2008/11/2

追悼・これでいいのだ!!赤塚不二夫伝説  分類なし

昨夜一部録画一部オンタイムで見た、8月に他界した赤塚不二夫氏特集。再現ドラマ、漫画やアニメ作品、ゆかりの人々のインタビュー等での構成。

再現ドラマは「トキワ荘」にやって来た時から始まり、周りの漫画家、赤塚氏のギャグ漫画が認められるまでの苦労の日々等、市川作品「トキワ荘の青春」('96)と重なる流れ。今回のアパートの方が質素な建物、赤塚役水橋研二と「トキワ荘・・」での大森嘉之はややシャイそうな雰囲気が、似ていた気がしたけれど、

「トキワ荘・・」では、その他大勢の漫画家の一人の脇役。藤子不二雄や石森章太郎等にしても、こういう、ドラマも作りやすい、後の大スターでなく、あえて寺田ヒロオという温厚なまとめ役を主人公にしていたのも、市川作品らしさ、だろうかとも今回改めて思った。

当時、手塚治虫の影響でストーリー漫画主流、赤塚氏もギャグ漫画の個性を発揮出来ず少女漫画を描いていたり、石森のアシスタント的な立場をこなして、トキワ荘でもひっそりした存在だった、というのも、引けをとらない才能を持ちながら、身を切られるような辛さ、というのが、「トキワ荘・・」での赤塚よりも詳しく描かれていて、空腹で倒れた事も、等というくだりもあったけれど、

「トキワ荘・・」では登場しなかった母の上京、同居での二人三脚の様子。狭い部屋での同居は、煩わしい時もあって当然かと思うけれど、満州から引き上げて来て、妹を栄養失調で亡くしたり、生死の境の波乱を経てきた家族、という背景も、母の辛さを肌身で知る無言の絆となっていたようでも。

また、そういう苦難を見てきたからこそ、ギャグ漫画という発想が、というくだりもあり、独自のユーモアセンスは、ある種の幼少期の反動、とも。丁度満州時代回顧シーンから常盤貴子のナレーションが入ったけれど、常盤主演だった「赤い月」+なかにし礼の原作での当時満州の日本人の命からがらの脱出劇、を思い出した。

才能に加えて、人の良さ、単にそれだけでなく漫画への執念、という粘り、もあっての事とは思うけれど、腐らず石森を手伝ったりしていた事が、雑誌で空きが出来た時、石森が彼を推薦、という飛躍のチャンスに繋がった、というくだりが、

「トキワ荘・・」でも、石森が担当者に、「こういう所は赤塚の方が上手い」と推薦するシーンが印象的だったけれど、今回も、本来ライバルという意識を超えた、漫画に打ち込む者同士の人間味、が感じられたシーンだった。

そこから花開いていった個性、私は漫画よりアニメでの記憶で、数々の作品映像も懐かしく、番組中紹介あった、人気キャラクターベスト10は、

1、バカボンのパパ(天才バカボン)
2、アッコちゃん(ひみつのアッコちゃん)
3、ニャロメ(もーれつア太郎)
4、ウナギイヌ(天才バカボン)
5、おそ松くん(おそ松くん)
6、本官(天才バカボン)
7、イヤミ(おそ松くん)
8、ケムンパス(もーれつア太郎)
9、ハジメちゃん(天才バカボン)
10、レレレのおじさん(天才バカボン)

だったけれど、やはり一番インパクトは、他界時も挙げていた「ひみつのアッコちゃん」。軽やかなテーマ曲、再放送でだったか、余り具体的ストーリーは覚えてないけれど、「テクマクマヤコン・・」で様々に変身するファンタジックさが、何とも甘酸っぱく平和だった幼少時の郷愁。

その他覚えあるキャラクターもないものもあるけれど、泉麻人が、昔のお笑い番組は今見るとどうしてもリズム感が落ちているけれど、赤塚作品は落ちていない、と言っていたけれど、「天才バカボン」「もーれつア太郎」等、今垣間見ても余り古臭い、感がしない気も。

赤塚氏は映画好きでもあり、少年期映画の看板描きの見習いもしていたり、「モダンタイムス」が映ったけれど、チャップリンに心酔、そのコミカルさの影響や、6つ子の「おそ松くん」は、「1ダースなら安くなる」('50)という、11人子供のいる家庭を描いた作品がヒント、さすがに原稿用紙のコマに12人入らないので半分にしたのだった、等というエピソードも。

やはり具体的には覚えていないけれど、同じ服装でドタバタわいわいとした賑やさ、は今より家族の絆の密度があった、昭和ののどかな残り香、という気も。「シェーッ」ポーズのイヤミ氏はこの作品だったのだった。当時来日したジョン・レノンや、「怪獣大戦争」('65)のゴジラまで、このポーズをとっていたのだった。

私生活は、そのキャラクターもあってか交友も幅広く、山下洋輔、坂田明等音楽畑の人々や、美空ひばりと飲み友達だった、とか、タモリを見出し上京させたのがこの人で、タモリが自分は赤塚作品の一つ、等と述べていたけれど、フジオプロでのアシスタント達とのパチンコ鉄砲遊びや、ラフな雑談の中からアイデアが出たり、

アシスタントからメジャーになった漫画家も多く、「釣りバカ日誌」の北見けんいちや、ドラマには登場しなかったけれど、「土田よしこ」の名等も出て、懐かしいものが。

売れっ子故家庭生活は希薄だったようで、アシスタントだった元奥さんと結婚、娘さんも出来ながら離婚、そして創作意欲をなくした時代を支えた新たなアシスタント女性と、元奥さんがお膳立てしての再婚、両側に元・現妻と娘さんを従えての結婚会見も、何処か浮世離れ、憎めない純真さを残した人柄故、というのか。

10年来食道がんと闘ってきて、現奥さんが数年前病気で亡くなり、元奥さんも亡くなった3日後に他界、同時に両親を亡くし遺された娘りえ子さんの、そういう呆然とした状況でも、赤塚作品に笑ってしまい、生きなければ、と勇気付けられる、旨訥々と涙で語る姿が、華やかな赤塚伝説の裏側で、印象的だった。

再現ドラマは、「トキワ荘・・」のような、映像や音楽での詩情、カメラワークの意識、等は特に感じられなかったけれど、ある意味そのスピンオフ、とも言えそうで、郷愁+何処かナイーブ、柔らかく、したたかにパワフルだった伝説の人物像を垣間見た、という余韻の番組だった。(http://www.fujitv.co.jp/fujitv/news/pub_2008/08-292.htmlトキワ荘の青春(’96)−追悼・市川準監督ー

クリックすると元のサイズで表示します
0



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ