はてなブックマークを中心としたエントリーで様々な意見が散見されて、今回の秋葉原の無差別殺傷事件のインパクトの大きさが伝わってくる。印象に残ったエントリーがあったのでリンクを張っておく。
アキハバラの事件についていじめられっこから一言いっとくか
【秋葉原無差別殺傷】人間までカンバン方式
秋葉原の無差別殺傷事件について、俺自身の精神科医としての考えというものはあまりない。人間の攻撃性というものは、怒りが抑圧される事で無意識に圧縮され、なにかのきっかけさえあれば爆発するものだからだ。その爆発が自分自身に向けられれば精神を病むし、他者に向けられれば攻撃という形になるだけだ。
奇しくも今日の診療のなかで、立て続けに何人かの患者さんから、この秋葉原の無差別殺傷事件についての言及があったので紹介したい。
39歳女性
「最近イライラして我慢できないんです。些細な事ですぐ興奮してしまって。昔あった辛かった事を思い出して、母をネチネチ攻撃してしまうんです。あんたが私を守ってくれなかったから、こんなになってしまったんだって。話しているうちにもっと興奮してしまって、母親にもあんたと一緒にいたらこっちも気が狂いそうだって。秋葉原の事件あったでしょ。あの気持ち本当によくわかりますよ。誰でもいいから八つ当たりしたいんですよ。」
37歳女性
「秋葉原の事件、どうしてわたしじゃないのかって。自分で死ぬ事ができないから、(他人を殺して死刑になるしかない)。こういう事件があるたびにいつも考えてしまう。この十年ずっと。結婚してからずっと考えている。喜びもなく、悲しみもなくなにも感じない毎日。結婚生活、子供、お金がないこと。これが全部片付いたらどんなに楽になれるか。でも今の派遣で働いてもお金にならないし、どうしても苦手な仕事があって、人と同じようにできない。離婚なんて大変な労力がかかるし、そんな大変な事考える気力もない。ただ夫が姿だけ見せなくなってくれればそれでいい。」
30歳男性
「秋葉原の事件あったあの夜眠れなくて。なんで眠れなかったのかわからないけど。TVのニュースもずっとみてて。精神鑑定するとか言ってるじゃないですか。そうやってなんでも精神病患者のせいにするじゃないですか。精神病がどんどん悪い偏見の目でみられてしまう。負け組とか言ってるけど、こっちも負け組で毎日工場ではたらいて、ぶっ殺したいという思いを必死で押し殺してがんばってるんじゃないですか。精神鑑定してなんとかなるとか、そんなことあっていいんですか。事件の前に精神科に通っていたわけでもなく。自分で言うのもおかしいですけど、僕病院なんかに入院して、それでもがんばって本当に良くなったと思うんですよ。でも彼も誰にも話す人がいなかったのかもしれません。自分もそうだった。自分もあのとき相談する人がいれば病気にはならなかったかもしれません。」
皆それぞれの生活のリアリティーのなかで、今回の事件を自分のことのように受け止め、傷ついているように感じる。それは弱者に対する同情にも似た共感と、それでもなんとか愛するものを守りたいというギリギリの綱渡りのなかで踏みとどまろうとする意志する姿だ。
俺は目の前のかれらの言葉をリアルな言葉として聞く。そしていつか、生きているのも悪くないねって言葉が聞きたいのだ。
最後に亡くなられた方々にこころよりのご冥福を。