2008/12/13

バッテリー(’07)  日本

先日「SONGS」でミスチルがテーマ曲担当とのことで、ドラマ版があったのを知り、8月に映画版放映を録画したままだった、と、見た滝田洋二郎監督作品。原作はあさのあつこの小説、剛速球を投げるピッチャーの少年が主人公の、スポーツ青春ドラマ。

幼い頃から黙々と自分を磨いてきた野球少年巧(林遣都 )。でもピッチャーとしての個人の力がありながら、小学時代のチームで、キャッチャーが自分の球を受けきれず、”振り逃げ”ルールのため、地方大会決勝で負けてしまったり、教える指導者もいなかったのか、変化球は知らず、ひたすら直球だけ、その性格も柔軟さはなく強気で強情。

両親がもっと強いチーム、彼を指導出来るコーチ、監督や、球を受けられるようなキャッチャーがいるチームを探すとか、中学も、野球の名門校への入学を探ったり、という熱意もなく、母は余り少年の野球を認めようとせず、病弱な弟青波(鎗田晟裕)のために一家で母の実家の岡山の田舎に引越したり、という家庭状況、そこで出会った、牧歌的のどかなムードの野球少年達。

その中、近付いてきた人懐っこい同級のキャッチャー豪(山田健太)も、能力的には、普段はなんとかついていって、という所。また、進学した地元の中学の野球部で、顧問の教師が巧の力を認めはしても、上級生の嫉妬から起きる暴行事件。

成り行きで対決した、中学全国大会準優勝校の4番バッターさえ三振させ、そういう全国トップクラスの腕を持ちながら埋もれている天才少年、というのもフィクションではあるけれど現実的に思えばやや不可思議、親の考え方や、弟の病気の事情、特に語られてはいなかったけれど、経済面もあって、という設定かもしれないけれど、

この作品ではそういう事が問題ではなく、彼が幼い頃から野球に打ち込んできたのは、弟に両親の関心が向けられていた孤独が原点で、孤高の少年、という鎧が、包み込むような大らかな性格の豪と出会い、徐々に解けていく心の過程、がテーマかと。

言ってみれば、豪も巧の本気の球にはついていけない現実、それでも、彼なりにプライドもあり、そのポジションゆえ、実質自分が捕れないのに、思い切って投げろ、と強気な姿勢を崩さないながらも、自分の能力故全力投球できない巧へのジレンマ。

過去の苦い経験もあり、そういう豪への巧が持つ不安とジレンマ、自分の球をちゃんと受けられてから言ってくれ、と言い放ってしまえばそれまで、とも思ったけれど、とにかく能力さておき、自分(の球)を全身で受け止めようとする鈍直なまでの姿に、開いていく頑なだった心。

野球が個人競技でなくチームプレイ、という性質、その核になる、ピッチャーとキャッチャーというバッテリー、というモチーフで描かれた思春期ならではの交流や、パターン的な気はしたけれど、病弱な弟の、無垢な野球への興味、それに打ち込む兄への思慕、というものが核になって、母の心も動かされていく過程、そうなるまでの、打ち込んできた好きなものを孤独でも諦めないでいる価値、というのもポイントなのだろうかと思った。

オーディションで選ばれたらしい林君は、野球歴もあってか安定した投球フォーム、本郷奏多君の眼光を鋭くしたような、久方にクールさが似合う少年俳優、を見た気がした。両親役の岸谷五郎、 天海祐希、「転校生 さよならあなた」以来の蓮佛美沙子等はやや存在感薄かったけれど、祖父役の、元甲子園監督、という過去を持つ菅原文太が温和な貫禄のいい味だった。(http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD10188/

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