2008/6/27

ONCEダブリンの街角で(’06)  ヨーロッパ

先日新作DVDリリースのジョン・カーニー監督作品。ダブリンの街舞台、ふと出会ったストリート・ミュージシャンとピアノのたしなみあるチェコからの移民女性が、音楽を通して心を通わしていく物語。音楽題材、今回アカデミー賞のオリジナル歌曲賞でオスカー、等でも気になっていた作品。

アイルランド、と言えばいまだに「ライアンの娘」の海岸風景がインパクト、でもダブリンの街並みは、都会ではあっても余り派手さなく楚々としていて、建物の落ち着いた色合いがボストン等に似たムード、と思ったりも。全体の映像も、抑えたトーンの2人の各部屋のイエロー、バイクで出かけた海を見下ろす丘、CD録音明けの朝の海岸、等ラフであっさり気味。

街角で弾き語りする主人公の前に、ふと現れた女性、ミュージシャンとしての興味だった感だけれど、当初彼女の方が押し気味に接近、でもピアノと歌声の才覚も知って、歩み寄っていく様子。

一旗挙げにロンドンへ、というのが、日本では地方のミュージシャンが東京でメジャーを目指す、という感覚に当たるようだけれど、将来への夢に現状打破を目指す彼と、別居中の夫がいて、単発の仕事をしながら母と幼い娘と暮す彼女、という、世界の違いから、互いを背負う事は出来ず、微妙なタイミングの折はあっても、恋人関係にはならないプラトニックさ、音楽という媒介だけを通した関係、に留まるのがこの作品の淡く粋な、という後味も。

主演のグレン・ハンサードはアイルランドの「ザ・フレイムス」というロックバンドメンバー、相手役のマルケタ・イルグロヴァは以前からグレンの知り合いで、チェコのシンガーソングライター、監督したジョン・カーニーはグレンのバンドの元べーシスト、という音楽畑(出身)の素地が全編漂い、少しスカーレット・ヨハンソンを地味目にしたような風貌のマルケタの物腰も、さり気ない作品テイストに似合っていた印象。

グレンが歌う曲の数々は、ロック調はなく、アコースティックギターを抱え、失恋した相手への切々とした熱唱系ラブソング、という感じで、その元恋人のビデオ映像が流れるシーン等も、未練の想いが滲み出るようで切ないものが。

2人が楽器店で演奏、デュエット、ラスト〜エンドロールにかけても流れたバラード曲が、逆境から這い上がる(のを見守る)ようなニュアンス、とも感じる歌詞共に一番耳に残って印象的、これが受賞曲でもある「Falling Slowly」という曲だった。やはり先日の「迷子の警察・・」同様、大作ではなく派手さもないけれど、音楽と共にしみじみ余韻、の珠玉作だった。(http://www.amazon.co.jp/ONCE-%E3%83%80%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%http://oncethemovie.jp/Falling Slowly

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