最近のエネルギー逼迫で、一時は縮小、廃止に向かうかと思われた原子力発電だが、米国、英国などを始め、再度復活させる動きが出ている。
ところが原発新設を打ち出した英国ブレア首相が四面楚歌に曝されているそうである。
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以下農業情報研究所(WAPIC)06.5.23より
原発新設を打ち出した英国ブレア首相が四面楚歌
エネルギー供給の確保と気候変動への挑戦のために新世代原発建設方針を打ち出した英国・ブレア首相が各方面からの批判に曝されている。
英国政府はエネルギー相・ウィックスが率いるエネルギー政策レビューを進めているが、7月に公表される予定の見直し案は、原発路線復活、更新可能なエネルギーの拡大、エネルギー効率の再生の3本葉柱を勧告すると見られている。この草案が15日に首相と閣僚に示されたが、翌日の英国産業連盟夕食会において、首相は、政策の変更がなければ2025年までの二酸化炭素排出削減目標はとても達成できない、また現在は必要量の80%から90%を生産する天然ガスへの依存が深まり、同じ比率のガスを中東・アフリカ・ロシアなどの外国に依存することなるとして、新世代原発建設推進の方針を表明した。
Blair presses the nuclear button,The Guardian,5.17
しかし、翌日夜には、早速、法外なコストを恐れる閣僚から反対の声が上がった。閣僚は安全性よりもコストをめぐる不確実性を問題にしている。大蔵省は”涙が出るほど大きな”(eye-wateringly large)コストを予想しているという。
Blair presses the nuclear button,Guardian,5.17
アンドリス・ピエバルクスEUエネルギー担当委員は、ブレア首相を前に、原発部門はコスト、安全性、廃棄物処理の問題にもっと積極的に取り組まねばならない、産業は何らかの答えを提供すべきだと信じると述べた。原発新設にとりかかる前に、市民の信頼を勝ち取らねばならないということだ。
Nuclear industry told to win over public,Financial Times,5.18,p.3
この原発新設計画で中心的役割を演じる可能性の高いフランスのEDFは、150億£(約3兆円)にもなりかねないコストがかかる計画の持続可能性に疑問を投げかけ、こんなリスクの高い投資に合意するためには厳格な条件が確保されねばならないと注文をつけている。
それは、2年以内の新設承認を可能にする承認手続の簡素化(かつて承認までに6年も要した例がある)、EUの二酸化炭素排出取引計画で原発が排出ゼロと計算されること、原発をめぐる政治的コンセンサスを条件として突きつけた。ブレア首相がこんな条件を満たせるだろうか。
French energy boss in nuclear warning,Observer,5.21
さらに、首相自身の環境問題諮問機関である環境エイジェンシーは、政府のエネルギーレビューに対する報告において、政府が核廃棄物の処理戦略を完成するまではさらなる原発は建設すべきでない、原発新設は英国の既存原発の廃棄物にさらなる廃棄物を付け加えることになり、英国は二酸化炭素排出削減を原発に頼らないことが重要だと警告する。
Don't rush to nuclear power, warns Blair's environment adviser,The Independent,5.22
まさに四面楚歌だ。わが国の原発推進派のなかには、自らの動きを正当化するためにブレア首相の動きを歓迎する向きもあるようだが、ぬか喜びに終わるかもしれない。
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