>3)自由主義経済下においてコストである賃金を上昇させることをどう正当化するのか。というあたりになりそうですね。
3)が致命的に難しい点ですが、何らかの方法でこれをクリアしたとしても、超優良企業でも国際競争下にさらされていて、競争力を失う事は市場からの撤退を意味する現状を考えると厳しいアイデアと感じます。
この問題には三つの主要論点を提示できると考えています。
● コストの上昇
長期化した「デフレ不況」のなかで生産性の上昇があまり顕在化していないことから、生産性の上昇に応じた賃金の上昇という提案はしていません。
まずは、優良企業の利益が再投資(賃金引き上げ)されることで、生産性の上昇を顕在化させることが必要だと思っています。
「デフレ不況」から脱却できたら、生産性の上昇ペースとその国際比較のなかで賃上げのペースを決定すればいいと思っております。
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国際競争力及び海外への製造拠点移転問題投稿者 あっしら 日時 2002 年 11 月 11 日
また、前年度の利益を再投資することですから、会計学的にはコストであっても、生産する財の価格を必ずしも押し上げるものではありません。
利益の遅れた配分とも言えるものですし、賃金引き上げの結果利益が出なくなったら、賃金は据え置きになります。
(このあたりは、高度成長並びに80年代までの日本経済成長の基礎要因です。とりわけ、70年代の2度の石油ショックを成長的及び国民生活向上的に乗り越えた先進国が日本だけであった要因でもあります)
● 優良輸出企業の国際競争力
国際競争力を無視したり軽んじたりする立場ではありませんが、獲得利潤の量という問題を脇に置けば、日本の優良輸出企業が苛烈な国際競争環境にあるとは見ていません。
とりわけ高級家電製品は圧倒的なシェアを握っています。
自動車は、高級家電製品よりは競争環境が厳しいとは言えますが、大勢は日本・米国・ドイツのメーカーで棲み分けができています。
中国の家電製品の輸出が拡大していると言っても、日本メーカーの中国生産分も含まれており、部品や生産財は日本メーカーに依存しているものです。
半導体メモリの国際競争力凋落は、短期的な獲得利潤にこだわって徹底的な競争を忌避したことから起きました。
(日本企業は、半導体メモリーの圧倒的なシェアを好条件としてより大きな利益を得ようとして、生産量の調整に動きました。その間隙をぬって、韓国を中心とした半導体メーカーがシェアの拡大に成功したというものです。圧倒的な先行の利を活かして、競争メーカーを叩きつぶす競争を仕掛けなければならなかったのです。半導体メモリーの競争優位条件は、シェアと次世代メモリの開発力です)
国際競争を戦い抜くという構えとそのために必要な理論さえきちんと持っていれば、それほど恐れることはありません。
● 変動相場制による為替レートの調整
コスト上昇に対する危惧は、変動相場制が持つ為替レート調整機能を軽んじている面もあると思っています。
金本位制であれば、平価の切り下げを行わない限り、輸出製品のコスト上昇はそのまま国際競争力の低下につながります。
しかし、変動相場制であれば、両国間の国際交易財を中心としたインフレ率を比較して、よりインフレ率が高い方の通貨が安くなります。(短期的には為替投機や国際金融取引で逆方向の動きも見られますが、中長期的には物価変動に規定されます)
為替変動を国際競争力の回復に活かせないことになるのは、“産業空洞化”と生産性上昇力の欠如があったときです。
産業が国内にきちんと残り、技術力が絶え間なく上昇しているのであれば、為替レートの変動で国際競争力は回復できます。
円安論者でも円高論者でもなく、為替レートは中立的に維持すべきだと考えているので、コスト上昇は、競争相手国との物価変動及び生産性上昇の比較で制御すべきだと考えています。
米国の産業国際競争力が失われていったのは、金融資本の利益のためにドル高政策を採り、それに嫌気した産業資本が製造拠点をメキシコなど外国に移していったことが最大の要因です。
>同様に、中国に生産基盤を移す事は日本の凋落に繋がるとするあっしらさんの持も、(認識そのものは正しいのかも知れませんが)WTO加盟国として貿易・海外投資の自由化方向にサオを刺せない日本の現状を考えると、具体的に有効な対策手段がないところが難点だと感じます。
中国企業や米国企業が、対日輸出や対日投資をすることを忌避せよという考えは持っていません。
日本企業が自己の最大限利益を追求するならば、日本向け製品を中国などで生産して輸入することは誤っているという主張です。(日本での売上・利益よりも、海外での売上・利益に依存しているという企業は正しいとも言えますが...)
自己の利益を追求するのが自由主義であれば、日本企業の日本向け製品の海外生産は、自由主義に反した行動です。(これが理解できないことが、「デフレ不況」の長期化要因ではありますが...)
行きつくところは自由主義経済からの離脱か投稿者 せいがく 日時 2002 年 11 月 13 日
あっしらさん、こんにちは。
>また、前年度の利益を再投資することですから、会計学的にはコストであっても、生産する財の価格を必ずしも押し上げるものではありません。
利益の遅れた配分とも言えるものですし、賃金引き上げの結果利益が出なくなったら、賃金は据え置きになります。
こういう利益処分案を出すと株主総会が荒れるでしょうね。株主に配当を増やすんじゃなく、従業員の給与を上げるとは何事かと。
あっしらさんの持論である「利潤なき経済社会」に優良企業は率先して入って行きなさい、と号令をかけているように見えます。
高度成長期に関する理解としては、「利益を犠牲にしてまで従業員給与を増やした」のではなく、「利益も給与もどんどん上昇していった」というのが本当のところだろうと思います。ただ、オイルショックをうまく切り抜けられたのは、従業員給与ではなく、利益を犠牲にした面が確かにあったのでしょう。
しかし当時は、この難局さえ乗り越えればまた確実な右肩上がりの成長路線が戻ってくるという揺るぎ無い経営者らの確信がありましたし、終身雇用、年功序列、労組との協調路線もしっかりしていました。それゆえ実行可能だった面があるでしょうね。
低成長はおろか、もはやマイナス成長が当たり前になった今、同じような対応は求められないでしょう。やるなら、法律を作って強制するしかないと思います(自由主義経済ではなくなりますが)。
>日本企業が自己の最大限利益を追求するならば、日本向け製品を中国などで生産して輸入することは誤っているという主張です
その通りなんでしょうが、例えば松下だけがそのことの重要性を理解し、日本での生産にこだわり出す一方、ソニーやサンヨーや東芝がそんなことお構いなしに中国でバンバン生産して日本へ持ってくると、松下は倒産するわけです。皆が一斉に中国進出をやめるには、政府による強力な行政指導か立法が必要になります。このような立法は海外投資を制限するものですから、中国は当然怒るでしょう。
あっしらさんの主張を通すには、強権的な政府の対応というものが、いずれ必要になるのではないですか。

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