2008/7/6

シルク(’07)  その他

先日新作DVDリリースのカナダ・イタリア・日本合作のフランソワ・ジラール監督作品。原作はアレッサンドロ・バリッコの小説、19世紀のフランス、蚕の卵を求めて日本に旅する男、そこで出会った少女との無言の交流、美しい妻との夫婦愛等を描く大河ロマン。

やはり先日のトーク番組での紹介のように、旅のシーンが多く、主人公マイケル・ピットがフランス〜日本を3往復、でもロードムービーというより、馬車、列車、キャラバン、船、馬等での移動自体が、坂本氏の音楽にのせて、草原、氷原、海、雪山と美しい風景の中を行く映像美の連なり、という感。

物語も特に起伏、というより、蚕を求めての旅、という筋と並行して、秘めた想いの切なさ漂う感、日本での和服姿のマイケルと、科白が一切なく、仕草や視線で微妙な心情を表わす芦名星、短い文が渡されたり、2人の間の無言の空気は、「ラストサムライ」のトム・クルーズと小雪との雰囲気が思い出され、それをやや艶かしくしたような、という印象が。

芦名星は初めて見た女優、目線や唇等独特の芳香、役所さん演じる夫への忠誠の仕草、野外の温泉場での湯に身を沈ませるシーン等、存在自体がやや抽象的で、西洋人男性からの一時代前の、神秘的”日本”への憧れの象徴的女神像、という感も。

役所さんは今まで見た中、一番豪放な役、だったかもしれない。「SAYURI」に続き、舞台は日本でも英語を話せる役。「ラストサムライ」を重ねれば、渡辺謙がトム・クルーズと渡り合ったように、キャラクター的、ということもあるけれど、マイケルに押されてはいなかった、というか、余り馴染みなかったけれど、彼が日本人俳優にもフィットするソフトさだった、という感。

彼と接触した少年は、本郷君だったのだったけれど、彼とも割と自然な呼吸だったような。中谷美紀は「ホテルビーナス」で韓国語、はあったけれど、英語の科白を聞いたのは初めて。フランス舞台シーンが仏語、でなく英語なのが思えばやや違和感も。彼女が訳す日本からの手紙、それに秘められていた意外な苦しい想い、が1つのキーだった。

キーラ・ナイトレイは「プライドと偏見」以来、やはり緑と花の美しい背景での夫婦愛、彼女のためにマイケルが作った、西洋の庭園らしく左右対称のデザインのユリの庭が、何ともファンタジック、でも彼女の運命や、その語られなかった心の内、を思えば切ない美しさ、にも感じられたり。

また短いシーンだけれど、2人が出かけた海岸の、女性の腰から広がるドレスや日傘、日除けのテント等、舞台の19世紀の頃の好きな印象派、特にブーダンの海の絵のような、と少し感慨が。

またモチーフの日本の蚕は、千年の歴史があり、病気の心配もない優れもの、というような科白があり、ちょっと検索してみると、中国から技術が伝わって、奈良時代から養蚕が普及したようで、マイケルが蚕を求めて密貿易船で忍んで行く様子、酒田に着き最上川を上り、山形の山を越えて、という道程、また会話に陸奥、と言っていたし、東北の小さい村、という設定のようだけれど、多分それは江戸時代の鎖国中で、

終盤、公に日本が蚕の貿易の許可、というシーンがあって、それは開国時のようで、その後生糸が輸出の主力品として、日本の経済の発展に大きく貢献、と書いてあるサイトがあり、歴史の教科書でも載っているような当時の日本の輸出品、というモチーフが、ちょっと興味深かったりも。

内容的に、秘めた想いの趣が、取り方によっては薄味、またこれは女性向き作品、という感もするけれど、私には映像+音楽がほぼ心地よく見られ、割と好み的にはフィットの作品だった。(http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B7%E3%83%AB%E3%82%AF-%E3%82%B9%E3%http://www.silk-movie.com/坂本龍一×役所広司〜世界が求める日本のカタチ〜

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