2006/11/16
現代のピアノ・ミュージックでは絶対に外せない・・・Lyle Mays 木曜:Jazz & Classic Library
個人的な事ですが、僕はパット・メセニー・グループを聴いている時に、実はライル・メイズを聴いているような気がしています。
こんな事書くとメセニー・ファンに怒られそうですが、サウンド作りの点で、最良のクッションを作り出している大きな役割を考えると、いつも知らずの内にメイズのアイデアに心踊らされている自分に気付くのです。
しかし、メイズのリーダー作の評判となると極端な評価に分かれる・・・・・これがライル・メイズ(p)の不思議な所。でも、だから好きなんだよね。
今までにほぼリアルタイムでメイズのリーダー作(1996年のThe Debussy Trio - In the Shadow of a Miracle<Sierra Classical>を除く)を聴いてきて、なるほど、と思う事があります。
なぜ、彼のアイデアに惹かれるのか不思議でしたが、その答えはこのアルバムのしかも彼自身のコメントにありました。

『FICTIONARY/Lyle Mays』(Geffen/1993年)
このアルバムの音楽は、彼が今までにハービー・ハンコック、キース・ジャレット、ポール・ブレイの音楽に触れて育まれたと彼自身がアルバムに記していたのを見て、「まったく同じ物をリアル・タイムに好んで聴いて育った」エリア世代なんだなぁ、、と。
ピアノ・トリオというフォーマットの中で随所に「溢れる」妖気が感じられて好きなアルバムです。
それに対して最新作(現時点での)の次のアルバムは流石にかなりぶっ飛んだ内容で、繰り返し聴く状態には至っていません。

『SOLO/Lyle Mays』(Warner Bros/2000年)
MIDIグランド・ピアノを使ったインプロヴィゼーションなんですが、確かに普通(アコースティック)のグランド・ピアノと発想もハプニングも異なります。でも、どれもかなり内向的な音楽に聴こえてしまって、なかなか第三者を寄せつけない感じもするのです。
音楽家にはいろんな時期があってしかり。
Fictionaryが発売された頃に同じメンバーでNYのクラブ公演を聴いた友人の話しでは、「とにかくドメスティック過ぎて大半の客が着いて行けなかった」そうです。
いろんな時期は次の展開の為にあるのです。
ライル・メイズのリーダー作で、今でも聴いたらすぐにその頃にワープしてしまうぐらい心に残るアルバムがあります。

『LYLE MAYS』(Geffen/1986年)
初リーダー作。もう20年も前の作品になってしまいましたが、僕にとっては次に紹介するアルバムとともに正にバークリー時代格闘した、ボストンの音です。
きっとこのファースト・アルバムがお好きな方は多いと思います。全体のサウンドは当時のPMGそのものと言っても良い(逆に言えばそれだけPMGはライル・メイズのサウンドが中心にあった)タッチ。1986年頃のアメリカそのものの音です。
しかし、このサウンドよりも、僕は次のアルバムが大好きなのです。

『STREET DREAMS/Lyle Mays』(Geffen/1988年)
前作から思いきって離れる指向が見えるこのアルバムには、後にFICTIONARYで彼がインスパイアーされたミュージシャンを書いたヒントが隠されています。
編成も彼のどのアルバムよりも多彩で、1曲毎に違う指向が押し出されています。
この頃、バークリーの授業でビッグバンドを書いていたので、このアルバムのラージ・アンサンブルのサウンドはアイドルでした。なので聴くと殆ど演奏で時間が取られる中で何度も徹夜で仕上げたスコア提出の辛い日々を思い出してしまいます(笑)。
サンバをリズムセクション無しで仕上げている3曲目の“Chorinho”。最後の最後でかすかにクリック代わりのリズムパターンが聴こえてきて、これがサンバだと気付くのです。
スペースをコントロールした2曲目の“August”も、これはもう、ホントに真夏の昼間にクーラーの効いた部屋で聴くのにピッタリ。森林浴の気分になれます。
一点してラージ・アンサンブルでファンキーでコケティッシュな4曲目“Possible Straight”、
スティーヴ・ガッドを起用したのが納得の1曲目“Feet First”、
僕なんかついついマイスル・デイビスの「キリマンジェロ」を思い出してしまう“Hangtime”、
メロウというサウンドを知ってる人にはストライクな6曲目“Befor You Go”、、、ピアノ・ソロはホントに尊敬の念を持ってハンコックそのもの。
こんな感じで、まるでライル・メイズ流の「スタイル&バラエティー」を一枚のアルバムに閉じ込めたような、、そんな意欲作だと思うのです。
そして、その先に限りなく広がっている音像と残像。
次にライル・メイズが何を繰り出してくるのか、、、、、
その時を静かに待っているところなのです。
おしまい
こんな事書くとメセニー・ファンに怒られそうですが、サウンド作りの点で、最良のクッションを作り出している大きな役割を考えると、いつも知らずの内にメイズのアイデアに心踊らされている自分に気付くのです。
しかし、メイズのリーダー作の評判となると極端な評価に分かれる・・・・・これがライル・メイズ(p)の不思議な所。でも、だから好きなんだよね。
今までにほぼリアルタイムでメイズのリーダー作(1996年のThe Debussy Trio - In the Shadow of a Miracle<Sierra Classical>を除く)を聴いてきて、なるほど、と思う事があります。
なぜ、彼のアイデアに惹かれるのか不思議でしたが、その答えはこのアルバムのしかも彼自身のコメントにありました。

『FICTIONARY/Lyle Mays』(Geffen/1993年)
このアルバムの音楽は、彼が今までにハービー・ハンコック、キース・ジャレット、ポール・ブレイの音楽に触れて育まれたと彼自身がアルバムに記していたのを見て、「まったく同じ物をリアル・タイムに好んで聴いて育った」エリア世代なんだなぁ、、と。
ピアノ・トリオというフォーマットの中で随所に「溢れる」妖気が感じられて好きなアルバムです。
それに対して最新作(現時点での)の次のアルバムは流石にかなりぶっ飛んだ内容で、繰り返し聴く状態には至っていません。

『SOLO/Lyle Mays』(Warner Bros/2000年)
MIDIグランド・ピアノを使ったインプロヴィゼーションなんですが、確かに普通(アコースティック)のグランド・ピアノと発想もハプニングも異なります。でも、どれもかなり内向的な音楽に聴こえてしまって、なかなか第三者を寄せつけない感じもするのです。
音楽家にはいろんな時期があってしかり。
Fictionaryが発売された頃に同じメンバーでNYのクラブ公演を聴いた友人の話しでは、「とにかくドメスティック過ぎて大半の客が着いて行けなかった」そうです。
いろんな時期は次の展開の為にあるのです。
ライル・メイズのリーダー作で、今でも聴いたらすぐにその頃にワープしてしまうぐらい心に残るアルバムがあります。

『LYLE MAYS』(Geffen/1986年)
初リーダー作。もう20年も前の作品になってしまいましたが、僕にとっては次に紹介するアルバムとともに正にバークリー時代格闘した、ボストンの音です。
きっとこのファースト・アルバムがお好きな方は多いと思います。全体のサウンドは当時のPMGそのものと言っても良い(逆に言えばそれだけPMGはライル・メイズのサウンドが中心にあった)タッチ。1986年頃のアメリカそのものの音です。
しかし、このサウンドよりも、僕は次のアルバムが大好きなのです。

『STREET DREAMS/Lyle Mays』(Geffen/1988年)
前作から思いきって離れる指向が見えるこのアルバムには、後にFICTIONARYで彼がインスパイアーされたミュージシャンを書いたヒントが隠されています。
編成も彼のどのアルバムよりも多彩で、1曲毎に違う指向が押し出されています。
この頃、バークリーの授業でビッグバンドを書いていたので、このアルバムのラージ・アンサンブルのサウンドはアイドルでした。なので聴くと殆ど演奏で時間が取られる中で何度も徹夜で仕上げたスコア提出の辛い日々を思い出してしまいます(笑)。
サンバをリズムセクション無しで仕上げている3曲目の“Chorinho”。最後の最後でかすかにクリック代わりのリズムパターンが聴こえてきて、これがサンバだと気付くのです。
スペースをコントロールした2曲目の“August”も、これはもう、ホントに真夏の昼間にクーラーの効いた部屋で聴くのにピッタリ。森林浴の気分になれます。
一点してラージ・アンサンブルでファンキーでコケティッシュな4曲目“Possible Straight”、
スティーヴ・ガッドを起用したのが納得の1曲目“Feet First”、
僕なんかついついマイスル・デイビスの「キリマンジェロ」を思い出してしまう“Hangtime”、
メロウというサウンドを知ってる人にはストライクな6曲目“Befor You Go”、、、ピアノ・ソロはホントに尊敬の念を持ってハンコックそのもの。
こんな感じで、まるでライル・メイズ流の「スタイル&バラエティー」を一枚のアルバムに閉じ込めたような、、そんな意欲作だと思うのです。
そして、その先に限りなく広がっている音像と残像。
次にライル・メイズが何を繰り出してくるのか、、、、、
その時を静かに待っているところなのです。
おしまい
2016/11/3 18:40
投稿者:あかまつとしひろ
2016/10/28 21:23
投稿者:mata3
私もライルメイズが好きで、ライルのファーストからPMGを知りました。
そしてライルの音がPMGの音を作っていると感じていました。
早くレギュラーのPMG復活を希望しているのですが…
そしてライルの音がPMGの音を作っていると感じていました。
早くレギュラーのPMG復活を希望しているのですが…
80年代〜90年代のピアニストを語る上では欠かせない存在のライル・メイズ。
ただ、あまりにもPMGでの印象が強すぎて、本来の彼のコアな部分にリスナーが
付いて行けなかった時期もあるようです。
昨年リリースされた『The Ludwigsburg Concert/Lyle Mays』(swr/201
5年)を聴いて、ちょうど『FICTIONARY/Lyle Mays』(Geffen/1993年)をリリ
ースした頃の一番脂の乗っていた彼のグループの演奏がPMGとは違う方向に前
途洋々で進んでいるのを今ごろになって感じさせてくれました。
PMGの音楽が21世紀になってからどんどん遠くなって行くのを寂しいと思いつつ
も、いつかはきっとリユニオンすると思って、僕もその時を待っています。
http://sun.ap.teacup.com/applet/vibstation/20160505/archi
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