「・・今日我々が文化と呼んでいるものは全く違ったものの存在の痕跡でしかないからです。今日の我々の運命は、実は芸術や芝居や舞踏によって決められているのではなくて、労働によって決められています。つまり文化概念というのは実は経済概念のことなのです。文化というのは新聞の文化欄にでているものではなく、経済そのものが我々の文化になってしまっているのです。
この地球そのものの運命が、人間によってではなくて、経済という文化によって決められています。先程、地球の自然と言いましたが、動物や石そしてこの惑星全部の運命が、経済によって決められています。従って文化という概念に関する誤解を我々は取り除かなくてはなりません。我々の文化は経済によって規定されている経済の文化であることを忘れてはならないと思います。
そこで我々が考えなくてはならないのは、どのような道具を開発すれば良いのか。そしてそれによって経済の中に深く手を入れ、経済を変容させて、新しい高い次元へと経済を持っていき、そして経済と芸術が相互に統括されたものになり得るか・・・ということです。つまり経済の中から本当に新しい創造性がでて来るように、我々は経済を変えていかなくてはならないのです。
創造性というものは元は創造主、心的な神のような創造主というような意味であったわけです。ところが現在は人間は神的な存在、かつての創造主のような神的な存在ではなくなってしまいました。人間は労働の現場に強制されて、釘付けにされています。自由が疎外されて、あるいは自由が完全に排除されています。
この自由ということで私は、もう一つ言いたいことがあります。本当の意味で経済と一緒になった文化は、自由という我々の新しい理想と同じものです。従ってそういった観点からいわゆる現代芸術・・・もしくは近代芸術、モダンアートと私の言う人間的芸術の間には区別を付けたいのです。私は今までモダンアートから人間性芸術への敷居を超える努力をし、その敷居を打ち破って突き進む努力をしてきたのです。(1984年5月29日@赤坂プリンスホテル)」
凄い。経済、人間、文化、芸術についてここまで端的に指し示していることばは希有だと思う。治療に置いても全く同じことが当てはまるように思う。これからの自分の人生の指標の一つとして心に留めておきたい。


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