受領できる権利が得られるシステムである。
(企業年金は考慮外である。現在の資本活動の一部移譲については基礎的移譲(基礎部分)と移譲の大きさが諸個人によって異なる部分(報酬比例部分)があり、報酬比例部分の大きさによって将来受領できる権利の大きさが規定されている。実際の制度は、賦課方式と積立方式が混在しているが、基金として積み立てられた通貨も預貯金と同じように“使われてしまっている”のだから、すべてが賦課方式で運営されていると考えることができる。本当の積立であれば、ここ数年の分は別として、インフレによって実質価値は大幅に劣化している。価値が劣化しなかったのは、その通貨が資本化され使われ続けたからである)
現実の公的年金制度には、公務員共済年金など資本活動そのものに関わっていない人も加わっているが、その原資は、俸給を媒介にしているとは言え、資本活動を担っている経済主体(従事者を含む)から徴税したものであることから上記の説明に包含される。
公務員については、資本の活動やそれに従事する人たちの生活が円滑に運ばれるための活動に従事することで、経済主体から、現在でも活動成果の一部を移譲されるのみならず、将来においても活動成果の一部が移譲されると説明することができる。
(資本活動従事者の給与は経済主体から支払われるものなので経済主体に含めることができる)
この論理で言えば、公的年金制度は、経済主体の資本活動の一部を権利者に移譲することで、その活動に従事していた人たちが、ある年齢に達することで、経済主体の資本活動の一部を受領できるシステムということになる。
公的年金制度が現象的に保険料負担と年金受給という見知らぬ者たちの間の通貨移転に見えるからといって、その次元にこだわったまま問題を眺めると、利息や金融資産取引と同じように、制度が意味している経済的本質が見えない。
資本化されない通貨は基本的にないことや、資本化されない通貨は転化されるべき「労働価値」が伴っていないために実質価値を持っていないということから、現象的には誰かがある条件で負担しているとしても、経済論理的には、労働成果財を生産する資本活動を部分的に移転することになる。
何度も繰り返し説明していることだが、ペーパーマネーである通貨が経済的な価値を付与されるためには、それが労働成果財の生産において資本化され「労働価値」の転化過程を通らなければならない。(金本位制の通貨も同じである)
労働成果財の資本活動を通じて価値を付与された通貨が利息や税金として銀行や政府部門に移転していくからこそ、それらに従事している人々が給与として得る通貨も価値を持つのである。
(「労働価値」の洗礼を受けない通貨が大量にうごめくと、バブルの形成・崩壊という経済事象が起きたり、ハイパーインフレが発生する)
このような意味で、年金保険料のみならず税金を含む公的負担は、迂回的で異なる経済主体や個人が負担する部分があるとしても、労働成果財の生産を行う資本の活動成果が移転されたものであり、そうでなければそれらのために移転する通貨は実質価値を持たないものになってしまう。
抽象的で回りくどい説明をしてきたのは、公的年金問題が、巷間言われているような負担者と受益者の比率を規定する人口構成変動(高齢化)によって起きるわけではなく、日本の資本活動力すなわち日本経済そのものに関わることであることを説明するための前提になるからである。
その2へ続きます