2008/12/19

ストレイト・ストーリー(’00)  本・映画

村上龍氏の書きおろした「ストレイト・ストーリー」が、図書館に在庫あり、先日劇場への往復の電車内、と昨日で読んだ。「いちご白書」が途中ではあるけれど、はまのゆかのラフなタッチのイラストも折々挟まれた絵本形式、でもあり、予想通り、同氏作品の中でも読みやすかった。

映画作品の原作、またその翻訳、でもなく、作品から小説化、村上氏の作家としての感想文、という感もするけれど、120年前埋葬されたアメリカの森林インディアンの霊魂、の視点から物語を語る内容。

展開は作品に忠実で、プラス、もう少し登場人物の背景や、各シーンでの心情を掘り下げた記述があったり、科白が加えられていたり、アメリカの社会や歴史、人生観等に触れていたり。後ろに英訳が載っており、かなり細かい字で、拡大コピーしておこうと。

劇中、冒頭ストレイト父娘の隣人の太った中年女性が、シェアしている庭のデッキチェアーに寝そべって、ピンクの果実のようなものを食べていたりした姿が、いかにもアメリカの田舎の日常の風景らしく、インパクトあったけれど、

小説もその風景から始まり、女性のドロシーという名は、「オズの魔法使い」を見て感動した両親がその名を付けた、とか40年代「オズ・・」のハリウッドでのプレミアショーから、舞台のアイオワ州ローレンスの田舎の映画館まで来るのに、当時5年かかった、等の内容が加わっており、

「オズ・・」は、小学生の頃愛読、作品もビデオも買って愛着あるし、当時のアメリカでそういう名付け方、もいかにもありそうで、村上龍と「オズ・・」自体は、余り結びつくイメージはなかったけれど、リンチ作品を通して、とやや意外な接点で少し感慨も。

その他、アルヴィンの娘のシシー・スペイセク演じるローズの話し方が、吹替えでも、ややたどたどしい印象だったけれど、小説では、吃る習性があったのだった、と。劇中、昔、彼女が地元の集会に出るため、息子を預けた知人宅が火事になって、息子は大火傷を負い、児童福祉事務所から、親として不適任、と引き離され、それっきり、という秘めた過去に少し触れていたけれど、

小説では、吃音はその過去と関係あり、当時、別れた夫が子を取り戻そうと裁判を起こし、彼女は負けてしまい、それ以降余り喋らなくなり、長い時間かけて明るさを取り戻したけれど、吃るようになってしまった、という、考えられるような背景の記述が。

最初の方、アルヴィンを連れて行った病院の待合室で、壁にあった鳥の絵を指し、そこにいた女性に、自分はブルーバードの巣箱を作っている、と話しかけ、売っている店を告げ、その女性が微笑ましげに応対して、今度覗きに行く、と答える、という何気ない会話があり、思えばややぎこちなくも思えたシーンだったけれど、

小説ではそのシーンに、ローズが、吃音がひどくなって以来、人に話しかけるのが億劫になり、大変なエネルギーがいるけれど、努めて自分から話しかけるようにしている、自分の中に閉じこもってしまうと、辛い思い出やコンプレックスが渦巻き、どこにも出て行かないので危険だから、というような、内面を掘り下げた、密かな孤独な闘いの描写等も印象的だった。

村上作品アメリカロードムービー小説、と言えば思えば手元にある「KYOKO」('95)以来、でもあったけれど、メインのアルヴィンの道中、折々の、自信の揺らぎや不安、これまでの人生の反省、等、一人旅でありそうな、心の揺れが書かれていたりしたのも、ローズと共に、村上氏が見た、劇中の各シーンの登場人物の語られていなかった心情の、作家としての洞察や解読、と思えば興味深い気もする。一昨夜「SONGS TOKIO」昨夜「風のガーデン 第11話」録画。(http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AC%E3%82%ストレイト・ストーリー(’99)

(C)集英社
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