「コンビニエンス・ストアの「お客」とは:悪魔のシステム=コンビニ」
その他
とあるニューヨークの一角、テロで崩壊したツインタワーがまだ生まれていなかった頃の話である。
奇妙な一連の顔触れがあらゆるマスコミ、部外者をシャットアウトする形での会合に臨んでいた。
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コンビニエンス・ストアの「お客」とは
−−− 鉄鋼王と言われた男、
スーパーマーケットを次々に買収して来た流通業界の雄、
自社の記者にも一切所在を知らせなかったイエローペーパーの社主、
BIG3の一つとだけ言って置くが、その代表、
この街に本拠を置く大銀行の頭取、
その子会社証券を取り締まる娘婿、
穀物・食肉・フルーツの生産を一元化し全米に拡がる外食産業の可能性を探っていた名門山師、
セブンシスターズと呼ばれる石油屋共から取締役3名、
独立した放送局を虱潰しに消して来たネットワーク局長、
遊園地とアニメ映画で一大王国を築きつつあった兄弟の片割れ、
そしてコーラの原液独占だけが命綱のドリンク屋等、いずれも将来多国籍企業として名を馳せる寸前のビッグネーム揃い踏みであった。
それ以外では、No.1の呼び声高いビジネスコンサルタント事務所に加え、労働問題・商法・独禁法・特許や関税方面をそれぞれカバーする法律顧問が連なっていた。
目下の話題は高騰する人件費にスト問題 −−− と言うよりは、一体なぜ我我は従業員労働者に賃金を払わねばならぬのか、それだけの値打ちなどあった試しもない奴らにだ−−− であった。
特にマーケット買収屋が言うには、シェアが増えて行くに従い人件費もそれに比例して負担せねばならん、何とかこの金食い虫共を相応にあしらう事はできんのかと。
それに対し鉄鋼王が応える。
奴らは直ぐストに訴えて来るから時々要求を飲んでやらざるを得んだろう。−−− そういう意味の事を渋い顔で、やや余裕も見せながら。
そこでイエローペーパー氏が口を挟む。
あいつらを働かせて尚且つ此方が料金を徴収できれば申し分なしだ、あり得ん話だが。
突然コンサルタント職員が発言した。
−−− あり得なくはない、と言うより100%可能であると断言できます。
取り敢えず流通と外食の分野ならば今すぐにでも−−− 。
その分野の二人−−− 買収屋と山師は同時に叫んだ。
聞かせて貰おう!もし実現できるなら−−−
コンサルタントは落ち着き払って石油屋の一人に向かい、貴方の所のガソリンスタンドは全部直営なのですかと尋ねた。
勿論そうではない、代理店方式で販売網を増やしつつある、と石油屋。
販売網の話となれば我が業界が一番早くそれをやった−−− これはBIG3代表。
ではもう一つお尋ねします、その代理店の従業員に給料を払っているのは誰なのですか。
代理店のオーナーか若しくは株主だ、外に誰がいる−−− で、ガソリンは貴方の製油所から買っていますね。
決まっているだろう。但し卸し値だが。
二人に向き直ったコンサルタントは、−−− これでお分かりですね。
山師は思案の体であったが突然目に光が宿った。
買収屋も膝をフランネルの生地が破れるほど叩いて言った。
−−− どうしてもっと早く気付かなかったのだ俺は。
銀行屋はこのアイデアに対し限界まで融資を約束し、株式公開による増資を娘婿に指示した。
テレビ屋はその宣伝に放送業界を挙げて取り組むとまで申し出、コーラ屋も販売機の設置が便乗策である事に気づいた。
また法律顧問たちは直ちに法的規約の作成に取り掛かることにした。
−− 悪魔のシステム=コンビニ誕生の瞬間である。−−
(この席では、他にも21世紀の現代まで影響を及ぼす数多くの提案* が採択されている。いつか明らかにする機会があるかも知れない)
$ 労働者に自分を経営者だと錯覚させる−−− これが働かせて尚且つ料金を取るシステムの正体だ。
事業経費はすべて自己負担、アルバイトの給料から地代家賃、手数料、運搬費、仕入れから帳簿組織、雑用に至るまで責任を負い、その上でロイヤリティーと称する上納金を徴収されるのだ。
確かにそれ以前からも、メーカーと代理店の関係には不公平を感じさせるものがあった。
しかし店主はそれなりの自主性・プライドを持ち、メーカー側も店を育て保護する意識がなかった訳ではない。
要らないものは仕入れず、他社の商品を売ることも自分の裁量の内だった。
しかしコンビニは−−− 自分の店だと言われながら何が起こっても、体調を崩しても臨時休業は許されず、契約とは言え365日開け続ける。
仕入れは一切本部を通してのみ、割高な粗悪品を一定量抱え込まされた挙句、その売り上げにまで過大なノルマを課され返品も受け付けない、これはもうオーナーどころか労働者ですらなく詐欺商法の被害者だ。
この店を本部の直営店だと仮定してみよう。
すると本部は従業員の給料・社会保険料を負担し地代家賃・光熱費を払い、仕入れは自前だとしても売れ残り分の廃棄償却を計上することになる。
所がオーナー気取りの人間は保証金を積んだ上でそれだけの出費を肩代りし、更には誤魔化しなしのロイヤリティー献上とくれば笑いが止まらない。
因みにloyaltyを辞書で見ると〔忠義〕〔忠節〕とある。
本部から見れば、商品を買いに来る客以上にフランチャイズ契約をしたオーナーこそが真の「お客」。
だからこそ「お客」を増やすためならば、隣り合った場所で堂々と同じ店を他のオーナーに作らせる。
それによって現オーナー店の売り上げが減る打撃など眼中にない、というのが本音だろう。
退職金で何か商売をとか、又は転職でチェーン店加盟でもと考えている方々、少なくともコンビニだけは避けるように、衷心より申し上げます。
*参考:
違法のFRB(連邦準備理事会)
8/3/9
タイガビルより転載。

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