■現代でも気温上昇が原因,CO2濃度上昇は結果
そもそも,古代では気温が原因でCO2濃度は結果であったが,産業革命以後人間のCO2排出量が増えてこれが大気中に溜まり,論理が逆転してCO2濃度が原因で気温が結果になった,という「逆転の発想」には無理がある.
そのような発想をするのであれば,その逆転することになるCO2濃度はいくらなのか,を説明しなければならない.その説明がないのに,世間はCO2温暖化説を受け入れて,これを通説としたのであった.
このような逆転の発想の無理だけではない.CO2温暖化説は,気温とCO2濃度のどちらが原因でどちらが結果かという問題について,事実による検討をせず,一方的にCO2が原因としていた.
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日本物理学会誌 Vol.62, No.2, 2007
CO2を削減すれば温暖化を防げるのか 槌 田 敦 (高千穂大学)
図1 気温変化とCO2濃度変化の関係
(C.D.Keeling;in D.H.Peterson(ed.);Geophysical Monograph 55 (1989)210, Fig.63)
キーリングはこの点に気づき,気温の変化とCO2濃度の変化の関係を分析した.8) 図1はその研究結果であるが,気温の変化はCO2濃度の変化に1年ほど先行する.つまり,気温が原因でCO2濃度は結果であると発表したのである.この事実を認めるならば,CO2温暖化説はこの段階で消えるはずであった.
キーリングはこの研究を発表するにあたり,気温の変動が地球表層のCO2放出源や吸収源に影響を与えた結果,この微妙な不規則変化が現れたとしている.しかし,それ以上の論評をしていない.
このキーリングの研究(1989年)は,長い間,気象学者の間で無視されてきた.日本では1994年に根本順吉著『超異常気象』で紹介された9) 後も,気象学者たちはこのキーリングの研究を論じなかった.
ところが,この本を読んだ読者から質問が相次ぎ,キーリングの発表後16年も経過した2005年に,ようやく日本の気象学会誌『天気』において,気温の変化がCO2濃度の変化に先行するという事実を認めた.10) けれども,先行することは認めても,原因であることについては口を閉ざし,キーリングの発表したこの図では長期的傾向は除かれていると指摘し,CO2温暖化説は否定されていないと説明した.
しかし,長期的傾向でCO2が原因で,気温が結果となるような事実は存在しないし,またCO2が長期的な影響をもたらすという根拠理由もない.この記事のいう長期的影響説は弁解にもなっていない.
ところで,このような弁解もどきの説明が可能なのは,長期的傾向を除くというキーリングによる人為操作が存在するからである.そこで,近藤邦明は,ハワイでのCO2濃度の測定結果,そして日本気象庁の発表した世界の気温と海面水温の生データを用いて,それらの年増分を直接比較して,図2と図3を発表した.11)
図2 大気中のCO2濃度の年増分/世界平均気温偏差の年増分、
(近藤邦明;(2006)私信、
http://env01.cool.ne.jp/gloval_warming/report/kondoh01.htm 06/04/17)
図3 大気中のCO2濃度の年増分/世界海面水温偏差の年増分、
(近藤邦明;(2006)私信、
http://env01.cool.ne.jp/gloval_warming/report/kondoh01.htm 06/04/17)
これによれば,気温と海面水温は,いくつかの例外を除き,極めてよく対応している.つまり,平均海面水温は平均気温に連動しているとしてよい.そして気温(および海面水温)の変化は,例外はあるが,大気中CO2濃度の変化よりも1年ほど先行している.つまり,気温(海面水温)変化が原因で,CO2濃度変化は結果である.
更に,キーリングは,エルニーニョの後,約1年遅れてCO2濃度が上昇すると言う事実を発表した.8) これは分かりにくい図面なので近藤邦明は図4のように整理して示した.11) エルニーニョとは,赤道海域の温度が上昇することであるから,温度が高くなってこの海域や周辺海域の海水がCO2を放出したと考えれば,この現象は理解できる.つまり原因は気温(海面水温)であって,CO2濃度は結果である.
図4 エルニーニョとCO2濃度の変化の関係、
(近藤邦明;(2006)私信、
http://env01.cool.ne.jp/gloval_warming/report/kondoh01.htm 06/04/17)
例外は1964年と1992年である.エルニーニョがあったのに,CO2濃度は増えていない.それは1963年のインドネシア−アグン火山の噴火と1991年のフィリピン−ピナツボ火山の噴火の影響として説明できる.
CO2温暖化説を否定するこれらの事実に対し,CO2濃度が原因で気温が結果であるとする事実は何一つ存在しない.気象学者たちは,人間の排出したCO2による気温の上昇は計算で示されるというが,計算ではパラメーターの値を変えることにより,どのような結果でも作れる.因果関係は事実で示せなければ,どうしようもない.
それだけでなく,CO2による温暖化という未来計算は実は不可能なのである.たとえば,CO2の倍増によって地上および海洋の生態系が変化する.そして,生態系の変化は気温に影響する.このどちらも計算で求めることは不可能である.12) つまり,CO2温暖化説による計算予測など信用できないのである.それにもかかわらず,人類は京都議定書でCO2削減による温暖化防止を最重点課題としたのであった.
ところで,すでに述べたように,キーリングはCO2温暖化説の仕掛け人である.そのキーリングが気温の変化が原因でCO2濃度の変化は結果であると発表したのである.これによりCO2温暖化説は大混乱してしまった.そこで,IPCCをはじめ各国の気象学者は,日本を除いて,現在でもCO2濃度変動と気温変動に関するキーリングの研究を無視し続けるのである.
■深刻な影響を残すCO2温暖化説
このような多数の事実を無視するCO2温暖化説は,現代における「壮大な迷信」と言ってよいだろう.そして,この「迷信」を人々が信じたばかりに世界の炭鉱は次々と閉鎖・破壊され,石油枯渇後の貴重なエネルギー資源が採掘不可能に追い込まれている.
また,原子力発電が復活し,放射能という猛毒を大量に発生させ,巨大事故の心配を増やし,その後始末を子孫にさせようとしている.さらに,この「迷信」の流行により,人類史にとってもっとも深刻な寒冷化問題(飢餓)を人々は忘れてしまった.
気象学は物理学の一分野である.物理学者がこの問題の多いCO2温暖化説を議論もせず放置するなら,「物理学者の責任」とは何だったかということになる.
参考文献
8) C.D.Keeling et al.; in D.H.Peterson (ed.);Geophysical Monograph 55 (1989) p.210. Fig.63.
9) 根本順吉:『超異常気象』(中公新書、1994)pp.213-215.
10) 河宮未知生:気象学会誌『天気』52 (2005)pp.507-508.
11) 近藤邦明:私信 (2006)
http://env01.cool.ne.jp/global_warming/report/kondoh01.htm 06/04/17.
12) 中本正一朗:地球温暖化討論会(2006年2月18日、高千穂大学会場、東京).
以上
環境問題を考える
近藤邦明氏のHPより転載
さらに詳しく知りたい方は氏のHPを御覧下さい。

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