「豪州農業が破局的危機に直面 豪首相 数週間中に大雨がなければ農地灌漑は禁止 」
農業問題
オーストラリアのハワード首相が今日19日、キャンベラでの記者会見で、来月半ばまでに多量の降水がないかぎり国の大部分の農地の灌漑が禁止される発表した。マレー・ダーリング河流域の水不足に関する非常事態対応策リポートを受け取ってのことである。このリポートはこう述べているという。
「2007年5月半ばまでに非常に大量の流入がないかぎり、2007-2008年水年度開始にあたって、不可欠な都市用水以外の灌漑、環境、その他いかなる用途への配分のために利用できる十分な水はなくなるだろう」
これは、今から6週間から8週間の間に大量の降水がなければ、流域都市の人々が必要とする最小限の水を供給するために、7月1日に始まる新水年度のはじめに灌漑目的に利用できる水はまったくな くなりそうだということを意味する。
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豪首相 数週間中に大雨がなければ農地灌漑は禁止 豪州農業が破局的危機に直面
農業情報研究所(WAPIC)07.4.19
Murray-Darling Basin Irrigration Allocations,07.4.19
報道発表は、もしそうなれば、ブドウ=ワインや石果(核果)などの園芸作物や酪農のような灌漑に頼る他の一次産業に破滅的影響を与える可能性が高いという。オーストラリア気象局の予報では、期限内に平均以上の雨が降る確率は5分5分というが、マレー・ダーリング委員会は、現在の乾ききった条件では、来るべき3ヵ月以内に平均以上の流入をマレー上流にもたらすためには平均を大きく超える降水が必要という(
Even chance of rain: climatologistThe Age,4.19 )。助かる確率は低そうだ。
マレー・ダーリング流域面積は、例えばエジプトの国土総面積を超え、日本の国土面積の約2.8倍にもなる。目下、オーストラリア農業生産の34%がここで生み出され、国の灌漑地(耕作地と草地)の75%を含み、灌漑農業の中心をなすのは酪農・綿花・コメ・園芸特にブドウ栽培である(
Snapshot: The Murray-Darling basin,The Australian,4.19)。この大農業地帯は昨年来、記録史上最悪の干ばつに見舞われ、既に灌漑作物が甚大な損害を蒙ってきた。灌漑禁止はこの被害にさらに追い討ちをかける。灌漑水が配分されなければ、コメも当然作付不能となる。果樹が枯れれば、回復までには少なくとも5年程度はかかるだろう。オーストラリアの農家は、まさに破局的事態に直面している。都市消費者も、とてつもない食料価格高騰に直面することになろう。
1月、ハワード首相は、マレー・ダーリング水系沿いの水漏れの多い灌漑パイプのオーバーホール計画を含む100億豪ドル(70億米ドル)の水問題対策計画を発表した。また、水系規制権限を、今まで灌漑権を管理してきた4つの州(クイーンランド、サウスウェールズ、サウスオーストラリア、ビクトリア)から取り上げ、連邦政府に集中する計画も打ち出した(3州の同意は何とか取り付けたが、ビクトリア州だけはなお反対している)。このように、水利用効率化の対策は講じられつつある。
しかし、雨が降らないことにはどうにもならない。先の気候変動政府間パネルの地球温暖化影響評価報告は、オーストラリアの南部と東部の大部分の地域では、干ばつと森林火災の増加で2030年までに農業・森林生産が減少するとしたが(
気候変動で食料生産が先細り、さらにバイオ燃料が食料危機を呼ぶ皮肉)、こんな評価も甘すぎるかもしれない。
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Murray irrigation to be switched off without rain,The Australian,4.19
Weather bureau expects Murray-Darling rainfall,The Australian,4.19
Bracks unmoved by PM's Murray water warning,The Australian,4.19
PM's warning nothing new: farmers,The Age,4.19
Food price hike threat,The Age,4.19
Water ban threat questioned,The Sydney Morning Herald,4.19
Murray water crisis sparks ban,The Sydney Morning Herald,4.19
Wine industry could be crippled, warn growers,The Sydney Morning Herald,4.19
オーストラリアのコメ生産 干ばつで前年より90%減 夏作物最新生産予測
農業情報研究所(WAPIC)07.2.20
オーストラリア農業資源経済局(ABARE)が19日、干ばつのためにコメ生産が90%も減るなどとする2006/07年夏作物の最新生産予測を発表した。冬から続く厳しい干ばつで、夏作物全体の生産量は前年よりも59%減少して190万トンになる。これは1982/83年以来最低だ。コメ生産は90%減り、たったの10万6000トン、綿花は42%減って25万トン、ソルガムも51%減少で99万6000トンになると見込まれる。
australian crop report,2007.2.20,No.141
大量の水を要するコメと綿花の栽培者は一部の収穫を放棄、減らされた配水を小さな面積で使うことにより残りの作物の収量を最大限にしようとしている。
灌漑水不足のために、コメの作付面積は昨年よりも89%減って1万2000haになった。綿花播種面積は57%減り、1983/84年以来最小の14万3000haになった。ソルガム栽培面積も半減、42万7000haになると推定される。
他方、収穫が終わった冬作物の生産量については僅かながら上方修正されたが、依然として10年来の最小となる。小麦生産は前期を61%下回る980万トン、大麦生産は62%減少して370万トン、カノーラは64%減少の51万3000トンと見込まれる(参照:豪州 作物大減収の最新予測 過剰な灌漑水利用が輸出農業の存続を脅かす,06.12.8)。
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