こないだのお休みの日に、伸びていた髪の毛をバッサリ切った。
ここ10年近く通ってるいつもの美容院は、バスに乗ったりちょっと歩いたりでめんどくさい。その日、髪を切ろうと思い立ったのは既に午後のワイドショータイム。とても遠出する気になれず、これまで行ったことのない近所の美容室に行くことにした。
さてさてそのお初の美容室、それまで気にしたこともなかったのだが、いざ入ってみると、フツフツの不安が泡立ってきた。
スタッフがみんな若い。いや、実際に若いかどーか知らないが、なんか雰囲気が頼りないってか、ベテランにはとても見えない人ばっか。しかも服装や髪型も、美容師のクセに大変センス悪いし、だらしなさそー。
「こんなんで大丈夫かな、私のアタマ」と、どんどん不安を膨らませていると、中でも一番だらしなさそーで顔に締りのなさそーなチャラ男が私の前に立ち、「今日はどんな風になさいますか〜?」
えええ〜!!!アンタが切るの〜!?
とってもイヤだったけど、さすがに「別の人に代わってください」とも言えずにそのままイスに座った。正に『まな板の上の鯉』状態。
しかし、いざ切り始めると、チャラ男の切りっぷりはなかなか堂に入っており、特にヒヤヒヤさせられることも無く、チョキチョキやっている。私もよーやく安心して渡された雑誌に読みふけっていた。
「こんなんでいかがですか〜」と声をかけられ、顔を上げた。いつの間にか終わっていたらしい。渡された鏡で後ろ頭を見ると、スッキリとしててなかなか良い。ところがサイドがいけなかった。確かに『前下がりのショートボブに』とは言ったけど、これはどーにも下がり過ぎだろ。両サイドの2〜3束だけがピヨンと長い。まるで切り忘れられたみたいで、とても気になる。
わ た し「あの〜、ここんとこだけちょっと長いですよね。もう少し切ってもらえますか?」
チャラ男「え?あぁー、これは前下がりを強調したスタイルになってるんで〜」
わ た し「え〜、だけど、ここの部分だけ不自然に長くて変じゃないですか?」
チャラ男「う〜ん、その辺は個人の感じ方の違いなんでしょうけどねー。
オレ的にはこのままの方が・・・」
オ、『オレ的には』だとぉ?はあ!?
おかしいと思いませんか?お客の私が切ってといってるのに、何でアナタのオレ的意見を聞かなきゃならん訳?私の意見はどーなるの?
美容室だけじゃなくって、全ての商売は、まず最初に『お客様ありき』のはず。自分の感じ方や考え方をお客に押し付けるのはどう考えてもおかしい。
飲食店でも同じ。ときどきテーブル上に塩やコショーを置いてないレストランがある。経費の節約でそーしてる店もあるけど、中にはシェフの味付けが完璧なので、という理由で調味料を卓上に置かない店もある。だけど人の味覚は千差万別だし、その日の気分や体調によって好みの味も変わってくるはず。それなのにシェフの味付けにお客をついてこさせるなんて、傲慢なことこの上ない。
私の勤めるお好み焼き屋さんは、それとは反対にとにかくお客の好みに合わせる主義だ。醤油味のお好み焼きだって作るし、肉・モヤシ・キャベツ抜きの焼きそば(ソースとそばだけ)だって作る。言ってもらえば、どの通りにするのだ。もちろん作り手だって、そんなの食べたって美味しくないって思ってる。だけどお客がそれを食べたいなら、食べさせてあげるのだ。だってお金をもらってるんだもん。
結局、その日はチャラ男の『オレ的意見』は却下して、サイドも切ってもらって、いとスッキリ。
チャラ男にイライラさせられながらも、私がお店を開いた時のモットーみたいなのを考えさせられた一件でしたとさ☆

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