2008/10/2

会社物語(’88)ー追悼・市川準監督ー  日本

「BU・SU」に続く市川作品2作目。正式名「会社物語 MEMORIES OF YOU」、定年退職を間近にしたサラリーマンが、退職前に楽器の心得ある同僚達と、自分の送別としてジャズコンサートを開くことになって、という人情物語。ハナ肇とクレージーキャッツの面々が出演、7人がそろった最後の作品。

クレージーシリーズは、昨年春植木等さん追悼放映の「日本一のホラ吹き男」を見たのみだけど、この作品はそれぞれ役名からして、花岡始(ハナ肇)、谷山啓(谷啓)、上木原等(植木等)等、ストーリーの深みさておき彼らフィーチャーのスター映画、の様相もあり、

長年勤めた会社の定年、でもそのキャラクターから、送別会も開いてもらえなさそうな寂しい雰囲気から一転、自分を長年好意的に見守るベテラン女子社員(木野花)はいたり、若くキュートな新人社員(西山由美、役名も由美)が、六本木のアマンドで2人だけの送別会をしてくれたり、ドラム、というたしなみあるジャズでの注目、喝采を浴びて、とファンタジー的な”夢の理想の幕引き物語”だけれど、

最初花岡と、一人暮らしの由美のそれぞれの暮らしを追う形で、その関係が軸かと思ったら、そうでもなく、ハイライトのコンサートも、何気なく計画が持ち上がり、ふと行われ、どうも一貫した流れ、というより様々なパーツが組み合わさった、モザイクのようで、何だかCM畑ベース的な試行作品だったのかもしれない、等と思えたりも。

そのパーツのそれぞれ、社員との触れ合い、距離、疎外感、惜別のモノローグ、仲間達とチャーリー・パーカー等ジャズの話に和んだり、公園でいきなり自分の境遇を話しかけてきた男(イッセー尾形)等、ストーリー展開、というより、それぞれのシーンの積み重ね、で出来たような感で、花岡や由美の心境によって、軍隊の行進のような効果音や無機的な機械音が職場の風景に重なったり、

家庭の描写も何気ない団欒や、引越し等の風景の中、コンサート中突然一報あった息子の金属バット振り回し錯乱、も問題を掘り下げる訳でなく、主人公が普段表面下に抱える問題の象徴、で、その修羅場から戻って顔にアザでの演奏、も理想の夢の中のようでもあり、

ハイライトにしてはやや非現実的状況だったけれど、やはりクレージーの各メンバー実際の担当楽器での、渋いジャズ演奏は印象的、曲名は出てこなくてもメロディに覚えあるものも。

ハナ肇は、濃い目ではあるけれど意外とやや不器用で鈍重なサラリーマンの哀愁、が滲んでいたり、今回脇役の守衛役の植木等らも軽妙で渋い味、マドンナ役のOL西山由美は、コケティッシュな清純派的、目元とかは少し薬師丸ひろ子似という気も。初めて、と思ったら、松本隆が唯一監督、結構前ビデオで見た自作小説原作の「微熱少年」('87)に出ていたのだった。

枝葉のエピソードではあるけれど、専務の娘を選んだ恋人に失恋の痛手の後、見合いして相手と2人になった時、「恋人とかいるんでしょう?僕も色々あったし、そういうの気にしないし」等と言われ、「そういうの、気持ち悪いです」と言い残し去ったのは、そのキャラクター的にも心情的に正当、という感のしたシーン。また終盤、ハナ肇が、彼女を振った相手を路上で殴り倒したのも、仄かな純愛ベースの正義感的な、やはり男として職場からの理想の幕引き劇の一部だったのでは、とも。

やや落ち着きない、ともユニークとも、だけれど、会社は日比谷のオフィス街にあり、OL達がランチにインドネシア料理を食べに、というシーン等もあり、東京舞台、でもやはり夜景の街の灯り等、映像的に見ていて柔らかいタッチ、クレージーキャッツというスター映画+市川作品、のやや風変わりな人情劇を見た、という感触。(http://www.amazon.co.jp/%E4%BC%9A%E7%A4%BE%E7%89%A9%E8%AA%9E-%Ehttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%8A%E8%BU・SU(’87)大阪物語(’99)東京マリーゴールド(’01)トキワ荘の青春(’96)クレージーキャッツ日本一のホラ吹き男(’64)

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