「番外編:The Sun Ra Arkestra under the Direction of Marshall Allen "A Song For The Sun"」
Sun Ra
さて、現行アーケストラの話題が出たので折角だからこれも紹介しちゃいましょう。
A Song For The Sun (El Ra Records)
93年5月30日、
Sun Raは地球を去りました。彼の入院中から
Arkestraは
John Gilmore(ts)をリーダーに休まず活動し、94年にGilmoreが病に倒れると(その後、95年8月20日に肺気腫で死去)、
Marshall Allen(as)がリーダーを引き継ぎ現在に至っています。
そのAllen率いるArkestraのスタジオ作。98年録音。
今は亡き吉祥寺のWAVEでこのCDを発見したもののそのときは買わず、随分後になって新宿の某店で買った記憶があります。
果たしてどんなスタイルで来るのか?とドキドキしながらCDのプレイボタンを押すと飛び出してきたのが
Jerome Kernの
The Way You Look Tonight。元気いっぱいにスイングする後期Arkestraを継承したサウンドでした。全体的に、前回紹介したBlack Saintからの2枚に近い感じ。10曲中8曲がAllenのオリジナル(内、1曲はRaとの共作。歌詞は
James Jackson)、Sun Ra単独作は
Blue Setの再演のみ。意外でしたが、これは単にAllenにお金が入らないとArkestraが維持出来ないという事情が大きいのだと思います。EVIDENCEからのSATURN盤再発もAllen達には一銭の印税も入ってきていないという噂もあるし、これは当然と言えるでしょう。
古株のメンバーである
Charles Davis(bs)と
John Ore(b)の参加が目を引きますが、二人とも衰えは隠せないですねえ。John Oreってこんなに音程悪かったっけ?お約束の疑似エスニック曲
Watch The Sunshineのベースリフのヨレがちょっと気になります。Davisも結構沢山ソロを取ってるんですが、ペンタでゴリゴリ吹きまくる
Blue Set以外はイマイチです。でもいいんです。ふたりがいるだけでファンは嬉しいのです。
Roland Kirkのバンドにいた
Dick Griffin(tb)の参加も嬉しいぞ。
Art Jenkinsのヘタウマヴォーカルもわたくしは好きです。
しかし、同じお年寄りでもAllenは違います。相変わらず狂気剥き出しの剃刀アルトに戦慄を憶えます。この時点ではまだ70代前半でしたが、現在は80歳!まだまだ元気のようです。02年の
True People's Celebrationでもアグレッシブな演奏を披露してくれました(フジロックには行けなかった。くやしい…)。凄いおじいちゃんです。
さすがに後期メンバーの
Michael Ray(tp)や
Bruce Edwards(eg)はいい仕事してます。特にEdwardsのギターは
Damon Choiceのヴィブラフォンと共に鍵盤の不在を頑張って埋めています。
でも、何かが違う。・・・・・・って、鈴木ヒロミツじゃないけど、御大が率いていた頃とは何かが決定的に違うのです。
ズバリ言ってしまえば、Sun Raの不在そのものです。当たり前過ぎる結論ですが、そうとしか言い様がない。いくらギターやヴァイブでハーモニー的な隙間を埋めても、キーボードの一音で空間を異化してしまうようなSun Raのマジックはそこには存在しないのです。それは、02年の来日のときにも強く感じました。あのとき、彼らはこのアルバムから多くの曲を演奏しました。ギターの
D. Hotepも素晴らしい演奏をしてました。しかしSun Raらしい祝祭的な空間というよりは、Allenの闘争的な力強さに圧倒されたという印象が強く、やはりこれはMarshall Allenのバンドなんだなあ、としみじみ思いました。
かといってこのアルバムがダメなわけじゃない。みんなニコニコして演奏しているのが目に浮かぶような楽しい作品です。それに、Allenのオリジナルが非常にSun Raっぽいのが面白いです。彼が師から学んだ最大のものは作曲術だったのかもしれません。
興味ある人は
El Ra Recordsのサイトをチェックしてみてください。

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