2007/12/22

それでもボクはやってない(’07)  日本

今年公開の周防正行監督作品。前周防作品「Shall We ダンス?」は、大貫妙子テーマ曲でもあり、関連本も読んだりして、結構好感度高かったし、久方の新作、痴漢冤罪という題材はさておき、見てはおきたい、と気になっていた作品。

重罪の冤罪を扱った作品はあっても、電車内での痴漢行為の疑い、という誰もが日常で巻き込まれかねない設定、誇張はあるにしても、少し気弱な者だと心が破壊されてしまいそうな、主人公の警察での人権無視の不条理な扱い、精神的プレッシャー。「硫黄島・・」以来、フリーターという設定の加瀬亮の、困惑の青年ぶりが割とリアル。

まともに正論で頑張る事に相当労力がいる場所、そういう所で潔癖にムキになっても、誰か理解者はいるにしても、余り利口ではないと判っていつつ、程度の差はあれ自分でも職場等覚えあることだけれど、否応なくそういう極端な立場に追いやられた主人公。真摯さが見下げられる、取調室という”密室”、社会に潜む怖さ。口に出す釈明自体口惜しい、それでもやってない!という叫び。正義感とかって、余りこだわると息がしにくい資質、でも、そういう部分がジクジク疼き腹立たしいものが。

実際同様の立場の人が、劇中のように、再現映像を作ってアピールした、というようなドキュメンタリーを結構前に見た覚えがある。一歩一歩の地味な作業。辛い中、自分を信じて応援・協力してくれる、もたいまさこ演じる母、周囲の人々の支えもあって、裁判という形で戦っていける、という人間関係の絆、も描かれていたけれど、担当裁判長が交代したり、「疑わしきは罰せず」の鉄則とは思えない、正しい者が勝つとは限らない社会(のしくみ)、裁判制度の問題、ドキュメンタリーとしたら妥当、かもしれないけれど、結末的にも重苦しい後味だった。

実際の裁判傍聴経験はないけれど、今年見た中では「ゆれる」でも法廷シーンがあったけれど、弁護VS検察の応酬の妙等とは別の部分で、どうも、陰湿な、感情逆撫での揚げ足取り、の後味が残り、余り好きなジャンルじゃない。しばらく見ていないけれど洋画の法廷劇は、もう少し客観的な理論の攻防、という感が。

「被害者」である中学生女子役柳生みゆは、「風の絨毯」のヒロインの子だったのだった。彼女の、彼を駅で弁護した女性についての証言が、終盤現れた当人の証言で、明らかに矛盾で嘘、等思ったりはしつつ、かなり取材を積んでの製作、とも聞いた事があって、練り上げられた法廷劇かもしれないけれど、役所・竹中等の顔ぶれはあっても、知らずに見たら多分、周防作品とは思わなかった。この作品が、今回アカデミー賞外国語映画部門の日本代表らしいけれど、私は昨年の「フラガール」のテイストの方が、納得だった。(http://www.soreboku.jp/

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