2008/9/28

東京マリーゴールド(’01)ー追悼・市川準監督ー  日本

以前見ようとDVDレンタル、未見のまま返却していた市川作品。原作は「東京小説」に収録の林真理子の短編「一年ののち」、元々樹木希林+田中麗奈の母娘コンビの味の素ほんだしCMが発端、という異色作らしく、それも市川監督製作だったのか、特典映像にもそのCM7バージョンが入っていて、劇中、田中麗奈が作った味噌汁を樹木希林が食べたり等、同じ様なシーンも。

新人OLが合コンで知り合った相手に、その恋人が留学から帰るまでの1年間の期間限定の恋を提案、その揺れ動く心情を描いたラブストーリー。東京舞台、折々のシーンに地名、店名が入り、田中麗奈がそこの案内、という副音声版もあり続けて見たけれど、紹介あったのは銀座、代官山、恵比寿ガーデンプレイス、井の頭公園、お台場、深川不動等。

雰囲気的にはお洒落な都会舞台の恋物語、でも「東京タワー」等のやや浮世離れした感覚よりは、こちらの方がまだ一般的リアリティあって映像に地に足の着いた生活感も。林真理子は文体はとっつきやすく、以前それなりに読んだ作家だけれど、怖いまでの恋や人間関係の裏の心理を突いていく目線で、

今回もラストシーンが、一筋縄で終わらなかった、さり気なく、ではあるけれど、やや残酷なまでの恋の終わりの相手の心情という裏側の現実、を突き付ける、まさに林真理子色、を思った。

林原作作品では南果歩主演「不機嫌な果実」があり前に見て、今回原作未読だけれど、本来寺島しのぶタイプ女優の方がフィットの内容なのでは、とも思えたりするけれど、クールな瑞々しさを持つ田中麗奈が恋が始まってからは受けのスタンスで演じる事で、恋の袋小路のドロドロ感が軽減されて、淡い切なさの余韻が。

元々出会いの直後、遠距離ながら彼女がいる、またそのノロケ的な話もする相手から、誕生日プレゼントを受け取るヒロインのエリコも、寂しさからとはいえ、何だか、だけれど、後に残らない物の方がいいから、とべっこう飴を渡す、小澤征悦演じる相手の商社マン、優しいのか残酷なのか、無神経なのか何も考えていないのか、というキャラクター、もリアルと言えばリアルなのかもしれないけれど、

自分で恋の期間限定を提案しておきながら、次第に思いが募って行き詰って苦しんでしまう、元々そういう”遊び”の出来るタイプではない、と自重出来ない若さ、という事もあるかもしれないけれど、計算では測れない恋心のアヤ。

また相手の素直さに惹かれて近付きながら、垣間見える一途さが次第に重荷になっていく、田村という男側のあやふやである種短絡、また相手には残酷な心の動き。

その袋小路から、エリコが、学生時代の先輩に抜擢され一瞬出演していたCMでの、着物姿でキャッチボールをする自分の姿、を見て、静かに込上げる涙、自己再生していく姿、は、何だかどこか懐かしく切ない青春の感覚、

「BU・SU」で若くして人生に行き詰っていたヒロイン麦子が「八百屋お七」、に一筋の光明を見出した、という起死回生、にも重なる感で、このある意味残酷なストーリーの中の、市川作品(また原作林作品)の、それなりに苦しむ青春への救いの手、優しさ、とも。次々様々なシーンの中の人物達がボールを送って行く様子は、実際似たようなCMがあった気が。

タイトルのマリーゴールドは、叔父役の寺尾聡が家に来て、咲いていたオレンジのフレンチマリーゴールドが、一年で実を付け枯れていく儚い一年草、等と話していて、モチーフに使われた花、だった。

お洒落な街の舞台が多かったけれど、劇中田中麗奈が口ずさんでいたり、インストが流れた「さとうきび畑」や、誰か不明だけれどソフトな女性ボーカル曲、また、特典で市川監督が自分が好きな東京の場所、と挙げていた、2人が散策する深川不動や、お台場の浜辺のカモメの群れ、一匹のヤドガリを追ったり、のどかな空気もあり、

林真理子ワールドを市川風ややソフトフォーカスに斬った、田中麗奈フィーチャーの東京青春恋物語、という感触。(http://www.amazon.co.jp/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E3%83%9E%http://www.7andy.jp/books/detail/-/accd/30674596/introd_id/http://www.varietyjapan.com/(後半に田中麗奈追悼の言葉)、BU・SU(’87)大阪物語(’99)徹子の部屋 田中麗奈

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