2008/4/14

シッコ SiCKO(’07)  アメリカ

先日新作DVDリリースのマイケル・ムーア監督作品。アメリカの医療システムの矛盾に斬り込んで行くドキュメンタリー、ムーア作品は初期のもの以外追ってきたので気になっていた作品。

カナダ、イギリス、フランス、キューバ等各国に比べて、いかにアメリカで、国民の医療負担状況が酷いものか、を浮き彫りにしていく内容。利益追求の保険業界のツケが、国民の保険への入りにくさ、支給の受けにくさ、また治療の受けにくさ自体に影を落としている実情の追求。

保険加入出来なかったため、子供や夫を亡くした人々の声、病院からタクシーで寝巻きのまま路頭に置き去りにされる病人の姿、9.11での救助ボランティアで、呼吸器をやられたり、精神的影響での歯軋りで歯を蝕まれた人々が、災害基金への登録が出来ない実態等、に対して、他国での一般人の医療費の負担の軽さ、楽さを表わす声。

同様に国民皆保険制度を提唱しながら、隣国カナダでは成功、英雄とされるトミー・ダグラスに対して、アメリカではヒラリー夫人がバッシングを受け、案を封じ込められた、という対比も印象に。

9.11救援者達の呼吸器初め様々な後遺症は、「ワールド・トレード・センター」の時等にも、情報を目にしたけれど、そのケアの不十分さ、という実態も、今回その一端ではあるけれど、改めて。

やはりハイライトは、お決まりのムーア自ら身体を張った突撃行動、9.11ボランティア病人達を引きつれて、何故かテロ疑惑での投獄者達が、至れり尽くせりの医療を受けている、というキューバのグアンタナモ捕虜収容所にボートで出向き、「せめてテロ容疑者と同等の治療を、救助活動した人々にもして欲しい」、旨拡声器で訴え、警報を鳴らされ、逃げるように向かったキューバの病院で手厚く治療を受け、アメリカにとって警戒する隣の社会主義国で、国内とは段違いの病人待遇を受けられた、というムーア作品らしいシニカルなパフォーマンス。

捕虜収容所は先月ドキュメンタリー「米国”闇”へ」で、そこでの投獄者への虐待ぶり、が摘発されていて、それと裏腹な、医療面での優遇、というのも奇妙な状況で、あの作品の(製作)影響で待遇が180度急変、とも考えにくいし、本作共に、どこまで真っ当な真実を伝えているか、という酌量はあるとしても、アメリカという国の矛盾、が垣間見えるような気も。

医療、という分野だけに内容・映像も「華氏911」程の過激さはないけれど、やはり膨大な資料からの、取材対象の選び方、編集の上手さ、巧みさ、という事もあるかもしれないけれど、基本的にヤラセはないとして、大国の弱点システムの確認作品、だった。

追記:ムーア作品「ボウリング・フォア・コロンバイン」で取材を受けていた、名優チャールトン・ヘストンの訃報が先日あったのだった。新聞社会面にも割と大きく。出演作で見たのは「十戒」「猿の惑星」等か、ケネス・ブラナーの「ハムレット」にも出ていたらしかった。「ボウリング・・」では「全米ライフル協会」会長として、という余り好ましくはない取上げられ方だった(http://www.asahi.com/obituaries/update/0406/)。(http://www.amazon.co.jp/%E3%82%B7%E3%83%83%E3%82%B3-%E3%83%9E%E3%82%米国”闇”へ('07)

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2009/12/11  14:02

 

Sickから派生したSickoというスラングって、ちょうど漢字の「病気」と片仮名の「ビョーキ」の関係に近いニュアンスがあるらしい。そして、また日本人的には、オシッコを出す時の精神分析学的爽快さ、カタルシスにも通じるようであって、なかなか微妙なタイトルではある。微妙 



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