<メキシコ>コカインなど薬物の少量所持合法化
【メキシコ市・庭田学】メキシコ上院議会は先週、コカインやヘロインなどの薬物の一定量所持と個人的な使用を認める法案を賛成多数で可決した。既に下院を通過しており、フォックス大統領の署名によって成立する。薬物売買に対する罰則強化も盛り込み、「麻薬対策」の一環としての法案という。しかし、効果が不透明なうえ、一部の合法化は薬物使用を助長するとの懸念もある。隣接する米国の反発も予想される。
法案によると、個人的な所持が認められる量はコカイン500ミリグラム、ヘロイン25ミリグラム、マリフアナ5グラムなど。規定を上回る所持は薬物取引にかかわっているとして、懲役4〜8年の刑が科せられる。
捜査当局は末端の個人使用者を見逃す一方で、大量を扱う薬物取引の摘発には重点を置くという。法の「麻薬対策」としての効果は不透明だが、メキシコの警官は、末端の使用者にワイロを要求して罪を見逃している実態があるとして、「警官汚職を追放できる」という指摘がある。
しかし、「薬物使用を合法化することは、薬物売買を合法化することと同じだ」(反対議員)という反発も強い。またメキシコ観光に訪れる米国の若者に悪影響が出る懸念もあり、新たな米国とメキシコの外交問題に発展する可能性もある。
(毎日新聞) - 5月1日11時34分更新
麻薬所持を「合法化」=メキシコ
【サンパウロ28日時事】メキシコで28日までに、個人が自分で使用する麻薬について、少量であれば所持していても罰しないとする法案が議会を通過した。近くフォックス大統領の署名を経て発効する。
「もたらす結果は自己責任」として所持を許されるのは、マリフアナとアヘンが5グラム、コカインが500ミリグラム、ヘロインが25ミリグラム、合成麻薬が1錠、マジックマッシュルームが250グラムまで。特産の幻覚サボテンは1キロまで認められる。
(時事通信) - 4月29日9時0分更新
日本の薬物=悪という図式からは全く理解不可能な事であろうが、昨今のヨーロッパなどは個人使用に関する限り、非犯罪化の傾向あるようだ。これは薬物に置ける一番の問題がアングラマネーの問題であり、タブーであるかぎり不透明なマフィアの資金源として存在し続けるというところが大きい。実際に薬物に対し寛容な政策を実施した国として、ドイツ(ほぼ大麻に限らず個人使用については非犯罪化)、オランダ、スイス、イギリスなどがあり、各国による各種ドラッグについても扱いにバリエーションはあるものの、主に大麻に関しては、健康上の被害や、依存にまつわる大きな問題なく成果を上げているようだ。特にオランダでは、コーヒショップという合法的に大麻を吸引できるスペースがあり、合法的に大麻が吸えるとあって観光収入としても多大な収益を上げているというし、大麻産業自体も大きなマーケットになっているという。(厳密な事実関係についてはこの場で議論するつもりはないのでそのつもりで)。
今回メキシコという国で個人使用に関する合法化法案が可決したのは、非常にこの国の特殊性と関連しているようで興味深い。一つはコロンビア経由での中米〜アメリカのコカインルートの中継地点である事、そしてもう一つはこの国が元来、幻覚性薬物を用いた文化を持っていという事だ。
時事通信の記事にあるように、マジックマッシュルームと幻覚サボテン(ペヨーテ、サンペドロ)の所持量がかなり多い量まで緩和されている事に注目したい。マジックマッシュルームは古来、中米の先住民族であったマヤ、アズテカの民に取っては、宗教的儀礼のなかで欠く事のできない神々の糧であり、その文化的インスピレーションの源であったと思われる。詳しい具体的な所用については伝承としてはあまり残っていないようだが(かれらは基本的に文字を持たず、マヤの文化・文明は壊滅的にスペインによって破壊されてしまったため)、しかしジャンルのなかに今も現存する遺跡のなかにはマッシュルームをモチーフにした象が数多く散見される。これはマジックマッシュルーム自体が信仰の対象であった事を意味する。また、ペヨーテに関しても、メキシコの先住民族であるウィチョール族のなかで、宗教的儀礼の中心的役割を果たす薬物として、ペヨーテは使用されている。私がメキシコを訪れた際に実際に聞いた所によれば、ウィチョールのシャーマン、医師、等を中心とした一団が、セレモニーの前一ヶ月になると、ペヨーテを求めある砂漠に赴くという。そしてその一ヶ月の間村人全員のペヨーテを収集して砂漠を彷徨う事になるのだが、その間に口にしても良いのは、少量の水分とペヨーテのみに限られるという。ペヨーテの意識変容作用の影響下でしかも断食に近い状態で砂漠のなかで彷徨う体験をすると、数キロメートル先にあるペヨーテの存在を感知する事ができ、地平線から近づいて来る人の気配も察知できるようになるという。そしてこの儀式は現在でも行われている。
こういった文化的イメージとメキシコの文化は決して無縁ではない。彼らの源流のなかに深くサイケデリックでシャーマニスティックな要素が入り込んでいる事は驚きであるが、その理解なくこの報道を看過するのは間違いというものだろう。
ペヨーテ/wikipedia
マジックマッシュルーム/wikipedia
↑数年前まで日本でも合法であったが、大きなブームを巻き起こした後規制の憂き目に会った。その原因となったことについてちゃんと書いてあるよ

1