町を一望出来る丘に座っている。
パンダが一回り小さくなった気がする。
ビスケットをゆっくり食べている。
顔は前を向いているが、とくに何も見ていない、そんな様子。
「疲れてるの?」
「少し。」そういったパンダはとりわけ煩わしい風でもなかったし、その先を聞いて欲しい風でもなかった。ただ答えただけ、そんな様子だった。でも僕はそのまま黙っていた。黙ってパンダと同じ方に目を向けていた。
「出掛けてたんだ。」
パンダは一つそう言った。僕は「うん」とだけ応えた。風のようにふいて出た言葉は掴むのにやっとだった。僕はその先の言葉をなくし、黙った。
「僕は刺激を与えた。でもうまくいかなかった。いや、正直なところ、厳密に言えばまだわからない。」
「どういうこと?」
パンダは僕の問いかけに応えることなく続ける。
「おそらくだ。おそらく駄目なんだよ。僕は、ひきもどそうと想った。真剣にね。真面目に。誠実に。でも僕が投げた言葉は綺麗な言葉だった。リアルじゃなかった。汚れたリアルな言葉を投げたかった。でも僕はそこの部分が欠如している。そこの部分がわからない以上、入りこめない。知識では、救えない。僕には、わからない。わか ら ない ん だ」
最後の言葉を口にしたパンダの身体が少し消えかけた気がした。
「大丈夫かい?」咄嗟にでた言葉に、
「行かないと」と、パンダはリアルな声で応えた。
何故か、身体が熱くなり、もう会えない気がした。

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