2008/3/30

靖国 YASUKUNI上映中止  分類なし

今日の朝日新聞社説に、来月公開予定の「靖国 YASUKUNI」の記事、都内の劇場の一つが上映中止を決め、そういう動きへの懸念の内容。たまに紹介を見かける作品、あえて劇場鑑賞を、という程の関心はないのだけれど、この背景で見逃せないのが国会議員の動きの影響で、自民党若手の文化庁への問いかけをきっかけに、国会議員向けの試写会が行われた、との事で、

腑に落ちないのは、この作品が、文化庁の独立行政法人団体から750万円の助成金を受けているらしいけれど、曲がりなりにも国の名目で助成金を出したという事は、その時点で、一部の関係者の意識かもしれないけれど、公開にあたって極端な偏向のない作品、と判断されたから、ではなかったのだろうか、と。

文化庁内や国会との意思疎通の段取りは詳細知らないけれど、試写会をするなら、検閲、というニュアンスでなくても、助成金を決める前にして、政府単位でその是非を問うのが筋では?と。今こうなって助成金制度の見直しを、という動きがあるらしいけれど、この段になって慌しく試写会、というのも何か不思議な。

今までに、公に一般公開はどうなんだろう、と思った作品もない訳ではないけれど、現実的な上映禁止騒ぎを聞いたのは、海外での宗教的問題での「ダ・ヴィンチ・・」以来、お国事情によって、最近ではアフガンでの「君のためなら千回でも」とか、公開見送りの話も聞くけれど、個人的には情報を見る限りでは、「靖国・・」という作品が、微妙な題材ではあっても、今の日本での公開が大問題、とも思えないし、理不尽な上映中止、というのは避けられてほしい、とは思った。(http://news.goo.ne.jp/topstories/region/20080318/5a935e0ba2183bcfdb2

4/1追記:今日の新聞の1面と社会面で、「靖国・・」続報で、公開予定だった5館全てが上映中止を決定、日本映画監督協会等も憤りのコメントを発表、と。実際嫌がらせがあったり、多くは今後のトラブルを警戒、とのことで、先日の1館の連鎖反応的のようだけれど、こうなってしまうと余計、作品自体実際どういうものか、今後DVD等はどうなるんだろう、と。(http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/life/20080401ddm041040122000c.html?

4/2追記:今日の朝日新聞「天声人語」で、アメリカでのチャップリンの「殺人狂時代」('47)への弾圧、チャップリン自身共産思想家として追放状態、を引き合いに出しての「靖国」上映中止への懸念。社会欄で、マスコミ労組が抗議声明、官房長官が「嫌がらせや弾圧で表現の自由が左右されるのは不適切」との声明、の記事。そういう政府の対応はやはりそもそもこの時期の試写会要求からして、何か歯車が合ってない印象、で、以前の伊丹監督への弾圧等が過ぎったりもしたけれど、歯切れ悪い出来事。(http://www.asahi.com/paper/column20080402.html

4/3追記:今日も新聞1面に「靖国・・」続報、5館が上映中止を決めた中、唯一、大阪の第七芸術劇場は5月に10日間だけのようだけれど予定通り上映決定、社会派作品を多く扱ってきた、という支配人は、作品について「客観的に靖国を捉えている」、福田首相は相次ぐ上映中止に「嫌がらせとか、一部の人が特別な事を考えているのか、それが理由なら遺憾」の旨コメント、と。

また「私の視点」欄で、前にオウム真理教信者の日常を追ったドキュメンタリー「A」「A2」をビデオで見た事がある森達也監督が、「過冷却社会が圧力を増幅」というタイトルで、最近の日本が、昨日までのヒーローが一夜にしてバッシング対象になったり、何かのきっかけで社会の雰囲気がガラリと急変しかねない、という危うさの指摘、そこから脱するには、メディアは作り続け、発言し続けるしかない、等の旨の文。

未見のこの作品自体、というより、議員、政府のこの作品への扱いに、今更かもしれないけれど筋が通らないものも感じて、連日珍しく映画トピックが1面で扱われているし、追ってきて、この件も形的には、映画館で、不適切な他のイベント、ではなくある映画の上映、が困難、という事態だけれど、個人レベルでも、こういう風に情報が見境なく飛び交う今日、そういうあやふやな危うさは感じ、何故、こんな事をあえて、というレベルから、また自分の状況として労力のいる場面もあるけれど、憤りの思いがあれば、具体的・前向きな形にして、発し続ける、しかない、という所かも。(http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/yasukuni/

4/4追記:他紙の扱いは知らないけれど、朝日新聞ゆえ、という事もあるのかもしれないけれど、今日も2面、社会欄に「靖国・・」トピック。上映禁止を訴える人々、として、映画館支配人に会いに行ったり電話したりする某政治団体や右翼団体の人、ブログで映画への抗議を訴える人の「表現の自由と言っても許せないものもある」「抗議をする自由も、受け付けない自由もある」等の声。

暴力や匿名での卑劣な行為は論外、でも、中国人監督による「靖国」、というだけで見もせずに、抗議に走らずにはいられない志向の人々の存在、はどうしようもないのかもしれないけれど、10年前南京事件を否定する集会でのショックで、撮り始めた、等の季監督取材の記事でもあるように、劇場側は作品の性質上、ある程度の嫌がらせは予想していたはず、で、やはり、議員の試写会要求によって、映画館で映画を上映、という正当な姿勢が一気に及び腰に、という印象が。

それと今回検索していて、最近では昨年DVDで見た「あなたを忘れない」も3千万円の文化庁助成金を受けていた、と知った。その支給について、またこの作品を天皇皇后両陛下が鑑賞、という事でも、色々言われもしたようだけれど、少なくとも私はこの作品から、そんなあざとさは感じられず、元になった、韓国人青年がJR駅で線路に落ちた人を救助しようとした事故自体、国籍を超えた人道的な思いからのものであったのは事実であったと思うし、結構印象に残った作品の一つだった。(「あなたを忘れない」('07))

色々いう声は、何だか日韓、というフィルターにナーバスに成り過ぎ、とも感じた。普段気を付けている訳ではないけれど、「夕凪の街 桜の国」のクレジットにも文化庁支援、とあったけれど、文化庁の作品選択の仕方や基準が、総合的に全く妥当、でもないのかもしれないけれど、無意味に闇雲に選んでいる訳でもない、とは感じるし、繰り返しになるけれど、この時期での議員のずれた動きが、波紋を呼んだ(大きくした)、という歯切れ悪さが消えない。  

4/11追記:昨日朝日新聞文化欄に元文化庁文化部長という人のコメントとして、「靖国」問題について「「中立」は本末転倒」というタイトルの記事。助成金のあり方に疑問を投げかけている内容だけれど、今回の騒動からは、視点が外れている感。

助成金支給作品を選ぶ際の「中立性」というのは、確かに規定があやふやで、記事にあるように、どうしても政治的中立性を求めるなら、作品製作にではなく、映画界全体への一般支援に回すべき、というのも一つの考え方、とは思うけれど、そういう支援はまた別の課題だし、中立、というより、こういう時代、観客の最大公約的な”良心”に訴えるある種の根っ子を持つ主旨の作品には、ある意味面映い部分はあっても公的支援の価値があってもいいのでは、とは思う。何にしても今回騒動の元になったのは、助成金自体というより、議員の行動で。

今日の社会面で、有村治子参議院議員が国会で、本人にも確認の上で、「靖国」の登場人物である刀匠が出演場面を外して欲しいと希望している、と取上げた、という記事。記事では、映画での主旨が刀匠の意向とは違ったようで、困惑、不安はあるようではあるけれど、それは作り手と出演者の間の微妙な問題であって、そこへ国会議員が絡んだ、というのが、それこそ”検閲”の匂い、というのか、やはり、先日の、この時期での試写会要求、と同様のずれた感覚、無神経さ、を感じてしまう。

また、5月から東京での1館に続いて全国20館で公開決定、との報で、上映中止発表後の団体、個人の支援もあって、一応世論が健全に動いた感が。昨日参議院議員会館で季監督初め、10数名のメディア関係者、ジャーナリストが緊急会見、この問題に発言、アピールを行った、と。(http://movie.goo.ne.jp/contents/news/NFCN0013435/http://movie.goo.ne.jp/contents/news/NFCN0013470/

4/22追記:今日新聞社会面に、3日渋谷シネ・アミューズを皮切りに「靖国・・」が全国順次公開される事になった、とのことで、中止騒ぎの後新たに公開を受けて立つ劇場も現れたようで、何にしても作品自体の人それぞれの評がどうであれ、良かったとは思う。また、整理の時気付いた先月の記事で、’06年度に助成金を受けた作品、というのは応募96作品中22作品で、「それでもボクは・・」等も、と。最近「パッチギ!」も受けた、とは聞いたり、平和・正義を訴える、とか国境の壁を越える、的内容が多い印象ではあるけれど、実際最近はどういう作品が選考に通ってきたのか、というのもこの騒ぎで気にはなった。(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080421-00000127-mai-soci

5/5追記:昨日の朝日新聞に、「靖国・・」が3日渋谷で公開、一連の騒動が呼び水にもなって満席、ガードマンが観客席を見張っている異様さはありつつ、大きな混乱はなかった、との事で、「内容は過激ではなかった」「これをやらないなら、日本は言論の自由がない国になってしまう」等の観客のコメントも。他紙の扱いは知らないけれど、何にしてもやはり公開された事自体は、良かった、と思う。この件がない時よりも、興味を引かれはしたものの、実際劇場へ、とまでの気持には、なれないのだけれど。



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