2009/2/5

ビル・エバンスとラリー・バンカー  木曜:Jazz & Classic Library


今夜は無事に「昨日のタイトル」を市川さんに渡した。すっかり夜が明けた頃にシンプルにまとまった。
デッドラインというか、本日ライブで会うので必然的に今夜が締め切りといったところか。

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いつものように熱心な横浜のジャズファンが「エアジン」に集う中、市川秀男トリオの演奏でスタート

今夜はミュージシャンの来客も多い。
僕が楽器を組み立てて準備完了で楽屋に行くと真っ先にご挨拶したのがベースの鈴木勲さん。来月市川さんを連れて海外のジャズフェスに出演するので、今夜は先月のように飛び入りなしで聴きに来られている。

僕を見つけるなり、昔、自由が丘にあったジャズクラブ「5スポット」に鈴木勲さんの小さなヴィブラフォンが置いてあって、それを来日していたロイ・エアーズが遊びに来て「叩きたい!」と大ジャムセッションになった逸話を教えてくれた。

「きっとハービー・マンのバンドで来日した時じゃないですか?」と言うと、懐かしそうに「そうそう!あの時ね!」と。

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出番まで市川トリオの演奏を聞きながらパチリ!

大先輩のヴィブラフォン奏者・増田一郎さんからはスタン・ゲッツのバンドで来日していた僕の師匠のゲイリー・バートンとベースのスティーヴ・スワロウが、増田さんの出演していたホテルのラウンジをどこからか聞き出してホールの公演が終わってからタクシーで駆けつけてシットイン。
それまで上品な雰囲気だったホテルのラウンジが、あれよあれよと言う間に熱気溢れるジャズクラブに変身して店から怒られるんじゃないかとハラハラした話しを教えてくれた。

こういう古き良き時代の東京の話しを聞くのは楽しい。それにしても、ロイにしても、ゲイリーにしても、みんなサイドメンで来日するとアフターアワーズを求めて夜の街を徘徊していたんだねぇ。(笑)

楽器を運んでいる時に突然手伝ってくれたのが、これまた懐かしいドラムの安藤信二君。バークリー時代の後輩にあたる彼と会うのは10年振りだ。

かと思えば、途中からちょこんとミュージシャン席に座って、背を伸ばしたり横から覗き込んだりしながら市川さんの演奏を見ている、その仕草がまるで餌を食べてる時のリスみたい・・・

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ほら、こっち、こっち!

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Tomoちゃんことピアニストの福井友美嬢だ。

彼女とも知り合ってから12年になる。Tomoちゃんは市川さんに弟子入りしているので、今夜は近所の店で演奏しているらしく休憩時間に覗きに来たのだ。お客さんで手元がよく見えないようでさっきのキョロキョロのリス状態(笑)

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二部の冒頭はドラムの安藤君が飛び入りで演奏

とまぁ、賑やかに「提出」と「演奏」を済ませた日でした。
何だか卒論の提出でもしたみたいな〜・・・・(笑)

で、

本日のアルバムはコレ!

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『THE BILL EVANS TRIO LIVE』(verve/1964年)

ビル・エバンスのトリオと言えば数々の有名作がひしめいているんだけど、意外と目立たないのがベースのチャック・イスラエルとドラムのラリー・バンカーによるトリオ。
僕は意外とこのメンバーによるトリオ好きなんです。

中でもドラムのラリー・バンカーがお気に入り。

このアルバムは録音から随分経ってからリリースされたものですが、CDになって聞いても小気味良くていいです。

その大きな要因は何と言ってもラリー・バンカーのブラシワーク。
数いるドラマーの中でも、このバンカーのブラシワークはシャープで聞いていてとても良いのです。

その一つには、バンカーはちょっとしたマルチプレーヤーでヴィブラフォンもピアノも弾きこなす才人であるのが大きいと思うのですね。

ハーモニー感覚が優れているのでブラシを使ってもサウンドがスクエアになりません。
時に大胆に、時にデリケートに、エバンスのピアノをプッシュするのですね。

スティックでプッシュするドラマーはいますが、流石にブラシとなると、どちらかと言えば控えめなサウンドを連想してしまうものです。
ところが、バンカーのブラシワークは(この当時)誰よりもモダンで小気味良いのです。

この録音はライブでリラックスした感じが魅力。
曲も耳慣れた王道のスタンダードで、それを軽く演奏しているところが実にカッコいい。

でも、ただ軽く流しているんじゃなくて要所要所では非常にスリリング。

例えば、2曲目“Some Day My Prince Will Come”の後半に出て来るドラムとのバース。
バンカーはブラシのままでエバンスに対抗するのだけど、キックとハットとブラシのコンビネーションでコードのハーモニーのようなテンション感を生み出す。
また、随所でパラリドル的なハイハットのオープンフィルがサウンドのアクセントとなって効果を上げている。

このようなハイハットの使い方は当時としては珍しく(恐らくルーディメントの祖とされるアラン・ドーソンとその弟子だったトニー・ウィリアムスくらい)、後にジャック・ディジョネットが開花させるのですが、バンカーのブラシワークが飛びぬけて好きなのもこのハイハットの使い方と合わせてシャープさが際立っていたからでしょう。

(ルーディメント/Rudimentsに関してはちょっとコチラも参照に。06年10月6日のブログ/アラン・ドーソンも紹介しています)

言い換えれば、ドラマーがよくやるハイハットを踏んで2拍4拍を区切るスタイルからバンカーは超越していた、と。
それが、エバンスの左手のカンピングのタイミングと組み合わさって、時間と拍を自由に感じられていたのではないかと思うのですね。

これはバンカーがピアニストやヴィブラフォニストとしても優れた演奏を行っていた事からも想像がつきます。
ハーモニックなドラマーという形容があったなら、僕はバンカーを筆頭に挙げたいと思うのですね。

このような飛びぬけた才能のあるバンカー。
残念ながら派手さの点では他のスティックワークドラマーにはかないませんから、知名度の点では今一歩譲ってしまうのですが、ビル・エバンスのこのメンバーの演奏を聞いていると、ピアノトリオに於けるドラムの役割について明確な回答を示してくれているように聞こえます。

リラックスした中に各自の個性が反映されたステージ。
このライブは聞けば聞くほど、この三人にしかできないものだった事を実感させてくれるのです。
決してスコット・ラファロとの演奏だけがビル・エバンス・トリオではないのですね。

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そして、

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チェキラ!
タグ: Jazz ジャズ CD



2017/11/2  14:53

投稿者:あかまつとしひろ

細井さん、ブラシで「わくわく」させてくれるドラマーって随分少なくな
りましたがラリー・バンカーの粋なブラシワークは今でもゾクッとします

僕もトリオ65は大好きで、実はピアニストの間ではこのトリオのファンが
意外と多いのです。ある時期からブラシというものの使い方がバラード中
心となって、音楽の変化の中で「特殊」な部類に入って来たような気がし
ます。
もっと使ってくれるといいのになぁ。
トランペットのミュートとドラムのブラシ、今の感覚で使えばもっと幅の
ある音楽に結び付くような気がします。

2017/10/30  9:06

投稿者:細井利一

ビルエヴァンズのトリオ、私もイズリールズとバンカーと組んだトリオが1番好きです(その次がゴメスとジグモンドとのトリオ)。バンカーのブラシ、最高です。私のお気に入りは、“トリオ65”の冒頭の「イスラエル」
、それと“モニカ・ゼタルンド ワルツ フォー デビー”の全曲です。
 ブラシで聴かせるドラマーとしては、スペックス・ライトとか、ジョー・モレロとかもいいですね。


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