2018/10/21

近作の解説(スケッチの備忘録)  

「もんてん小学校楽器大行進vol.10」で初演した楽曲について、備忘録として残します。
誰かに宛てた日記というより、完全に未来の自分が振り返るための材料的な日記で恐縮です(苦笑)。


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○読経の時 - Moments prière – op.145

仏具のおりんと木魚(ウッドブロックやスリットドラムも可)を使用する二重奏。
各演奏者がウッドブロックと小さなおりん1つを占有し、中〜大のおりん3つを共有する。
2010年代を振り返り、特に地震が多かったと感じる2つの年度の地震データをもとに作曲した。
1stは2016年度、2ndは2010年度に日本国内で発生した地震データを使用し、4月1日〜3月31日までの365日間のデータを「四分音符1つ=1日」「午前=表拍・午後=裏拍」として変換。震度3は木魚、震度4はおりん(小)、震度5はおりん(中)、震度6はおりん(中大 ※初演時はお釜)、震度7はおりん(大 ※初演時はキッチンボール)に変換している。
初演時は木魚ではなくウッドブロックを使用。またおりんの音色を際立たせるためにトライアングルビーターを使用したが、撥は使用する楽器に合わせて選択して欲しい。

僕は仏教徒だからという訳ではなく、シューベルト作曲の名曲『楽興の時』のタイトルを真似てこの曲名を付けた。また亡くなられた方のご冥福と一刻も早い復興・復旧を祈って、1音だけデータにない音を追加している。(チーンとかコーンってな音を鎮魂として…。)

大地が揺れた証である一音一音を聴いて、改めて畏れを。そして静かな祈りを。


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○The angel in the marble -ミケランジェロの言葉- op.146

ダビデ像やピエタなどの作品を残したルネサンスを代表する彫刻家・画家のミケランジェロ。
彼は沢山の名言を残している。

「私は大理石の中に天使を見た。そして天使を自由にするために彫ったのだ。」
I saw the angel in the marble and carved until I set him free.

「時間の浪費ほど大きな害はない。」
There is no greater harm than that of time wasted.

「美は、余分なものの浄化である。」
Beauty is the purgation of superfluities.


楽曲はこの3つの言葉をテーマとして作られたクラベス三重奏である。

彫刻は立体(3D)だ。
そこで「Dialogue(対話)、Denial(否定)、Delay(遅延)」という3つの“D”を鍵として、演奏に対話的な仕掛けを施し、ミケランジェロの言葉を否定的に捉えて、クラベスの奏法も否定(変な奏法で演奏)して、“時間の浪費”や“余分なもの”を歓迎し、遅延を伴い大理石以外の場所に天使を探す楽曲とした。

彼の言葉を否定しても、天使の存在否定にはならない。
では天使はどこにいるのか

ミケランジェロは大理石の中に立体としての天使を発見し、彫刻を彫るに至った。
であるならば、音楽家は音楽の中に天使を感じ、演奏して来たのかも知れないと考えたとき、天使の居場所が定まった。

音楽と共にある「時間の中」に見つけられるのではないか。
「時間の中」の天使を、洞窟の影やイデアの概念、或いは存在の雰囲気だけでも描き出そうと考えたとき、時間を客観視できる4次元人に観測できる形を示したいと考えた。そこで4次元人には「天」という字を観測できるような仕掛けを施し、僕はこう訴えたのだ。
I saw the angel in the Time!


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○プニペポニャンコ op.148

子育てをしていると、子どもの成長に合わせて家に増えていくものが変わるような気がする。
そんなある意味“旬”な物を使って今しか作れない曲を作ってみようと思い、昨年は粉ミルクの空き缶を使った三重奏を作った。
そして今年は子供用玩具・おしゃべりどうぶつボールの二重奏を作曲した。

おもちゃ屋さんで一目ぼれして買った可愛いおもちゃ。子どもと遊びながら見つけた奏法の数々を使って難しいことは何も考えずに作曲しました。
曲名はプニっと凹み、ペっと舌を出し、ポニャンと転がる様から考えました。

演奏…、というより、遊んでください(但しなかなか難しいです。)


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○てとらII op.147

『てとら』は2015年に作曲し、初演をしていない「トーンチャイム四重奏」。そしてこの『てとらII』はその発展版のベルハーモニー三重奏である。

G&C、A&D、H&Eの3つのドミナント&トニックを各パートに割り振り、3者が異なるテンポで演奏しているように構成されている。
具体的には、1stと2ndのテンポ比を4:3、2ndと3rdのテンポ比を4:3、3rdと4thのテンポ比を4:3とし、それを同一テンポに指定した譜面上に再構築されてある。右足左足と踏み出される人の歩むテンポが各々異なっている雰囲気にも似て、共有するテンポが無いようにさえ感じられる音楽を目指した楽曲だ。

曲を作っていて2005年に開催された「愛知万博」の「大地の塔」に仕掛けられた音具の奏でていた音楽を思い出した。あの音具は風などの偶然性がトリガーとなって音楽が紡がれていた。

計算された、しかし偶然性にさえ感じられる連続性をトリガーとしたこの曲には、なので「架空のパビリオンのための」という副題を与えた。
指揮者を立てるか3rdプレイヤーが弾き振りで演奏できるが、お客様は目をつむってお聴きになることをオススメする。


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◯スタンディング・ウェーブ現象 op.149

スタンディング・ウェーブ現象とは自動車のタイヤに起こる現象で、必要な空気圧が確保されていない状況で高速運転をするとタイヤがバーストする現象だ。
演奏者は車を運転するような奏法や、バーストを想わせる激しい奏法などを駆使してオーシャンドラムを演奏する。

演奏者は座って演奏する。最終的に「えっ?」と立ち上がるのはお客さまかもしれない。


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以上、作曲をするにあたって考えていたことや作曲を終えて考えたことのまとめである。
メッチャ恥ずかしいけど、驚くべきことにこういうことは1年も経たないうちに全て忘れてしまうのだ。(僕の残念な記憶力では…。)

尚、全曲、準備が出来次第YouTubeに投稿する予定である。
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